ネクロ魔ことNECRONOMIDOLのインストアイベントで豚の生首が出たことがTL上で話題になった。なぜ豚か?というと、丸尾末広の手になるデビュー・アルバム『NEMESIS』ジャケットの左の九十九ほたる似の女子が掲げるトレイに乗せられた可愛らしい子豚に捧げたのだという。『豚(Pig,Swine,Pork)』には象徴的な意味があり、音楽とも深い関わりがある。そんな『豚ジャケ』レコードを検証することで、ネクロ魔を待ち受ける謎に満ちた運命の霧が多少なりとも晴れるかもしれない。
⇒【閲覧注意】NECRONOMIDOL(ネクロ魔)&豚の生首@Disk Union下北沢店 2015.3.8 (tue)
●ネクロノマイドル『ネメシス』
結成から18ヶ月、NECRONOMIDOLの超絶待望ファースト・フル・アルバムがやっと発売!全曲のヴォーカルが完全撮り直し、曲もすべてアルバムの為にゼロからリミックス。ダークウェイブからNWOBHM、プログレからウィッチハウス。今までアイドル界に絶対になかったジャンルを14曲に絞った一枚。
邪神崇拝/コックリさん/血まみれ/豚の生首などなど、ウラ若い女子に似合わない破天荒企画を続々打ち出すネクロ魔のウラには、プロデューサーのリッキー・ウィルソンの嗜好が過度に反映されている。「売れることよりも、どれだけ面白い事ができるか」を追求する方針が、日本人とは異なる感性で運営され、それを受け入れるメンバーとヲタクにより拡大される化学反応が、彼女たちを唯一無二の存在にしている。豚の安らかな表情に、死してなおネクロ魔とコラボできる幸せを錯視したのは筆者だけであろうか?
⇒【勝手に翻訳】リッキー・ウィルソン/NECRONOMIDOL(ネクロ魔)プロデューサー・インタビュー
NECRONOMIDOL - LAMINA MALEDICTUM PV
●ザ・ダムド『ストロベリーズ』
ロンドン・パンクの第1世代ザ・ダムドの‘82年リリースの通算5枚目のアルバム。キーボードを加え、サイケデリックな方向性を打ち出した。オリジナル・ベーシストのキャプテン・センシブルは本作のあと脱退。
ものの本で野豚は野苺を食べて育つという話を聞いたような気がするが、「豚に苺」のジャケは聖書かゴシック小説からの引用だろうか。後にゴシック・ホラー・バンドとなるダムドのギリギリの音楽性が表現されている。
the Damned - Stranger on the Town
●ザ・クラッシュ『イングリッシュ・シヴィル・ウォー(英国内乱)』
ロンドン・パンクの第1世代ザ・クラッシュの79年リリースの2ndアルバム『動乱』からのイングルカット。南北戦争時の歌、ジョニーが凱旋するときを元に作られた。1970年代中盤のイギリス国民戦線のような極右勢力の台頭によるイギリスの政治状況を描いた物であり、制服を着た不吉な物に対する警告である。
ジャケットはジョージ・オーウェルの「動物農場」のアニメーション映画の1コマ。ここでの豚は政治家の象徴であり、労働者階級のパンクスにとっては打倒すべき腐敗の象徴である。
The Clash - English Civil War (live)
●スウェード『アニマル・ナイトレイト』
イギリスでの3作目のシングルは,父子相姦がテーマのショッキングな話題作だ。グラム時代のボウイを連想させる強烈な個性とカリスマ性を発揮した美形UKロックバンドの代表曲。
豚の仮面を被った優男は、ヴォーカルのブレット・アンダーソンの仮装だろろうか。豚の首で顔を隠して、危険な愛の誘惑に励むのである。
Suede - Animal Nitrate
●ピンク・フロイド『アニマルズ』
本作は、英国が誇るプログレッシヴ・ロック・バンド、ピンク・フロイドが1977年に発表した通算10枚目のアルバム。人間が持つ特有の階級を動物に喩えて痛烈な社会批判を唱えた作品。重いテーマのコンセプト・アルバムにも関わらず、軽快でメロディアスなロックが聴かれる好盤。
豚を資本家に喩えるのは、オーウェルだけではなく20世紀末~21世紀に生きるものにはわかりやすい。まるまる太った豚のようにまるまる太った資本家は、生首ちょん切って晒し者にするのがいい。
Pink Floyd- Pigs On The Wing (Part 1and 2) Video
●スターリン『スターリニズム』
