クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

07-11 No.23

2007年11月26日 18時21分38秒 | Weblog
<DOREMI>
DHR 7893/5 3枚組 \6240
ステレオ
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集BWV.846-893(全曲)
アーサー・レッサー(P)
録音:1964年アーサー・レッサー所有のスタジオ
アーサー・レッサー(1894-1969)はニューヨーク生まれ。クリーヴランドで長
年にわたり、すぐれたピアニスト、教師、音楽評論家として活躍しました。同
時にまたクラシックの著作「Men, Women and Piano」や、クリーヴランド管の
プログラムの執筆者としても知られています。ちなみに、かれの異母兄弟フラ
ンク・レッサーはブロードウェイ・ミュージカル「Guys and Dolls(1950)」
「How to Succeed In Business Without Really Trying(1961)」などの音楽を
書いた有名な作曲家。
1913年ベルリンでデビューののちA.レッサーは、1916年にはニューヨークでデ
ビュー。ヴァイオリニストのミシャ・エルマンとは日本をふくむ極東楽旅を
行っています。太平洋戦争中は米軍の対日情報部員として働いていたことも
あって日本語も堪能。さらに、戦後まもなくの1946年に来日、日比谷公会堂
で日響(現在のNHK響の前身)をバックにショパンのピアノ協奏曲第1番を弾いて
います。これにより日本の大勢の聴衆の前で演奏した戦後初のアメリカ人音楽
家としても記憶されています。いっぽうで1926年にクリーヴランド音楽院のピ
アノ科教授に、1953年にはピアノ科の教授部長に任命されています。
このように伴奏者、教育者として大きな功績を残したレッサーのピアノ録音。
これまでMarstonなどからもその一部が復刻されていますが、極端に少なく珍
重されてきました。このたびDOREMIより復刻となるのはかつてCleveland
Institute of Musicより6枚組みのLPで出ていたもの。「アナログ期における
平均律のベスト」とは復刻をてがけたレーベルの主宰ヤコブ・ハーノイ氏の
言葉。この機会にぜひ、お確かめになられてはいかがでしょうか。





<harmonia mundi>
HMC 901977 \2450
ブラームス:
(1)ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
(2)ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
セドリック・ティベルギアン(P)
イルジー・ビエロフラーヴェク(指)BBC交響楽団
録音:2007年
ピアノ協奏曲第1番は、オケによる冒頭の序奏から、この演奏がただならぬも
のであることを感じさるもの。重厚感を漂わせながらも決して重くなりすぎ
ず、ビエロフラーヴェクの怒涛の推進力で音楽が展開していきます。高雅なす
すり泣きのように入ってくるピアノの音色は、クリスタルを思わせる清潔感あ
ふれるもので1975年生まれのティベルギアンが30代をむかえ、ますます音楽的
に充実していることを感じさせます。終楽章のオケとピアノのかけあいでも、
ティベルギアンは、硬質で美しい音色を損なうことなく、力強く聴かせます。
聴き終えたときには爽快感と充実感が押し寄せ、感動的です。カップリングの
ハイドンの主題による変奏曲では、オケの各パートにひとつひとつの主題を
丁寧に歌わせており、こちらでもビエロフラーヴェクの手腕と、オケの仕事
ぶりが光ります。

