ラーメンに開眼したのは東京で、である。それまで関西で旨いところで食ってこなかった。というか、大阪はうどん文化の地、ラーメンには割かし冷淡だったように思う。
荻窪の「丸福」で並んで食い、目からウロコだった。名人気質の笑わない店主が居て、もやしの茹で方に至るまで手順通り。煮玉子に初めて出会った。元ダレに煮玉子の煮汁をチョロッと入れる。コクのあるストレート麺の醤油ラーメンであった。
神田「ピカ一」のラーメンも衝撃だった。ネギと生姜の匂いが後をひく、これも澄んだ醤油ラーメン。今、いたる所にあるつけめんは、当時まだまったくの少数派で、深夜酔った帰りに何処もやってなくて仕方なく入る「つけめん○王」ぐらいしかなく、何度もトライするがその都度、感動なく出たものだ。
ということで、我がラーメン愛は醤油に尽きる・・・!
コテコテと背脂が一面に浮いたり、店前まで豚クサイラーメンは去れ。つけめんも変に食べ過ぎてしまい、食後、膨満感に苦しむので、やはり適量の醤油系を是としたい。
この海苔一枚が、守旧派を主張する!
ケレンを求めず、基本に忠実に、オーソドックスが一番と言う店主や、いさぎよし。されど立ち止っているのではなく、ああでもないこうでもないと、スープに麺に工夫を凝らし、かなりの原価をかけた醤油ラーメン。これがカドヤ食堂の看板商品である。
それでこの価格。壁ひとつ隔てた部屋に製麺機を置き、自家製麺にする。
のど越しのいい、歯切れのある麺。じんわりと旨みが溶け出したスープは主に淡海鶏を。チャーシューには白金豚を使う。
すでに昼の営業時間は過ぎた。
ちょっと悪戯に、和風のラーメン作るから・・・と、亭主の大きな背中が動く。
出てきたのがこれ!四角いきつねが2枚乗った、和風中華そば。
和だしに中華めん。こういう和風ラーメンが食堂などによくあった。
大国町の洋食屋に生き残っていたり、姫路のきいそばというのも、
この世界ではなかったか。未体験ながら、なつかしく、美味。
ホントは味噌も行ってみたかったが・・・今回は我慢しよう。
奥さんの実家がここで大衆食堂を営んでいたことから、この屋号がある。
この佇まいで食べられるのも、あと僅かとなった。
6月末か7月には西区新町に進出し、勝負に出る。
カドヤ食堂 大阪市鶴見区鶴見4