マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

06.5.04   恐れいりやの Spike Jones 

2006-05-04 13:28:38 | 音楽
若き日にコミックバンドみたいなものを組んだ。レコーディングもし、メジャーデビューの話もあったが、プレッシャーのないマイナー契約の方を選んでしまい、それで一巻の終わりだったが、まぁそれなりに楽しくはあった。

スパイクジョーンズを観ていれば、早々にやめていたか、或いは丸々影響されていたかのどちらかだったろう。最近ではアレだな、MTVやCF出身で映画「マルコヴィッチの穴」で聞こえた監督Spike Jonezの方が有名だが、それはパロディで本家本元のSpike Jones(1911~1965)は冗談音楽の大家、なぁに大家といってもふんぞりかえってなどいるもんか。隙を見たら人様の足元を引っ掛けて大笑いしてやろうというような愛すべき連中だ。

カリフォルニア州ロングビーチ出身。少年時代にジャズに目覚めたドラムス子は長じてスタジオミュージシャンとなり、ビングクロスビーのバックを務めたこともあった。30歳でCity Slickers(街のイカサマ師)を7人で結成。パロディ精神にあふれる曲でビルボード誌にチャートインするヒット曲を何曲もぶっ飛ばす。42年の戦時中、ドイツなまりの英語でヒトラーやゲーリングを皮肉った歌「拝啓ヒトラー殿」などはミリオンセラーだ。やるね、どうも。

冗談音楽にはスタン・フリーバーグもいるが、ちょいと知的ネタをするスネークマンショーといったところで、こっちの英語力不足でけっこう難しい。スパイク版はもうちょっとアホらしい。クシャミやしゃっくり、ガラスが大破したり、ピストルが鳴れば鳥が落ちてきたり、ステージで転倒してTpをペシャンコに踏み潰して泣いたり、小人が巨漢の双子姉妹とChanging Partnerを踊ったりする。アホは国境も語学の壁も越える!音源はずい分昔から聞いているが、紐育の知人が秘蔵していた50年代のSpike Jones Showの映像を見て、ともかくぶったまげたもんだ。

まず稀有な面相である。あんな四角い顔のアメリカ人、見たことがない。
南原清隆をロードローラーで潰したようだ。それに緊張なんて言葉はないのだ。演奏中はクチャクチャガムを噛みっぱなし。曲が終わるとドラムのスティックを床に投げつけ、跳ね返ったのを手でキャッチする!これ難しい。

グループは彼のパーカッション(ズラリ並べたカウベルや洗濯板、銃など)を中心にしたジャズ編成のコンボだが、次第にメンバーが増える。前面で行われる動きのギャグに後方のドラムが擬音をつける。サーカスの道化師の具合だね、こういう技術はもっと研究されるべきだろう。

一人一人のテクニックは一流ジャズメンだからまぁ、鮮やかなものだ。初期からのメンバー、前髪を揃えたペリー・ボトキンのテナーバンジョーのスゴさ!ハーポマルクス風のサイレント芸に徹する辺りのセンス!コワモテのTpジョージ・ロックはハリージェームスそこのけのテクニックを持ちながら、カワイイ坊やの声で歌うのが持ち芸。「前歯のない子のクリスマス」のヒットもある。

いい大人が真剣にアホなことをする、スパイクジョーンズ直系バンドが40年たっても生まれていないのは哀しむべきことだ。冗談音楽はできなくとも、その精神は引き継ぎたい!
敬愛する谷啓さんは今だにスパイクジョーンズがアイドルだという。谷さんいいなぁ。昔、オヒョイさんと浅野ゆうこの三人でショーを企てたこともあったが、こちらの力不足で実現に及ばなかったのは、今となっては残念なことだった。


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