勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

山口県上関町

2023-08-25 22:47:22 | Weblog

山口県上関町。海と海の独特な地形が織り成す神秘的ともいえる美しい自然豊かなこの小さな町に、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設するプランが今月初旬、中国電力によって発表された。建設は決定ではないものの、この先恐らく饒舌に進められるような気がする。結論から申せば、Gikoohはとても心配している。釈尊が教戒されているように「諸行無常」、形あるものは必ず壊れるのが世の真理だからだ。

この先数十年の目先のことだけ考えれば、莫大な補助金が交付され一時的に町は潤い活性化するだろう。しかし現実は、全国が抱える超少子超・超高齢化、ネット依存社会に伴う学力低下、コミュニケーション力の低下、将来万が一の事故が発生した場合に誰が施設をコントロールするのか。100年先、300年先にその人材の確保の目途はついているのか。そんなことを真面目に考えると中間貯蔵施設等、脅威の存在になりかねない。何か良い方法はないものか。電力はなくてはならないけど、異常なまでに利便性を追求する社会が背景にあるので容易ではないと思う。今私たちに出来ることの一つは、贅沢三昧の生活を改めて倹約(節電)に努める以外に問題を超えることはできない。

そして、美しい日本を後世に伝えていくためには、家族の在り方の根幹を揺るがした第一の原因とも思う核家族を見直さなければならないと感じている。地域のそれぞれの家族が固まって生活していれば、過疎にもなりにくく、千年以上続く田地を潰して新たに住宅地や商業施設をつくる必要もない。先祖代々の田地や山を所有する人は、受け継いだ子がその土地を護るという心構えを持って欲しい。

この辺りは、政府がしっかり将来を見据えて舵を取らねば、一人一人の努力で何とかなる問題ではない。

理想かも知れないけれど、人が自立して一人前になる過程には、親、祖父母、地域の支えは欠かせない。耳の痛い話かも知れないが、これまで目を背けてきたことが今、しっぺ返しとなって様々な社会現象に現れていることを考えねばならない。

仮に、中間貯蔵施設が現実化しても、未来永劫の安全神話はない、ことを我々は覚悟しておく必要がある。この先、子孫代々不安を抱えるよりも、今、国民全員が電力の使い方を改めて核のゴミを増やさない努力をするのが賢明だと思う。瀬戸内海を護りたい。

今夜は少し偏った文章で申し訳ない。

コメント
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