HMC 905266 \2450
ジュゼッペ・サンマルティーニ(c.1693-1750):
フルートと通奏低音のためのソナタ集
ソナタ(1)op.2-3 ホ短調 (2)第21番 変ロ長調 (3)op.2-4 ト長調 
(4)第23番 ヘ長調 (5)op.13-5 ト短調 (6)op.13-1 ト長調 
(7)op.13-4 ト長調
モーリス・シュテーガー(リコーダー、指揮)
セルジオ・チオメイ(Cem&Org)、マルグレート・ケール(ハープ)、
マウロ・ヴァッリ(Vc)、クリスティアン・ボイゼ(Fg)、
エドゥアルド・エギューツ(テオルボ&ギター)、
北谷直樹(オルガン)
録音:2004年
ジュゼッペ・サンマルティーニは、ミラノで活躍した弟のジョヴァンニ・バ
ティスタ・サンマルティーニ(交響曲の父ともいわれる)に対して、「ロンド
ンのサンマルティーニ」とも呼ばれます。オーボエの名手として活躍し、そ
の腕前は、フリードリヒ大王にフルートを教えていたクヴァンツに、北イタ
リアの最も優れた器楽奏者と激賞されたこともあるほどでした。彼はその後
ロンドンに活動の拠点を移し、主に演奏者として活躍していました。当時の
オーボエ奏者はりコーダーにも精通しているのが普通で、サンマルティーニ
もまたリコーダーのことも知り尽くしていました。18世紀初頭の英国は、リ
コーダーが高等な趣味を持つ人々の間で大流行していた頃。パーセルやバル
サンティ、ヘンデルら英国で活躍した作曲家達によるリコーダーのための作
品は多く残されていますが、中でもこのサンマルティーニの作品は注目に値
するもの。ソロ・パートの充実度はもちろんのこと、不協和音や半音階が効
果的に用いられた作品は、現代の私たちにもエキサイテイングな喜びをもた
らしてくれます。ソロをつとめるシュテーガーは、1971年スイス生まれ。毎
回毎回リリースのたびに、目のさめるようなテクニックと、すがすがしい音
楽性、そして選曲のセンスで私たちをたのしませてくれています。このディ
スクでも、目のまわってしまいそうなヴィルトゥオーゾ・テクニックで私た
ちの度肝をぬいてみせています。また、通奏低音チームの抜群のセンスがき
きもの。

HMU 907475 \2450
(1)アール・ワイルド:
ガーシュウィンの「ポーギーとベス」によるファンタジー
(2)バーバー / シェパード編:ひなぎく
(3)同:聖アイタの幻影
(4)同:夜想曲
(5)リチャード・ロジャース / スティーヴン・ハフ編:
回転木馬のワルツ-「回転木馬」
(6)同:わたしのお気に入り-「サウンド・オブ・ミュージック」
(7)ウィリアム・ボルコム:優雅な幽霊-3つのゴースト・ラグ
(8)ジョージ・クラム:夢の影像-マクロコスモス第1巻(1972)
(9)ジョン・コリリアーノ:エチュード・ファンタジー(1976)
マイケル・シェパード(P)
録音:2007年1月インディアナポリス大学、デハーン・ファイン・アーツ・
センター、ルース・リリー・コンサートホール
アメリカ・ピアニスト協会から2003年のクリステル・デハーン・クラシカル・
フェローに選ばれたマイケル・シェパード。メリーランド州ボルチモアにある
ジョンズ・ホプキンス大学のピーボディ音楽院で研鑽を積み、レオン・フライ
シャーに師事しています。また、APAのバックアップでワシントンD.C.のケネ
ディ・センターでデビューを果たして以来、全米で演奏活動を展開中。作曲家
でもある彼はつねに新しい音楽に傾倒して、作曲家ニコラス・モー、マイケル
・ハーシュ、ロバート・シロタとジョン・コリリアーノと頻繁にコラボも行っ
ています。ここではロジャースのおなじみのミュージカル・ナンバーから、
名手ワイルドの30分近い大曲、そして難曲クラムまで、おもわず目もくらむよ
うなテクニックでとりこにします。

HMU 907477 \2450
(1)エリス・ボノフ・コーズ(1916-2000):
ロム・アルメによる変奏曲(1946-47)[世界初録音]
(2)コープランド:ピアノ変奏曲(1930)
(3)ブゾーニ:ショパンのプレリュードによる10の変奏BV.213a
(4)ドビュッシー:前奏曲集第2巻(全曲)
スペンサー・メイヤー(P)
録音:2007年1月インディアナポリス大学、デハーン・ファイン・アーツ・
センター、ルース・リリー・コンサートホール
オハイオ出身のスペンサー・メイヤーは、APAから2006年デハーン奨学金を授
与されたピアニスト。2003年10月にはニューヨークのカーネギー・ホールでリ
サイタル・デビュー。2004年に南アフリカのプレトリアで行われたUNISA国際
ピアノ・コンクールで第1位を獲得、さらには北米、ヨーロッパ、アジア、ア
フリカでのリサイタル、室内楽、オケとの共演など、めきめきと頭角を現して
います。その彼が弾くのは前奏曲集と変奏曲と題されたアルバム。ドビュッシ
ーではくっきりした音色と華麗なタッチが冴え渡ります。「現代の変奏曲の大
家」との呼び声高いシカゴ生まれのコーズでは、想像力豊かな技法が駆使され
メカニカルな味わい。難曲ブゾーニも各変奏の性格の描き分けがみごとです。

