YouTubeやSpotifyで出てくるおススメ動画や関連アーティストを時々視聴してみるとユニークな音楽との出会いがある。Frédéric Le Junter(フレデリック・ル・ジャンテ)という仏蘭西人アーティストを発見したのは2ヶ月ほど前だった。出会ったきっかけが何だったか覚えていないが、いつか紹介しようと思ってチェックしたまま忘れかけていた。
Frédéric Le Junter(フレデリック・ル・ジャンテ)1956年フランス、ダンケルク生まれ。第二次世界大戦のダンケルクの戦いで知られるドーバー海峡を臨む港湾都市で、波止場の海運機器の巨大な造形とそれらが発する様々な音に囲まれて育ち、5歳の頃から紙や日用品で音の出る玩具を作りはじめたという。十代でラジオでイギリスのロックバンドを聴いて音楽に夢中になる。
MERZBOW/Batztoutai With Material Gadgets 1993 2CD
メルツバウの85,6年の録音作品を自らカットアップ/デコンポーズした二枚組CD。フェイクミュージックコンクレートと呼ばれ、ノイズとは一線を画す初期メルツバウの傑作。
●DJ Qliphoth出品予定
このうち幾つかは出します。
●DJ Bothis出品予定
最近好評の盤魔殿レギュラーDJ達による盤魔殿中古市では2014年に六本木スーパーデラックスで開催された阿木譲トークイベント「0g night: DO BLOOM IN THE SILENCE」において販売された限定コンピレーションCD「Various Artists - test I: i.a.m.y.o」を中心にお持ちする予定です。
JazzTokyo最新号にレント・ロムスが寄稿したアメリカ西海岸即興シーンのレポート『Notes from the West Coast Underground(ウェストコースト・アンダーグラウンド通信)』でロヴァ・サクソフォン・カルテットの名前を見たとき、頭に浮かんだのは「そう言えば西海岸にはロヴァが居たか、しかし未だやっていたとは驚きだ」という感慨だった。サフランシスコを拠点に活動するレント・ロムスと仲間たちのウェストコースト・アンダーグラウンド・シーンに接した時、最初に連想したのはサイケデリアやレジデンツやロサンゼルス・フリー・ミュージック・ソサエティといったロック界の地下住人ばかりで、ジャズ/インプロ界の重要レーベル「Metalanguage(メタランゲージ)」レコードのことをすっかり失念していたのである。
⇒JazzTokyo ウェストコースト・アンダーグラウンド通信第一回
⇒Disc Review『Rova Saxophone Quartet / In Transverse Time』
The Rova Saxophone Quartet With Henry Kaiser – Daredevils
Metalanguage – ML-105(1979)
1977年にジョン・ラスキン Jon Raskin(bs)、ラリー・オクス Larry Ochs(ts)、アンドリュー・ヴォイト Andrew Voigt(as)、ブルース・アックリー Bruce Ackley(ss)で結成され、4人の苗字の頭文字をとって「ROVA」と名付けられたサックス四重奏団の初期作品。ラリー・オクスと一緒にメタランゲージ・レコードを創設したギタリストのヘンリー・カイザーとの共演作。同時期にデビューしたニューヨークのワールド・サクソフォン・カルテットがブラック・ミュージックの復権を謳ったのに対し、西海岸の白人であるROVAは言わばルーツレスな立場からスタートした。故にジャズ/ロック/現代音楽/エスニックをコンフュージョンする音楽性に迷いはない。四つの管のケイオティックなアンサンブルを攪乱するカイザーのギターが壮快である。
V.A. - Metalanguage Festival Of Improvised Music 1980 - Volume 2: The Science Set
Metalanguage – ML 117(1981)
1980年10月19と21日の二日間サンフランシスコで開催されたメタランゲージ即興音楽フェスティバルのライヴ・アルバム。『The Science Set』と題された本作は二日目10月21日のグレート・アメリカン・ミュージック・ホールでの録音。参加ミュージシャンはブルース・アックリーを除くROVAのメンバーとヘンリー・カイザーに加え、バークレー出身のグレッグ・グッドマン(p)、日本の近藤等則(tp)、そして欧州フリーミュージックの猛者デレク・ベイリー(g)とエヴァン・パーカー(sax)という即興界の強者揃い。ソロ、デュオ、トリオと組み合わせを変えた短めのセッションは、ベイリーらのCOMPANYに倣ったワークショップ的要素があるが、観念的な部分がなくカラッと乾いた空気がメタランゲージの特徴だろう。10月19日の1750 Arch Studiosで録音された『Volume 1: The Social Set』は若干メンバーが異なる(ベイリー抜き、アックリー入り)が、全員による集団即興演奏が『The Science Set』と趣が異なり興味深い。
ROVA Saxophone Quartet: Under the Street Where You Live
▼カリフォルニアのFM局KFJCのNYのサックス奏者ブランドン・エヴァンスと西海岸のレント・ロムス、フィリップ・エヴァレット、アレックス・コーエンの即興セッションライヴ音源。East meets West Coast Underground. Brandon Evans / Rent Romus / Alex Cohen / Philip Everett - Live KFJC 89.7 FM
Brandon Evans - Alto & Sopranino Saxophones
Rent Romus - Alto & Soprano Saxophones
Alex Cohen - Electric Guitar, Pedals
Philip Everett - Percussion, Clarinet
released August 9, 2016
Recorded 'live on air' July 29th, 2016 at the KFJC 89.7 Radio Station, Los Altos Hills, California.
Hosted by Hemroid The Leader.
Special thanks to the musicians, and to the team at KFJC for making this recording possible. Please tune in and support KFJC 89.7 FM www.kfjc.org
『プロとコントラ(pro et contra)』と同時リリースのPataphysique Records最新作。2002年からコラボする福岡/アンリッツィ・デュオの5作目に当たるアルバム。福岡がエレクトリック・フィドルとヴォーカル、アンリッツィがラップ・スティール・ギターに加え様々なエフェクトを担当。シャンソンの「暗い日曜日」にはDana ValserとJunko(非常階段)がゲスト・ヴォーカルで参加。Sachikoデザインの荒廃した月面のアートワークに相応しいダークなメランコリアが横溢したサウンドは、日仏地下音楽の精鋭が共有する終末感の反映であろう。しかし聴き終わった後に残された希望の光は、暗い日曜日を生き抜かなくてはならない人類への慈愛に満ちている。
“Desert Moon” FUKUOKA Rinji & Michel HENRITZI 5th Album
●ふじゆき+ミッシェル・アンリッツィ+望月治孝『白い顔』
フランスのAn′archivesレーベルの「Free Wind Mood 自由な風のように」シリーズの最新作。大阪のアンビエントデュオSarryの女性ヴォーカリスト、ふじゆきと静岡のサックス奏者、望月治孝とのトリオ作品。日本側がそれぞれレコーディングした素材をアンリッツィがオーバーダブしエディットする形で制作されたようだ。ふじゆきの呪術的なヴォーカル、望月のセンチメンタルなサックス・プレイ、そのどちらも日本の心の奥底にある「怨」を暴き出す演奏だが、アンリッツィが西洋的な「愁」を加えることにより、DARK SIDE OF JAPON的な幽玄が生まれている。『Desert Moon』が「汎」だとしたら、『白い顔』は「孤」の音楽と言えるだろう。