マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

道頓堀かろのうろん

2008-09-11 04:40:04 | 



昨年できたという、道頓堀のかろのうろん。
角にあるうどん屋というと、それだけで分かるだろうさ。
細うどんを看板になかなか立派な商いをなさっている。

米粉が混ざっているのであろう、透き通るような麺は喉越しもよく、
山かけざるは清涼感のあるものだった・・・はずだった。


夕刻の時間、若い職人とおばはん以外、客はいなかった。
店はオープンキッチン。カウンターの端の席、ゆで釜の前に座った。
目の前の釜とカウンターは、透明なガラスで遮られている。


まず我々の注文を聞いた職人は、麺を二人前、茹で釜に投げ入れた。
喧嘩売ってるのでもなさそうだ。
食べ物に対して、ずいぶん乱暴な扱いだなと思った。


茹でた麺はとなりの水場で洗って締めるのであるが、麺を1人前ずつ
まとめるお椀を、またも水に投げ入れた。
ビシャッ!!顔の前のガラスに水が飛んだ。


その後、入ってきた客のうどんの際もビシャッと来たから、
職人は毎回これをやっているようだ。ふ~ん・・・さよか。
顔にかかったわけではないが、いい気はせんわな。


ここまではまだ許そう。問題はダシの入ったポリタンクだ。
ポリタンクのダシを、火にかけた鍋に入れた。
相方がたのんだ天ぷらうどんを作るためだ。
その際、片手はポリタンクの底をしっかりと触っている~~!
濡れた床にじかに置いた薄汚れたポリタンクの底を!である。
むろん職人は手など洗うはずもなかった。

こっちのは冷たいうどんだ。つゆにうずら卵を入れ、
小口に切ったネギを(やめてくれ)手で入れ、
茹で上げた麺をざるの上へ置き、「さわるな!」と祈ったが、
神は見放され、職人は両手で麺を触って広げた。それが上の麺だ!
オープンキッチンをなんと心得るか。全部丸見えや。

注文を出し終えると、そそくさと煙草を吸いに奥に引っ込んだ。

しかし、よく食うよなぁ、オレも。これがそこそこ食えたのだから、
オレも浅ましい、というか情けない。

しかめッツラのおばはんといい、やる気のない職人といい、
道頓堀で勝負をかける後発店のやることではなかろう。
一体ぜんたい、どういうオペレーションをしているのか。
こういう雑なことをやる店に、間違って観光客は入ってしまい、
「ああ、大阪の本場のうどんとはこげなもんか」と誤解されることが
腹立たしい。
無国籍の道頓堀と成り果ててはいるが、上方のツラ汚しも甚だしい。


即刻心根を叩き直さない限り、早々に撤退することになるのは
必至とみた。


        中央区道頓堀  秘するは武士の情け



ミスター・リズムギター

2008-09-10 02:06:44 | カントリー


               
              Eldon  Shamblin  1916 ~ 1998


Western Swingのことを書いたついでに、スイングギターの大物の
ことを書いておこう。
エルドン・シャンブリン。テキサス・スイングギターの第一人者だ。


決して派手なリードをとるわけではないが、彼のベースランニングを
強調したパッシングコードで組み立てるリズムギターは、これぞ
ウェスタンスイング。これなくしては…という気さえしてくる、まさに
ワンアンドオンリー・ギタリストである。
リズムギターとしてコンボ全体に、バウンスを与えるその役割の大きさは、カウントベイシー楽団が誇るフレディ・グリーンと双璧と考える。


単調になり勝ちな2ビートにアクセントを加え、移動し続けるコード。
その独特な奏法は現在ほとんど顧みられていないが、是非リズムギターをするなら試みてほしい、それだけの巨人である。


彼はオクラホマのバーで演奏活動を始め、Alabama Boysを経て、
1937年 Bob Wills And His TexasPlayboys に加入。
歌は苦手だったようで、ギターに徹し、ベニーグッドマンのところで成功したチャーリークリスチャンの影響を受けたリードを弾いた。
バンドのアレンジも担当、スチールとのTwin Guitar Specialは彼の作。