HMU 907476 \2450
(1)グリフィス:ピアノ・ソナタ(1918)
(2)同:幻想的小品Op.6,Nos.1-3
舟歌 / 夜想曲 / スケルツォ
(3)同:3つの音画Op.5,Nos.1&3(ハイライト)
夕暮れの湖 / 夜風
(4)同:ローマのスケッチより白孔雀Op.7-1
(5)スクリャービン:ピアノ・ソナタ第6番Op.62
(6)同:12の練習曲Op.8より第5番 / 第9番 / 第11番 / 第12番
(7)同:幻想曲ロ短調Op.28
スティーヴン・ベウス(P)
録音:2007年1月インディアナポリス大学、デハーン・ファイン・アーツ・
センター、ルース・リリー・コンサートホール
2006年マクス・I.・アレン・クラシカル・フェローをAPAより授与されたスティ
ーヴン・ベウスは、ワシントン出身のピアニスト。ホイットマン・カレッジで
学位を取得、現在ジュリアード音楽院で研鑽中の彼は、欧米を中心に活動の幅
を広げています。これはかれにとってバーバーとマリオン・バウアーのピアノ
作品集につぐ2枚目のアルバム。印象主義の作風で知られ、夭逝した作曲家チャ
ールズ・グリフィス(1884-1920)とスクリャービンを収めています。グリフィ
スの代表作「白孔雀」はぼんやりした感じが「アメリカのドビュッシー」とも
いわれたのが首肯される内容です。妖気を醸し出したスクリャービンの技巧も
いうことなし。





<Ambronay>
AMY 011 \2500
J.M.ハイドン(1737-1806):聖ヒエロニムスのミサ
ドルシェツキー(1745-1819):ミサ曲 変ロ長調
ピエール・カオ(指)
ヨハネッテ・ゾマー(S)、ブリッタ・シュヴァルツ(A)、ギ・ド・メイ(T)、
コルネリウス・ハンプソン(Bs)
アルシス・ブルゴーニュ、アンサンブル・ゼフィーロ
録音:2006年9月22日(ライヴ)、アンブロネー修道院
フランスの古都アンブロネーにある石造りの修道院で2006年に行われた音楽祭
のライヴ録音。ミヒャエル・ハイドンは、ヨーゼフ・ハイドンの弟で、幼い頃
はウィーンの教会でオルガニストをつとめ、また、モーツァルトの友人でもあ
りました。このミサ曲は、1772年にザルツブルクの司教に就任したヒエロニム
スのために捧げられました(1777年に初演)。6本のオーボエが活躍する作品で、
「オーボエ・ミサ」と呼ぶ人もいます。ソリスト歌唱陣の美しい歌声に、心洗
われます。ドルシェツキーは、ボエミア出身で、ティンパニ奏者、そして管楽
器アンサンブルの指揮者としても活躍した作曲家です。このミサ曲は実にしっ
とりとした落ち着いた雰囲気で、管楽器パートの果たす役割が多い作品。この
作品が書かれた1810年は、ショパンやシューマンが生まれた年でありますが、
純然たる古典派の響きの美しいミサとなっています。指揮者のカオは、ルクセ
ンブルク出身の指揮者で、古楽のスペシャリストとして活躍しています。自身
が1999年に設立した合唱団アルシス・ブルゴーニュと、名人集団アンサンブル
・ゼフィーロ、そしてソリスト歌唱陣を見事にまとめあげています。



