伊賀焼きの長谷製陶のある里「長谷園」へ。
そこの二百年を経過した母屋で食事が出来る。
座敷の外は手入れの行き届いた庭。
濡れ縁の側には水琴窟の音がする甕がある。
鉢山亭虎魚こと佐藤隆介氏の筆による屏風。
佐藤氏肝煎りの窯元だったと、あとで合点が行く。
佐藤氏は池波正太郎の弟子で料理や酒に関する著作も多い。
前菜に出てきたのは菜の花、田芹、土筆の佃煮に野蒜、酸葉。
焼味噌をコンロで炙って、それを野蒜につけて食べる。
春に芽吹く野草の力で清浄な心持になる。
酒は地元青山の地酒、純米吟醸義左衛門。器は全て長谷製。
昼食なのだが、今回は運転手もいる。ズンズン飲む。
伊賀、山麓豚のベーコンを使ういぶし鍋。これが主菜。
木酢酸を飼料に入れて肥育しているため、脂にクセがない。
まずは焼いて食べる。うめぇ!
鰹昆布のだしに、まずベーコンを入れると、洋風の味に
変わって行く。野菜にレタスが入るのも面白い。
コショーをふっていただく。だしがいける。
鍋の合間には豆腐の蕗味噌焼。
揚げの田舎焼(写真、中に葱がたっぷり)。
鍋のベーコンがなくなると、豚肉を追加して豚しゃぶにした。
仕上げには麺。中華麺を入れてニラ、メンマ、海苔。
料理評論家K氏が私を目掛けて投げた麺の端くれが、鴨居に!
このうつけ者めが、伊賀の旧家をなんと心得るッ…!
世が世なら、お手打ちにいたされたか。
食った食った…真っ直ぐ座ってられない一行。
隣り合うショールーム(って言葉は使いたくないが)で焼き物が
売っており、ご飯炊きの土鍋「かまどさん」を買って帰る。
こんなに有名な土鍋だとは、帰ってから気付いた。ふたを開けるともう一枚中蓋があり、そいつがドッシリと重くて、圧力鍋の役割を果たすという。
七代目はなかなかの策士とみた。アイデアを凝らした製品を送り出している。かまどさんで炊いたご飯は、旨いの旨くねぇの。(どっちだ!)
三重県伊賀市丸柱569 「なが谷 母や」