A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【盤魔殿アマルガム vol.45】HIROKO/La Tène/おきあがり赤ちゃん/桃山邑/AMENONUVOCO/CHU ISHIKAWA & DER EISENROST

2023年06月03日 01時32分15秒 | 素晴らしき変態音楽


●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


HIROKO / Hiroko The Queen Of House Music
昨年2022年末にアシッドキャピタリズムとは何か?を検証する意味で自分が企画したDJイベント"百均王ヒャッキング"。手応えこそあったものの客足のアレと自分のプライベートな忙しさがアレですっかり放置プレイ状態だった反省を踏まえて今回ご紹介するのがコチラ!奇しくも本日(2023年5/25)ロックンロールの女王ティナ・ターナーが亡くなったってことでSNS上で"〇〇の女王"大喜利ネタが展開中だがこちとら"ハウスミュージックの女王!"HIROKO a.k.a.湊 広子ですよ(100円だけど)。80年代に女優として"湘南爆走族"で織田裕二の妹役などで活躍後何故か米国で歌手デビュー。91年リリースされた謎過ぎるユーロビートorハウス作品。マジで落とし所をどこに設定してたのか不明なんだが「あぁこの時期って日本は金あったんだなー」って気分だけは堪能できます。バブルをキメて踊り明かそう日の出を見るまで!


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


La Tène – Ecorcha / Taillée
以前にあのバンマーキングにもノミネートさせて頂いた事もあり、民族音楽をモチーフにミニマルなドローンミュージックを展開しているLa Tène。彼らの5年振り且つ最高傑作とも言える4作目をご紹介させて頂きます。
メンバーはハーディ・ガーディ担当のフランス人Alexis Degrenier、ハーモニウムとエレクトロニクスを操るスイス人D'incise、トライバルなパーカッションを掻き鳴らすスイス人Cyril Bondiの3人が奏でる中毒性の高いサウンドは間違いなく聴く者を虜にしてしまうだろう。オーバーダブ無しという、所謂ライブ感覚を活かした録音という事で、各メンバーの力量や職人技が随所に見られ、スピリチュアルでエスノフォーク的な雰囲気が満載です。
リリース元Les Disques Bongo Joeの情報によると、本作はフランスの民俗学者Félix Arnaudinが1883年に見出したキリスト教の歌「La Passion」とスペインの女性シンガーソングライターRosalíaの2022年のヒット曲「Saoko」にインスピレーションを得たと書かれています。YouTubeで視聴が可能ですので比較してみるのも面白いかもしれませんね!


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


おきあがり赤ちゃん『おもちゃの音の音楽祭』CD 8枚組BOX
生まれも育ちも千葉市、65歳のおもちゃの音楽家「おきあがり赤ちゃん」。この謎の音楽家と初めて会ったのは、2022年10月8日阿佐ヶ谷TABASAでのMOGRE MOGRU主催イベント「モグモグとゆかいな仲間たち」だった。メンバー3人がそれぞれ好きなアーティストを呼んでコラボするという趣旨で、筆者が声をかけたのが半年前にネットで知ったこの人だった。現れたのはオシャレな音楽とは縁がなさそうな朴訥とした初老の男性だったが、持参した数体のおきあがりこぼしやカリンバやシュルティボックスなどの不思議な楽器を愛おしそうに丁寧に並べる様子に、どこか狂気じみた天才の片鱗を感じた。他人と共演するのは初めてと言っていたが、筆者のトイピアノやリコーダーの演奏を馬耳東風と聞き流しながら、その実心の裏側に異端音楽のエキスを注入する演奏は、今までコラボしたどのアーティストとも異なる邪鬼に溢れていた。
還暦を前に58歳にして音楽経験も無いまま突如“おきあがりこぼし”で音楽作品を作り上げ、CD2枚組、3枚組、そしてこの8枚組と怒涛のリリース、さらに手作業で撮影・編集したマジカルな映像作品を数多くYouTubeで発表してきた彼の無邪気と天邪鬼の狭間に漂う危うい感性の閃きは、どの時代にあってもはみ出し者の心の糧として重宝されるに違いない。5月5日の『JOY OF A TOY 2023』に出演が叶わなかったことが残念至極である。リベンジを心に誓いながら、今日は何枚目のおもちゃの音の音楽祭に遊ぼうか。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


