勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

第5話 六波羅蜜

2011-05-12 21:34:20 | Weblog
六波羅蜜の第二番目「持戒」の続きを。

十善戒の先頭は「不殺生」。生き物を殺さない、生き物を大切にする。それは常識人であれば誰でも知っている。例えばご飯を食べる時の「戴きます」は、生命を戴きますということも想像に難くなかろう。ところが、多くの人はその所作が形式だけになっていないだろうか。

ここ2~3日の食卓を思い出してみて欲しい。一体、どれほどの生命が犠牲になっていることか。それに肉(特に牛肉、馬肉、羊肉、豚肉などの4つ足)などが加わってくれば、当たり前の感覚で食すことがあってはならない。このことについてGikoohは、先人の僧侶達から戒められてきたし、肉食を好む僧侶は資質を疑わざるを得ない。Gikoohも一切食べないというわけではないが、肉が目の前にあると気持ちは高まる。懺悔と感謝の気持ちを持って、心からの「戴きます」と感じることを忘れない。魚や野菜も勿論そうだ。

人間の都合よい主観だけで生活をしてはならない。Gikoohの息子は小学1年になったが、給食の様子を聞いてみると食べ物を平気で残す子は多いという。これは教師というよりも親が教えなければならないことで、無感覚で成長することは将来無感情の人間を作り出すことに繋がりかねないから強く戒めなければならないと思う。無感情でなくとも、あまりに親の都合だけで育ってしまうと将来その子がどんな子に成長するのか手に取るように分かってもしまう。

多くの生命のお蔭で今日の私を養っているわけだから、心静かに「戴きます」と「ご馳走様」を感じて欲しい。食事は無数の生命と向き合っていることを忘れてはならない。その上で不殺生とはいかなることか。意味は物凄く深い。

②以降は特に説明の必要もないと思う。

次回は六波羅蜜の第三番目「忍辱」についてお話をする予定。
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第4話 六波羅蜜

2011-05-11 21:34:44 | Weblog
東日本大震災発生から2か月の今日、被災地にもよると思うけれど、少しずつ前へ前へ、良い方向に進んでいるように見受けている。そんな復旧と復興に向けて動き始めた多くの地域を拝しながら「神仏のお加護がありますように」と祈る毎日だ。

六波羅蜜の第2番目は「持戒」(じかい)。戒をまもり、戒を保つということだ。

仏教には沢山の戒律があるけれど、在家の方々がよくご存知なのは「十善戒」だろうか。十善戒を参考にしてみると、

①不殺生…生き物を殺さない。
②不偸盗…盗みをしない。
③不邪淫…ふしだらな男女関係を持たない。
④不妄語…嘘、偽りを言わず。
⑤不綺語…心にもないことを言って人を迷わさない。
⑥不悪口…悪口・陰口を言わない。
⑦不両舌…二枚舌を使わない。
⑧不慳貪…貪りの心を持たない。
⑨不瞋恚…そねみの心を持たない。
⑩不邪見…誤った見解を持たない。

①~③までは身体に関する戒め3つ、④~⑦までは言葉に関する戒め4つ、⑧~⑩までは心に関する戒め3つのことだ。仏教では貪(道理をはずれた貪りの心)・瞋(怒り)・癡(愚か、道理が分からない)を三毒といい、あらゆる煩悩の根本とされている。十善戒を一覧すれば、私たちの悪い行いの殆どが、身3・語4・意(こころ)3のこれらから発生していないだろうか。

続きはまた次回に。
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第3話 六波羅蜜

2011-05-10 21:21:46 | Weblog
今日は午後から茶道の稽古があった他は如常の1日。Gikoohは花を生けることが好きだから、摘んでくる花から季節を感じることが多い。境内の牡丹は終わり、芍薬はまだ少し早く、今は紺蝋梅、ツツジ、山ボウシ、楓、ドウダンツツジ、これは漢字で書くと満天星ツツジとなるのだが、小豆ほどの小さな花が葉から沢山ぶら下がり満点の星空を連想させる。

ところで日替わり法話(brog)の背景は、お世話になっているサーバー「goo」から提供される多くの雛形から自由に選択し、使うことが出来る。季節や雰囲気によって時折変えているのだけれど、9日から手塚治虫先生のブッダにしている。いよいよ今月28日(土)から全国ロードショーで「ブッダ赤い砂漠」が上映される。映画の限られた時間内でお釈迦様のことを伝えることは難しいと思うけれど、ブッダという途轍もない偉大な聖者のことを、それも手塚治虫という途轍もない巨匠の作品で大勢の人に知ってもらえることは、仏教者として何と有難いことか。映画の大ヒットを願っている。

さて、六波羅蜜の1番目は「布施」(ふせ)。皆様は「布施」と聞くと何をイメージされるだろうか。

布施は施しをすることで、これには大きく分けて財施(ざいせ)・法施(ほうせ)・無畏施(むいせ)の三種がある。財施は金品の施し、法施は仏法を説くこと、無畏施は苦しんでいる人から怖れを取り除くことを指す。更に無財の七施(しちせ)といって、財がなくとも出来る施しが七つあるから紹介しよう。

・慈眼施(じげんせ)…慈しみの眼で生命を見る。
・和顔施(わがんせ)…穏やかな顔で生命に接する。
・愛語施(あいごせ)…慈愛の言葉で生命に話す。
・捨身施(しゃしんせ)…身体で奉仕する。(ボランティア等)
・心慮施(しんりょせ)…心配りをする。
・床座施(しょうざせ)…席をゆずる。
・房舎施(ぼうしゃせ)…雨露をしのぐ場所を提供する。

