自在コラム

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☆仮設住宅に寄り添う花々 金沢城の石垣修復に15年以上も

2024年06月09日 | ⇒ドキュメント回廊

  先日(6月6日)、輪島市杉平町の仮設住宅の前の道路を通ると、ペットボトルに入れた花が並んでいた。つい立ち止まって見ると、アジサイ、ニッコウキスゲ、シャクヤクなど季節の花だった=写真・上=。金沢では5月の花だが、能登では少し開花時期が遅れるので、今が見頃かもなのかもしれない。ふと思った。おそらく、この仮設住宅の住人が倒壊した自宅に行き、庭に咲いていた花々なのだろう。いつもなら、自宅の玄関で生けて飾っていたかもしれない。その花々を眺めていとおしく思ったのだろう。さりげなく仮設住宅の軒下で生けた。

  話は変わる。兼六園の向かいにある国史跡の金沢城跡。見どころの一つは城をぐるりと囲むように広がる石垣の城郭だ。壮観なのは菱櫓(ひしやぐら)、五十間長屋(ごじっけんながや)、橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)の石垣だ。「打ち込みハギ積み」と呼ばれる技法で、形や大きさをそろえた割石を用いて積み上げたもの。そうした石の種類の多さや積み方の多様性、そして美的な造形から、金沢城跡の城郭は「石垣の博物館」とも言われている。

  その金沢城跡の石垣が元日の地震で28ヵ所で被害が出て、うち5ヵ所で崩落が起きていると、石川県議会6月定例会の一般質問で馳知事が述べた。石垣の復旧には少なくとも15年以上はかかる見通しという(6月8日付・メデイア各社)。

  その崩れは城跡の南西側を囲む外堀「いもり堀」から見ても分かる。石垣が上部から中間部まで崩れ落ちている=写真・下=。震災のあった翌日の1月2日に撮影したものだ。このときは、城跡の被害の全容は見ることはできなかったが、5ヵ所も崩落が起きていたとは。

  金沢の最大震度は5強だった。その被害は、城郭の石垣の崩れだけでなく、同じく国史跡でもある「加賀藩主前田家墓所」にも被害がある。加賀百万石の礎を築いた前田利家の墓碑、そして横にある正室まつの墓碑は無事だったが、敷地面積が8万6千平方㍍にもおよぶ前田家墓所では相当な数の石灯篭などが倒れている。国の史跡なので金沢市文化財保護課が修復することになるのだろう。城跡の石垣と同様にかなりの時間がかかりそうだ。

⇒9日(日)午後・金沢の天気   くもり時々あめ


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