WELCOME TO THE END ~ようこそ終わりの始まりへ~桃山邑最後の歌詞歌曲集(Mizu Record SHC-2301)
2022年10月18日、肝内胆がんの療養中であった水族館劇場座長桃山邑は自宅にて死去した。曲馬館の末期から驪團を経て水族館劇場へと、80年代から現在までのアングラ演劇界のけもの道を駆け抜けた存在であった。筆者は、桃山邑の同級生であったAUTO-MODのジュネ氏に連れられて雑司ヶ谷鬼子母神境内で行われた水族館劇場旗揚げ公演を見に行って、公演後の打ち上げで桃山氏と言葉を交わした記憶があるが、その時何を話したかはあまり覚えていない。残念ながら曲馬舘の芝居は、映画『風っ喰らい時さかしま』で見たり、桜井大造の著書『風の旅団~転戦するパラム~』を通じてしか知らず、桃山氏は映像に出演しておらず、桜井氏の著書に桃山邑の記述はなかったからだ(入団時期の関係以外の理由は後になってなんとなく気づいた)。また前身の驪團についても、モダーンミュージックにおかれていたフライヤーなどで公演の存在は知っていたが、「アナーキックバイオレンス」といった標語を掲げる暴力的な劇団というイメージがあって、見ずじまいだった。ところが、初めて見た水族館劇場は、曲馬館から由来する翠羅臼の詩的な言語(襤褸(らんる)といった用語の多用など)は踏襲しながらも、抒情性と幻想性が横溢する舞台で、クライマックスシーンに流れる大量の水や、使用されるワールドミュージック風の音楽など、明度の高い演出に隠して深刻なテーマを扱う芝居者の集団という印象だった。その後水族館劇場は主に神社仏閣の境内で仮設の芝居小屋で公演を挙行し、斬新な舞台装置や、随所に挟まれる印象的な劇中歌、オープニングに30分も費やす客入れの前芝居(無料)など、注目を集める劇団となり、高山宏や毛利嘉考などの学者たちも一目置く存在になる。2018年ごろに劇団員の大量脱退があり(桃山邑の言葉で言えば「分裂騒動」だが詳細は語られていない。なお元水族館劇場の役者たちによって劇団心中椿が結成され、都内や地方で公演を行っている)旗揚げからの劇団員は曲馬舘からの活動を継続する千代次だけになる。このCDは2023年5月17日から6月6日まで東京都羽村市の宗禅寺にて開催中の公演「新漂流都市」において発売された、桃山邑作詞になる最後の音源となる。直近の公演の劇伴音楽を収録しているが、一部初期の曲も収録しており、すでに発売の音源のいくつかは廃盤となっているので、水族館劇場の音楽を今現在知るには欠かせないものである。


●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


AMENONUVOCO / LOST & FOUND / CASSETTE TAPE EXERCISE for AMENONUVOCO
元”Ainotamenishis”のAdamこと羽鳥智氏と瘡原亘氏とによる不定形プロジェクト “Amenonuvoco”(啞女埜濡菩鼓:アメノヌボコ)の22年作。カセットテープ作品でそれぞれのソロが片面ずつ収録されている。
先ず最初に羽鳥氏による“LOST&FOUND”。トイミュージックのような音色の心地よいリズムから始まる…身を委ねていると次第に揺蕩み、ポカポカとした微睡に覆われ、、、気がつけば魔窟へと運ばれている。そんなポップでありながらも不可思議な音の運びがぼんやりと酩酊した頭の中に渦を描いていく…これが堪らない...
続いて、瘡原氏による“CASSETTE TAPE EXERCISE for AMENONUVOCO”は精神に響く強烈なコラージュ作品である。飛び上がり、踊り出し、喚きながら怪現象を切り貼りする音の起伏は異界での事象がそのままこの世に突き出たかのように感じてならない。どこか張り詰めた感覚も堪らない。
2人によるポストカードが1枚ずつ同封されているのだがどちらのデザインも音楽と同様に素晴らしい。。