六波羅蜜の先頭にある「布施」。一番目という意味も考えつつ、今この瞬間から発心して彼岸に到ることを心掛けられたい。

次回は第2番目の「持戒」。それでは今夜はこの辺で。
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第2話 六波羅蜜

2011-05-09 21:33:02 | Weblog
屋外へ出ると少し暑さを感じるものの、屋内はまだ清々しく過ごしやすい。

午前中は草刈りと、筍掘り、その後は林鶴山さんのお宅へ、夕方は畑に行きトウモロコシの種を蒔いた。

ところで、昨日に続き第2回目の今回は、六波羅蜜の六つの徳目を紹介しよう。今までに何回か書いているので既にご承知の方もおられよう。

①布施…施しをする。
②持戒…戒をまもる。
③忍辱…辛抱する。
④精進…弛まず努力をする。
⑤禅定…心を鎮める。
⑥智慧…正しい智慧を持つ。

この六つだ。一遍に書けばよいのだけれど、明日から1つずつ内容を見て行こうと思う。書けない日もあると思う。
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第1話 六波羅蜜

2011-05-08 22:46:02 | Weblog
今年の大型連休は法事も少なく、子供達と多くの時間を共にすることが出来た。法事では
近頃、よく六波羅蜜のお話をさせて頂いている。般若心経を読誦していると「波羅蜜多」という言葉が何度も出てくる。この波羅蜜多は一般的に「到彼岸」、即ち彼岸に到るという意味がある。彼岸とは彼の岸のことで、安寧の世界を指す。それに対してこちらの岸を此岸といい、そこは悩みや苦しみの世界である。仏教では心に菩提芯を発し、生活を律して彼岸に到ることを説いている。

その彼岸に到る為の方法が「六波羅蜜」の方法として六種類説かれているが、そのことは以前も何度か紹介しているが、仏教の教えの中で大事な内容であるからまたの機会にお話ししようと思う。

今、皆様もご周知の通り日本は大きな岐路に立たされている。世を動かす一部の人達だけではなく、1人1人が今をどう生きるかによって国の将来は変わるといっても過言ではなかろう。

理想の生き方が分らぬ人、人間教育としての子育てに自信が持てぬ人、現在の環境に悩まれている人、次回から何回かに分けて六波羅蜜をお話しさせて頂くのでしばらくの間、Gikoohの日替わり法話に付き合って欲しい。一度に書けば良いのだけれど、朝夕晩と拝む時間に気を高めて精神を集中させているせいか、ここ2か月ほど夜更かしが難しくなっている。今夜は珍しく遅くなっているが、この辺で。
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日記

2011-05-07 22:01:55 | Weblog
午後、勝福寺の役員会があった他は如常の1日。本堂内陣の床板と座板の間が若干開いてきたので締め直し、一部張り替える運びとなった。勝福寺に華美さはないけれど、檀家さんの厚いご理解があるので、継続的に修繕することが叶っている。周囲の環境が整うことによって本尊様も先祖様も行き届いた供養が出来、非常に有難く思っている。
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朝茶

2011-05-05 22:20:37 | Weblog
5月に入り、1日と3日は法事があり、その他の日は茶室の「炉」→「風炉」へ替えたり、書院建具の入れ替えや掃除、そして茶会等に出掛けてきた。

昨日4日は実家の母とGikoohで、倉敷市真備の「まきび公園」で開催された吉備真備公献茶会を訪ねた。家内や子供達はご近所のFamilyに誘って頂いて「しじみ採り」に出掛けた。お茶会は雰囲気が良く、しじみ採りは初めての体験ながら友達と一緒ということもあり、とても喜んでいた。

今日も法事がなく、子供を何処かに連れて行ってやろうと思ったGikoohは昨日お茶席のあったまきび公園で、朝茶と朝食をして、その後倉敷のライフパーク、そして実家へ行った。いずれも勝福寺のホームページで様子をupしたので是非ご覧を。
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勝福寺の筍の収穫 今が旬

2011-05-02 21:31:02 | Weblog
如常の1日。勝福寺では裏山で例年より2週間ほど遅れて筍の収穫(1日に5本前後)が最盛期を迎えている。4月は気温が低めだったので中旬頃から採れ始めたのだが、ここ5~6日は次々と頭を覗かせている。

小学1年生になった息子が同級生達と掘ったり、タイミングが合えばご来山者に差し上げたり、重宝している。山は危険も多いけれど、自然と共に生活出来る環境は有難い。

明日は法事がある。今夜はこの辺で。
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5月に

2011-05-01 22:22:32 | Weblog
5月に入った。皆様、大型連休はいかがお過ごしだろうか。勝福寺では法事も少なく、檀務のない時には家族で共に過ごす時間を大切にしたり、溜まった寺務仕事等をしている。それから、ホームぺージの方で寶燈展の写真をようやくupすることが出来たので是非ご覧を。

震災の発生以来、Gikoohは檀務等の行うべきことを行いながらも心のどこかで常に気に掛っている。被災地の復興、原発の収束、突如として犠牲になられた多くの生命の鎮魂を祈る修法は100座を数えた。余程の法力を持した高僧でもない限り、1度や2度の修法では念は通じないないだろうから、とにかく持続することが必要だと今は思う。避難生活を余儀なくされている方々の気持ちが少しでも前向きになられるように願っている。Gikoohは引き続き可能な範囲で、被災者には観音菩薩の慈悲を、専門家には虚空蔵菩薩の智慧が授かることを、犠牲者には地蔵菩薩の魂の浄化を念じ拝みたいと思っている。

気学の師匠から教わった言葉だが「窮すれば通ず 通ずれば変ず」、まさにその通りだと思う。
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