日本のバンドであるザ・スターリンの2枚目の作品であり、初のミニ・アルバム。81年4月7日にインディーズレーベルであるポリティカル・レコードより発売された。
憎むべき「豚」をいくら言葉でDISったところで、対抗勢力のバランスが狂うわけでもなく、いつもの日常がただ過ぎるだけ。それに気がついた遠藤ミチロウは、デビュー時の過激なステージングを見つめなおし、より内向的でダーククネスな核心部分に6つの光が集うスタイルを確定した。
THE STALIN スターリン スターリニズム 2nd EP
●モトリー・クルー『ジェネレイション・スワイン』
ヴィンス・ニールが復帰し、オリジナル・メンバーで制作された97年作品、7枚目。メタリックなインダストリアル・サウンドも導入された。ジョン・コラビ作曲も収録されている。全米4位。
『世代の豚(ジェネレーション・スワイン)』を飾る豚どもの狡猾な表情は、観ているだけでも腹が立つ。ヘロイン中毒から立ち直ったニッキー・シックスも10年前より若返ったように見える。
GENERATION SWINE/MOTLEY CRUE ROCK AROUND THE BAY 1997 TOKYO ARIAKE RAINBOW STAGE '97/8/16
●ピンク・フェアリーズ『キングス・オブ・オブリヴィオン』
70年代ブリティッシュ・ハードサイケ・バンド、ピンク・フェアリーズの73年の3rdアルバム。
『忘却の王様』というアルバムなのに、3匹のピンクの豚のシュールな飛行風景は忘れることが出来ない。ハード一辺倒ではなく、サイケな遊び心を備えたバンドにお似合い。
Pink Fairies - City Kids
●リンダ・ロンシュタット『シルク・パース』
リンダ・ロンシュタットが1970年に発表したアルバム。「ラヴ・シック・ブルース」など、リンダの音楽のルーツ(Country&Western)も垣間見える作品。
取り上げたのはほとんどがイギリスのアーティストの豚ジャケだが、アメリカの豚はワイルドな存在感たっぷり。健康的なカントリーガールに寄り添う豚のどこかやるせない表情に、田舎暮しの倦怠感が漂っている。
LINDA RONSTADT ~ LONG LONG TIME 1969 HD VIDEO
●PYG『PYG!』
沢田研二(Vo)、萩原健一(Vo)、井上堯之(G)、岸部修三(現・岸部一徳)(B)、大野克夫(Key)、大口ヒロシ(Dr)というグループサウンズ3大グループのメンバーが集結したバンド、PYGが1971年8月に発表した唯一のスタジオ録音盤。ニューロック的アプローチを巧みに取り入れた日本ロック史上に燦然と輝く名盤。
日本豚ジャケ代表。活動当時は、GSのイメージが強く、硬派なロックコンサートで野次を浴びたという。限定仕様の特殊ジャケットは、鼻を押すと豚が鳴く。所有者が何度も押すので、完全品が残っていることはめったにない。
沢田研二_比叡山_花・太陽・雨
●ポーク・デュークス『ベンド・アンド・フラッシュ』
イギリスで77年にデビューした初期パンク・バンド。当時はセックス・ピストルズの前進バンドに間違えられた逸話を持つ。悪ガキ風のイメージだが、実はプログレバンド、ニドロローグ/Gnidrologの中心人物であった、双子ゴールドリング兄弟を中心とする覆面バンドだった。
バンド名に「豚(Pork)」と入っているので当然だが、殆どのレコードが「豚ジャケ」。卑猥な行為に勤しむ豚イラストと「脈打つ男根(Throbbing Gristle)」「電話自慰者(Telephone Masturbator)」「きついプッシー(Tight Pussy)」といったお下劣な曲名は、豚ジャケ界の面汚しか?
The Pork Dukes "My Mother Gave Me A Gun For Christmas"
その実、ライヴステージに豚の生首を飾る豚神崇拝ぶりは、ネクロ魔のクトゥルフ崇拝の参考として教えを請いたい先輩格に違いない。
⇒PORK DUKES DISCOGRAPHY
豚と行く
世界を目指して
南国へ
▼まもなくネクロ魔ニューカレドニア・ツアー!
⇒NECRONOMIDOL ニューカレドニアツアー詳細!
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