●DJ Bothis a.k.a. 山田遼


CHU ISHIKAWA & DER EISENROST - TOKYO FIST (ORIGINAL SOUNDTRACK) LP 2022 (We Release Whatever The Fuck We Want Records)
今年の盤魔殿レコード大賞=バンマーキングに僅差で届かなかった作品を改めてピックアップ。塚本晋也監督の映画『TOKYO FIST』(1995)のサウンドトラックである。音楽担当はもちろん石川忠と、彼が率いるインダストリアルバンドDER EISENROST。15歳から音楽活動を始動した石川忠は18歳で自身のバンドを結成。80年代中頃に日本初のインダストリアルバンドとも言われるZEITLICH VERGELTERの中心メンバーとして活動し、1986年にZEITLICH VERGELTERが解散した後は、映画監督の塚本晋也と出会い、名作『鉄男』(1989)以降、ほとんどの塚本監督作品で音楽を担当している。1993年にDer Eisenrostを結成して2017年に惜しくも亡くなるまで活動を続けていた。
本作は元々CDとして1998年に出版されていたが、日本の打楽器奏者高田みどりや日本のサントラ界の大御所・川井憲次による『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『機動警察パトレイバー2 the Movie』、John Carpenter – Dark Starなどの作品をリリースするスイスのレーベル「We Release Whatever The Fuck We Want Records」よりLPとして再発されたものである。
この作品『TOKYO FIST』は1995年公開のボクシング映画で、婚約者と暮らす主人公の男性が、その後輩にボクシングの試合会場で高校以来偶然再会を果たすが、この二人は高校時代、共通の女友達を殺されるという過去を共有しており、二人の再会後になぜか後輩が主人公の婚約者を誘惑し始めることによって始まる3人の奇妙な3角関係を描いた作品。塚本監督が描く唯一無二な世界観と圧倒的なスピード感を石川忠の素晴らしい金属質な音楽が引き立たせている。
原材料費の高騰や送料などの関係でVinylがどんどん高騰している昨今、気軽に買える値段ではなくなってしまったレコードではあるが、私はこの作品の一曲目「Knock Off」をネットで視聴して、慌ててディスクユニオンに買いに走った。今の時代、あらゆる音楽はネットでいくらでも聴けるかもしれないが、本当に音楽が好きなリスナーにとって一番大切なのは制作したアーティストと作品にお金を払うというリスペクトの気持ち。そろそろさぁ、ちゃんと文化にお金使おうよ。そうしないと、この文化滅んじゃうよ。「中古で安く買えた!」とか言ってはしゃいでる想像力の無いただのレコードコレクターは、あたしもう無理。さよなら、さよなら、さよなら。

<――――――EVENT INFORMATION――――――>

【MOGRE MOGRUライヴ・スケジュール】

【つゆもぐ(梅雨のモグモグ)3DAYS】
梅雨の季節6月中旬の3公演はそれぞれ趣向を凝らした内容でお贈りします。

DAY1:6月8日(木) 吉祥寺NEPO
「LIGHT UP THE SKY #4」
open18:00 start18:30
前売2500円 配信1500円
MOGRE MOGRU -Electric Set- (18:30-19:00)
TPSOUND Band Set / ilyons / 08pierrots / Albem


DAY2:6月11日(日) 高円寺Oriental Force
「蟲師」Vol.2
18:30 OPEN / 19:00 START
¥1,500 + 1 Drink別
MOGRE MOGRU × 内田静男 (19:00-19:30)
カニコローシュカ / よくばりChameleon x Masafumi Teruyama / いはとおる x 吉本裕美子


DAY3:6月17日(土) 阿佐ヶ谷 mogumogu
モグモグ in mogumogu vol.2
20:00 Open/Start
¥1,500 + 1 Drink別
MOGRE MOGRU Live set & DJ set


【モグモグ主催ライブ】
7月22日(土) 吉祥寺NEPO
MOGRE MOGRU presents DIVE DEEP vol.8
バラナンブ / 殺生に絶望 / MOGRE MOGRU他


【関連ライブ、イベント】

6月20日(火) 高円寺Oriental Force
「郷愁」vol.2
18:30 OPEN / 19:00 START
¥1,500 + 1 Drink
剛田武 x BEKATAROU (21:15~21:45)
YUTASTAR×ウチダヨシノブ / This dark Shroud / ルネシェヴィリコフスキ


6月29日(木)阿佐ヶ谷天
赤腹亀企画
開場19:00 / 開演19:30
木戸銭1500円(1d)
剛田武+やましん+鈴木和哉(21:30〜22:00)
赤腹亀 / 山霊箏木魂雷 / k殻都市



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