      

ウェスタンスイングはそもそもダンスミュージック。
こんなバンドスペースが3面もある巨大ボールルームがテキサスや
オクラホマにはあった。
一番左に座るのが名手Eldon Shamblin。
3本フィドルの中央がBob Wills スチールギターはHerb Lemington

   

1941年の映画「Take Me Back To TULSA」。
日本でいうと大都映画が作ったちゃんばらプログラム・ピクチャーの
ようなもんだろう。
白馬にまたがるのはHigh Noonでおなじみ歌う映画スターTex Ritter。
その左がBob Wills。一番右がEldon。
奥ゆかしいこの方は、端っこが好きなようだ。


戦後、リードギターからリズムに転身し、バウンシーなギターを確立した。50年代、最高18人ほどもいたPlayboysもビッグバンド時代がすぎると縮小せざるを得なくなってきたんだろう。
その後はLeon McAuliffeの楽団やHoyle Nixのバンドでプレイした。


その後、TULSAでコンビニを経営したり、ギターを教え、ピアノの調律師にオルガンのサービスマンをしたりして静かに暮らしていたが、70年、
カントリー界の大物になっていたMerle Haggardに呼び寄せられ、再びギターを取ることに。


    

「The Texas Playboys Are On The Air!」のMerleのイントロで始まる
1973年のアルバム。
ここで久々に集まった面々は、スタジオに車椅子を持ち込んだ最晩年のBob Willsの前で素晴らしいセッションを繰り広げる。
1974年ローリングストーン誌で、ベストリズムギター部門にノミネートされた。

その後は昔なじみのTiny Mooreとアルバムをこさえたり、
マンドリンのJethro BunesのアルバムやAustin City Limitsに出演したり、Asleep At The Wheelとジョイントしたりした。
たぶん我儘を言わない、穏やかなセッションマンには最適な性格だったのだろう、Eldonの人柄とギターは方々で再評価されるようになる。


    


後半、彼が弾いていたのがフェンダーのストラトキャスター。
バンド時代はフルアコみたいなギターを弾いていたのに、いつしか
これ一本になった。

病気みたいなもんで、彼のリズムギターがしっくりきだすと、なければ
頼りないということになる。あんなギターをバックに演奏してみたいもんだ。
彼は2006年 オクラホマ州のMusic Hall Of Fameに加えられている。

彼は才能に満ち、愛と友情と誠実に満ちていた。彼はまた夫であり、
父であり、祖父でもあった・・・とある。


彼のギタープレイについてはこちらに
http://www.guitarplayer.com/article/eldon-shamblin/apr-06/19528




エレクトリック・マンドリンでぇ

2008-09-07 23:26:15 | カントリー


最近、我が家にやってきたエレクトリック・マンドリン。
5弦なのでスイングを演奏する我輩へとまわってきた。
楽器が楽器を呼ぶというのか、不思議にエレキマンドリンが
集まってくる。Tiny Mooreのマンドリンが縁をつないでくれる。
なにかと気にかけてくれるT君、ありがとう。



サガ・ジャパンのケンタッキーブランドを作り続け、その後、
SUMIブランドで世に知られたクラフトマン、鷲見英一さんの作と
思われる。
楽器なんてものは音さえ出れば、なんでもいい。弾く内容が大事
なのだ!と日頃大口を叩いているが、こういう子たちが弾いて、
弾いて…と来ると、これが捨ておけない。
いろんなところから精力的に見つけてくるTくんには頭が下がる。


テイルピースがオリジナルではない、などの弱点はあるものの、
かなりの美品であるのは間違いない。
ヘッドのKentuckyは手書き。昔のジャンボを思い出す。



ただジャックの具合がよくないので、修理の必要がある。
ワダス、電気系統はド素人もいいとこで、直列並列の話をしてた理科の時間からすでに電気アレルギーがあったので、エレキギターの修理専門店の門を叩いてみようかと思う。
T君のためにも早いこと修理して、スカッと音を響かせたい。


