マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

南地の粋を伝えるごはん処

2016-03-04 00:39:20 | 大阪ミナミ

玄関先の植木鉢に下町っぽさを感じさせるが、

ここは大阪南地・道頓堀の西。






暖簾に染め抜かれた創業明治三十五年の文字

本当に久々に訪れてみた。20年は来ていなかった。





大黒橋の近くにあったことから、この屋号。

道頓堀の劇場近く、芝居関係者も多く、古くは食満南北、

辰巳柳太郎、池波正太郎…しかし色紙の一枚も飾るでもなし

古い絵ハガキが額になっているだけ。






おひるのかやくご飯に小鉢二品、味噌汁、漬物で千円のセットが

お得である。この日はきんぴらごぼうに茄子のたいたん。

こういうのが出てきては、いけません。






燗酒など所望するわけです。

一人なのですから遠慮することはありません。

遅い昼どきですが、二組ほどの客がいます。

ほどなく、かやくご飯が出てきます。





蓋をとると、ふわ~っとイイ香りが立ち昇ります。

なんでもないかやくご飯だけど、そこにはさりげないコツが

散りばめられている気がします。

具はどれも小さく刻まれ、ゴボウで香り・こんにゃくで食感・

油揚げで脂っ気を補い、細かいもみ海苔がまた香りを加えます。


一粒ずつが分かるちょっと固めの炊き方がいいんです。

そいつをふわっと空気を含むように大き目の飯椀に盛ってある。

ベタベタせず、箸離れがいいんです。

う~ん…と、唸らされました。







味噌汁がまた、ここならでは。

玉子入りなんてのは、おつなもんですね。

白味噌の中に半熟卵の入った白玉、赤玉(赤だし玉子入り)、

この季節は粕汁もある。

南地の遊び人あたりが、精つけるために卵落としてくれ、と

なったのでは、と勝手に想像。






なんでもないこんな香の物でも、ちょっとひねってある。

そんな心意気が嬉しいというものではないですか。

織田作の『夫婦善哉』に出てくる千日前の「だるまや」は

実際には「だるま」というかやくご飯の店だったが、

バブルの頃に廃業。僕の記憶ではこちらの方の味が上。

向こうはもう少しベタッとしてた気がします。


サラッと食べ終えますが、アッサリとした中に滋味深いものあり、

胸がいっぱいになります。

無残に変貌を遂げる南地ですが、ここに良心が残っていたような

大阪、まだまだ捨てがたい、ええとこあるやん…そんな気さえします。







「大黒」のかやくご飯、昨今、お忘れではないですか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2016年、今年の目標は…ご... | トップ | 60年変わらぬ梅田駅前シリーズ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

大阪ミナミ」カテゴリの最新記事