自在コラム

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★能登の道路は災害に強く再生するチャンス

2024年07月16日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島地震の影響で、金沢と能登をつなぐ主要地方道「のと里山海道」は現在、徳田大津ICから穴水IC区間(27㌔)が金沢から能登への片側一方通行となっている。実際に走行すると、半島の奥に行けば行くほど道路側面のがけ崩れがひどく、いわゆる「盛り土」の崩落個所が多くある。大きな崩れは21ヵ所で見つかっている。

  能登半島は平地より山並みが多い。このため能登の道路は、山を削った土で谷を埋めて造成する、盛り土の道路でもある。ここに地震の揺れや大雨で地崩れが起きる。かつて大きな事故もあった。1985年7月11日午後2時21分、穴水町の山中で、金沢発の急行「能登路5号」(4両編成)が脱線し、前方3両が7.5㍍下の水田に転落。乗客の7人が死亡、29人が重軽傷を負った。事故の12日前から大雨が続いていた影響で、線路の盛り土が崩れ、線路が宙づり状態になっていたところに能登路5号が走ってきたのだった。能登線は2005年に廃止となり、現場から線路は消えたが、慰霊碑が立っている。

  能登の人たちが大規模な盛り土の崩落現場を目にするのは3回目となる。前述の、ことし元日の能登半島地震での「のと里山海道」、1985年7月11日の能登線事故、そして、2007年3月25日の能登半島地震で起きた各地の道路崩落だ。

  NHK・Eテレの科学番組『サイエンスZERO』(7月7日・再放送は同月13日)で「能登半島地震から半年 暮らしの大動脈・道路を守れ」をテーマに能登半島地震で被災した橋梁やトンネル、道路盛り土に関する土木研究所の取り組みが紹介されていた。

  番組では、能登で造成されている新たな道路「輪島道路」では2007年の盛り土の崩落の教訓などを活かして、崩落の原因となる道路地下の水を抜く「排水工」=写真・上=や、崩れを防ぐため金網に石を詰め込んだ「ふとんかご」を道路の下部に設置して耐久性を高めるなど強靭な道路が造られている。このため、新たな道路では元日の地震で盛り土などでの崩れはなかった。また、のと里山海道の橋梁では橋脚の部分を鉄板で耐震補強が施されていたため大きな損壊などはなかった=写真・下=。

  地震や大雨などで泣かされたきた能登の基幹道路が最新の土木工学や震災工学で再生するチャンスかもしれない。

⇒16日(火)午前・金沢の天気     くもり時々はれ


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