我らの時代、今どきのようにフレンチやイタリアンなどなかった。
記憶の中の洋食は、阪急百貨店の大食堂だ。常にざるそばとソフトクリームでいい兄貴、僕はお子様ランチなども寄せ付けず、大人サイズの鉄板でジュージュー持ってくるよなハンバーグステーキに、両手を広げたようなガラス器にプリンだのフルーツだのが乗り、生クリームで飾られた○○アラモードなんぞをせがんだ。いい死に方しない。ご馳走してくれた叔母たちには散財させて申し訳なかった。今頃言うな。
ここはJR桃谷駅から東へ。商店街をぶらぶら歩く。
グリル・ポッケ 1961年に開店した小さな洋食屋。
庶民的なしもた屋が連なる中、さぞバターやクリームのいい匂いは
魅力的だったことだろう。
10年ほど前に二代目が継ぐと同時に改装して、きれいになった。
ランチ時に行くが、夜のメニューにも対応してくれるのが素敵。
初ガツオ、生ウニ、アワビなど造り、鉄板焼きやかき揚げなども。
つい、ビールをたのんでしまう。昼間っからビール。たまんねっす。
ワインのあて盛り合わせ
生ハム、パテ、ホタルイカフライ、オリーブマリネ、チーズ、ピクルス
二人でシェアしても十分。洋食屋でこういうのは嬉しいね。
時間が許すなら、前菜二、三品とってワインを一本開けたい。
ポッケ風オムレツ (そら豆・小海老・モッツァレラチーズ)
見事に紡錘形。中はトロトロ半熟玉子。板東英二や円広志ではないが、我々以上の年代は異常に卵に執念を持つ。満足に食えなかったからだろう。今の卵とは価値がちがわい!
ステーキ屋のユッケ
通常は前脚のすね肉あたりを使うと聞いたが、ここは如何に。
鹿児島の和牛を使用。揚げニンニクがいい感じ。
後日、ロースとろ刺身を食べたが、少し時間をおくと脂が溶け出し、
だらんとしてしまった。いい生肉は、お喋り後回しで即座に食らうべし。
Aセット (ハンバーグ・季節の魚フライ・海老フライ・クリームコロッケ・ハムサラダ・オムレツ)これだけ楽しめて¥1200
これにグラスワインでも付けりゃ、立派にディナーになる。
和牛ビフカツ 近頃はとんかつにやられっぱなしのビフカツ。20年前ぐらいまで大阪でろくなトンカツ食えなかったもんだ。いつの間にか江戸前寿司、蕎麦などとトンカツも台頭し、ビフカツは肩身の狭い思いをしているが、肉処関西においては、カツといえばビフカツよぉ。
中はこんな感じの揚げ具合。和牛フィレ、ものの数分で揚がる。
ステーキとはちがうゴージャス感! やっぱこれだい!
カツサンドで食いたい。
オムライスも所望。ケチャップライスの中身は小海老、煮豚、玉ねぎ。
ケチャップではなく、ドミグラスソース。
洋食屋はやはり、ドミグラスソースなんだなぁ。照りとツヤ、コク。
あの濃くて甘くてビターな、別名をソース・エスパニョール。このソースに昔の日本人は遠い舶来文化を夢見たのだ。
う、う、うめぇ・・・ すでに腹は苦しいのであるが、匙が止まりません。
ぶざまに食い気に走っておりますが、リストを眺めるとワイン、日本酒などへのこだわりある店と分かる。ゆっくり洋食で飲みてえ。
嗚呼・・・・・・余は満足でごぢゃります。
グリル・ポッケ 生野区桃谷2丁目
※いつもながら、住所はざっくりと。歩いてお探し下さいますよう。