<WERGO>
WER 6696 \2180
コンロン・ナンカロウ(1912-1997):
(1)弦楽四重奏曲第1番
(2)弦楽四重奏曲第3番
(3)プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第15番-弦楽四重奏版
(イヴァル・ミカースホフ編)*
(4)プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第31番-弦楽四重奏版
(パウル・ウシャー編)*
(5)プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第33番-弦楽四重奏版
(パウル・ウシャー編)*
(6)プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第34番-弦楽三重奏版
(コンロン・ナンカロウ編)*
(7)ヴァイオリンとプレイヤーズ・ピアノのためのトッカータ
(8)プレイヤーズ・ピアノのための三部作【A=72/B=50/C=92】*
アルディッティ弦楽四重奏団
プレイヤーズ・ピアノ(コンロン・ナンカロウ)
*世界初録音
録音:2004年、2005年
ナンカロウといえば、技術的に異常に困難な上に、細部にわたるまでくどいま
でのテンポや強弱の指示のあるピアノ曲を書き、人間が演奏したものに決して
満足できずに、ついにプレイヤーズ・ピアノ(穴を開けたロールを中に入れ、
そのロールを回転させることによってピアノ動かし正確無比な演奏が得られる
自動ピアノ)のために作品を書いたという、自分のこだわりを貫きとおした20
世紀最大の奇人作曲家。しかしその作品は、意外に(?)いいのです。ジャズ風
のもの、小気味よいリズムと軽めの和声など、結構たのしめます。
ナンカロウが33歳のときに書いた弦楽四重奏曲第1番は、美しい和声を用いた
ミニマル・ミュージック風な部分あり、新古典風の要素あり、で、普通に「い
い曲」。23歳(1935年)に書かれたトッカータは、最初は生身の人間が弾くピア
ノのためにかかれましたが、演奏が難しい急速なテンポによる連打があるため、
1980年代に、ナンカロウ自身がプレイヤーズ・ピアノの適用を決めました。音
がめまぐるしく駆け巡るさまは快感すら覚えますが、この録音にあたって、ス
タジオ内にはアルディッティのファーストヴァイオリン奏者とプレイヤー・ピ
アノだけがいた(あった)だけだと想像すると、なんともいえない感じがします。
1987年、75歳のときに書かれた弦楽四重奏曲第3番では、さすがナンカロウと
いった感じで、終楽章でアッチェレランド(次第に速度をはやめ、音も大きく
なる)の部分がありますが、各パートでその加速の割合が厳密に定められてい
る(第1ヴァイオリンは3%、第2ヴァイオリンは4%、ヴィオラは5%、チェロは6%)
など、よくそこまで、と逆に感心してしまう指定ぶり。
迎えうつは現代ものを弾かせたら右に出るものはない団体、アルディッティ弦
楽四重奏団。弦楽四重奏曲第3番は彼らのために書かれた作品とあって、正確
無比な演奏が展開されています。聴けば聴くほど、ほんとによく演奏したなと
感心の出来栄えとなっています。




<KING INTERNATIONAL>
KDC 7006 3枚組 \4850
宇野功芳の音盤棚「これがUNO!」Vol.6
CD1:「爛熟のウィーン・フィル」 
<ワルター&ウィーン・フィルハーモニー>
モーツァルト:
「皇帝ティトゥスの慈悲」序曲K621、「偽の女庭師(恋の花つくり)」序曲K196 
ドイツ舞曲K605、交響曲 第41番 ハ長調 K551「ジュピター」
ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
(OPUS蔵:OPK205、OPK2017、OPK2023より再編集)
CD2:<ワインガルトナー&ウィーン・フィルハーモニー>
ベートーヴェン:交響曲 第3番「英雄」、第8番
(OPUS蔵:OPK2039)
CD3:「親子のドッキング-unauの無能CD」
「笑いのドッキング」親子リレー漫談/牧野周一、
牧伸二(キングレコード原盤)
音楽病院/牧野周一(コロムビア原盤)
宇野功芳氏による好評企画、宇野功芳の音盤棚「これがUNO!」シリーズ第6弾
は豪華3枚組の特別盤。宇野功芳氏が永い評論家生活を通じて絶賛してきた、
ワルター&ワインガルトナーの演奏を再度振り返り、新たな演奏解説を書き下
ろしています。(OPUS蔵音源使用)
また、このシリーズでは宇野功芳氏の勝手気ままなエッセイ、「unauの無能日
記 」を連載。第6弾では、今は亡き父、牧野周一について触れています。さ
らに以前から宇野氏が熱望していた「音楽病院」「親子リレー漫談」を収録。
宇野功芳ファンのみならず、漫談ファンも熱狂できるアルバムです。また、
牧野周一氏による「掛け合い漫談うら話」を掲載。宇野功芳氏の原点が窺える
貴重なセットとなっております。