そんなこんなで、今秋のライブに間に合うかどうかは判らないけど、
久々にミュージシャンめいたことをやるのだ。
秋風が吹いたら、ようやく楽器ケースのフタもあける気になる。

本邦にも非常に珍しきウエスタンスイング・バンド。
「マーベラス桜井&ホットフィドルバンド」秋の大B反まつり!
Bob WillsやMilton Brown、Spade Cooleyに負けじと
フィドル2、スチールギター、ギター、ベース、ドラムス、トランペット、
サックス、ピアノ、ボーカルの大所帯ラージコンボを組んではや数年。

演奏を聴かせるだけでなく、いい時間を過ごしてもらえりゃ
こんなうれしいことはない。
音楽はサービス業だ・・・・・・頑張ります!

場所は堺三国ヶ丘のライブハウス「FUZZ」。
堺っつっても、なぁに、なんばからも天王寺からも10分そこそこ。


            


ムッシュもシーナ&ロケッツもやる、大阪南部のヒップな小屋!
http://www.mikunigaoka-fuzz.com/


    さぁて、お待ちしてますぜ、ダンナ。


水族館ってなものに

2008-09-07 03:10:00 | 


死ぬまでに一度連れて行ってくれ、と家人に願われていた水族館へ、

この夏、朝からのそのそと行ってみた。

海岸通の外人専用船員バー「パセノン」は跡形もなかった。

ひろみママは何処へ行ったのだろう。




夏休みのガキどもを避けたつもりだったが、ガキだらけだった。

間違った選択をしてしまったが、平日の夕方が狙い目である。



ジンベイザメもマンタも、つぶらな瞳のマンボウもいるが、

目に留まったのはイワシの群舞。



タカアシガニ

お父さんがわが子に「これはすっごく美味いんだぞ」と自信満々、
いい加減な説明をしていた。





クラゲを見たら、気持ちがのんびりするなあ。



近くにある洋食の「BEE HIVE」へ。



アツアツのマカロニグラタン 夏場でもあった



ピカタみたいにするハンバーグがここの名物。



ポークカツサンド 

港町へ来ると、妙に洋食気分がかき立てられる。



         海遊館       港区海岸通1-1

         洋食・BEE HIVE  港区築港4丁目




食はワンダーランド

2008-09-06 00:15:53 | 


中秋の名月は、豆名月とも芋名月ともいわれる。
来月にもなれば、東北各地では「芋煮会」がさかんに行われる。

コースの幕開きは「芋名月」と名付けられたアミューズ。
ガラス器の中に、桜のチップの煙が満ちて運ばれてくる。



チョリソーが潜んだ小さなコロッケが1個、軽くスモークされている。
(「あまから手帖」9月号のとびらに関連記事あり)
香ばしい。あと2個は欲しい。

惜しむらくは、サービスの女性がガラスのふたを取ってしまったこと。
これは客にさせるべき。店主は客によってタイミングがまちまちに
なることを懸念していたが、そこはサービスが客のそばに立ち、誤らぬ
ように注意すればいい話。



  ピスタチオのクリームを挟んだウエハース

タイルの皿はキンキンに冷えている。サクッと冷たいお菓子。
オーストリアのグラスワイン白を所望。


  チーズに埋め込んだプチトマト
  イカ墨のボーロ

デザインの妙。シャレたおつまみといった感じ。


 鮎の化石

鮎の骨抜きをした骨を乾燥させ、から揚げにしてクミンなど
スパイスがきかせてある。周囲はアーモンドのパウダー。
標本のようにしてある。シャリっ、コリッ・・・
思わず、「身は何処へ?」と尋ねる。
先月のコースの客が食ったようだ。




だまって、この袋が出される。

こりゃなんだ? 液体の中に、巻貝がひとつ。

次の料理の上で割るのか・・・口の中で噛み切るのだ・・・
おでこに乗せる・・・いろいろ推理していると、次の皿が。



  磯の香りの風船・フランとイクラ

奨められたように、風船の底を嗅ぐと、海の匂いがした。
これを嗅ぎながらイクラが乗ったフランをアツアツのスプーンで。
なかなかの趣向だが、面倒な割にはイメージはひとつになって
くれなかった。
液体は汲んできた海水で、さらに昆布で香りを強化してある。



  自家製焼きたてのパン



  北海道噴火湾のボタンエビ

ゆうに10cmはある。フィンガーボールが出て、これはダイナミックに
手づかみで。頭の味噌が、コバルトブルーの卵が美味い。
身がとろ~り。かすかに火が通してある。


  気泡をたくさん含ませたトリュフのパン

エアーイン、ふわふわの蒸しパン。トリュフオイルをたっぷりと
使ってある。


 小さな筒型パスタ・渡り蟹とミモレットのソース

短いマカロニ状のショートパスタ。食べ続けるとスパイシー。



黒いカプセルが人数分出される。
最初にメニューをもらっていないと、軽いパニックになりそう。

実はカプセルの中には、トリュフソース。



  フィルムに包んだ熱いトマトと和牛肉のエキス、
  トリュフ風味カプセル

200度まで耐えられるフィルム。オーブンに直に入れて12分。




袋を切り開き、カプセルのトリュフソースをポン。
溶けるのを待って食べる。濃厚スープはスプーンで残さず
掬い上げた。


  ピュアなオリーブオイルとトマトのスープ

トマトから抽出した黄金色のジュース。
オリーブオイルがジェラートになるとは寡聞にして知らなんだ!


  うなぎのソテー・黄色ピーマンの酵母ソース

白焼きしたうなぎ、皮がパリパリに香ばしく焼かれている。


  イベリコ豚のロースト ミョウガ、エシャロット

脂が美味い。ミョウガが合う。
メインの魚や肉になると、急にフレンチに近くなるのは微笑ましい。


  イチジク、海水とバラのゼリー、グレープフルーツのジェラート

酸味と塩味、バラの香り


  ティラミス 指でつまめるひとくちサイズ


  クルミの液体窒素ガラピニャーダ

すぐに溶けるので、指を伸ばして下さいとの注釈つき。
ガラピニャーダはナッツに飴をからめたプラリネ風のスペイン菓子。
ヒヤッと快感。カリッと噛むとクルミの香ばしさ。

 

  温かいレモンのマシュマロ、オルチャータのスープ。

オルチャータとはチュファという球根の絞り汁に砂糖などで味をつけた
ミルクに似たスペインの飲み物。
卵白のマシュマロはシュワッと口解け、レモンの酸っぱさ。



  食後酒  自家製リキュール

右から、梅・ビワ・イチゴ・バジル&トマト・アメリカンチェリー


重厚な砂糖壷


エスプレッソ

店主・藤原哲也さんは、まだ35歳。
スペインの先端を行く料理に影響を受け、調理用具なども入手して
実験室のような厨房で作る全17品。小さい料理のあとに手づかみの
海老など、仕掛けがいろいろあり、なかなか愉しめた。
「エンターテインメントですね、楽しませてもらいました」というと、「そういうつもりではなくて、エンターテインメントなら東京にいくつもそういう店があるので、そちらの方に」と、そういう感じの返しがあった。

うちは料理で直球勝負してると言いたかったのかな。
即座には真意が分からなかったが、余りに表層的な、端歩を突くとか鬼面人を驚かす的な評価と勘違いしたのかもしれん。
演出の妙であったり、推理させたり、小さな驚きを与えたりするのだから、これは立派にエンターテインメントだと思うのだが。
そうでなくとも、料理とは上質なエンターテインメントであると考える。
美味いだけでは不十分で、愉しかった・・・こう言わせたら料理人としては本望だと思うのだが、ちがうかな。
気鋭の料理人としては、それでは不満足なのかもしれないけど。




背中合わせにある店でお父さんが洋食屋さんをやっているそう。
そっちへも行ってみたい。



      Fujiya 1935     大阪市中央区槍屋町2