<Ambroisie>
AM 126 \2280
1CD+1DVD VIDEO (PAL)
ルイジ・ボッケリーニ(1743-1805):作品集
(1)ファンダンゴ-2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、2つのギター、
打楽器、カスタネットのための五重奏より-ニ長調G448
(2)チェロ協奏曲 ニ長調G483
(3)アリア・アカデミカ「Tyrannous love(暴君の愛)」G557
(4)チェロ協奏曲 ト長調G480
オフェリー・ガイヤール(コンチェルタンテ・チェロ&音楽監督)
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ(3))、ロルフ・リスレヴァン(ギター)、
プルチネルラ
録音:2007年1月&4月、ポワジー劇場、ノートル=ダム大聖堂(パリ)
DVD収録:2007年4月、ノートル=ダム大聖堂
ガイヤールの使用楽器:1737年製Francesco Goffriller
繊細さと芯の強さを兼ね備えた音楽性、あたたかみと大胆さが共存する音色、
そしてチャーミングな容姿で聴くものを魅了し続けるチェリスト、オフェリー
・ガイヤール。彼女の最新録音は、ボッケリーニです。ボッケリーニは自身
もチェロのたいへんな名手であったこともあり、現在に至るまで、すべての
チェリストにとって特別な存在の作曲家。ガイヤールもボッケリーニに対して
は特別な想いをもっており、このディスクも、まるでボッケリーニへのラブ・
レターのように、特別な思い入れを込めて録音されました。
(3)のアリアは、ソプラノとのかけあいの際に、チェリストにも美しい高音で
奏でることが求められます。ピオーの鈴を転がすような歌声と、ガイヤールの
チェロの音色の交わりは愉悦のひととき。この曲の高音を奏でる際のチェリス
トの左手は、「エターナル・スノー(eternal snow)」と呼ばれるポジションに
しばしば置かれます。これは、ブリッジに近い部分で、ここに左手がある状態
で弦を弓でこすると、弓に塗ってある松脂が剥落し、その粉が雪のように見え
ることからこう呼ばれるもの。このポジションでの演奏はチェロ奏者にとって
困難でありますが快感でもあり、また、演奏の面でもエレガントな音色が得ら
れる効果的な奏法です。ただ、これは、ボッケリーニが後世のチェロ奏者たち
のたのしみのために書いたのではなく、高い音域で自由に奏でようという重力
の法則へのチャレンジをボッケリーニがしたのだ、とガイヤールは語っていま
す。スペイン趣味のセンス溢れる「ファンダンゴ」は、もともとはチェロ2本
を含む五重奏のために書かれ、後になってギターの名手によって編曲されまし
た。ファンダンゴとは、男女2人1組になって踊られるやや肉感的な踊り。17世
紀にこの踊りを見た人物の記述に「この踊りは愛の誕生から終わりまで、愛の
溜息からエクスタシーまで、愛のあらゆるものの表現である。この踊りを踊っ
たあと、女性は男性を拒むことなどできないだろう」とあるもの。ここでも、
熱く情熱的な演奏が繰り広げられており、彼女の新しい境地を見るかのようで
実に新鮮です。
2曲のチェロ協奏曲では、見事な弓さばきと、あたたかみのある歌心を心ゆく
まで味わえることは言うまでもなく、ボッケリーニの魅力が200%味わえる見事
な内容となっています。
特典映像では、ガイヤールが「エターナル・スノー」について簡単な実演を交
えながら語ったり、ボッケリーニについても語ったりしています。実際の演奏
風景も収録。

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