自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登地震から半年の風景~⑩ 日常を取り戻す、能登の人々の心意気

2024年07月11日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島地震の被災地では日常を取り戻そうといろいろな動きがある。震災と火災で開けなくなっていた輪島の朝市が市内の商業施設できのう10日から営業を再開した。イメージカラーのオレンジ色のテントで海産物や野菜を並べた35店舗が出店している。地元メディアの報道によると、発災以来、初めて顔を合わせる店主と客が近況を報告したり、握手したりして再開を喜ぶ姿も見られたという。

  先日(7月5日)に能登町の仮設住宅の横を通ると、簾(すだれ)が掛かっている家々があった。そして、窓の日よけのためだろうか、つる性の植物が伸びていた。夏の暑さ対策をエアコンだけでなく、いろいろと工夫している様子がうかがえた=写真・上=。これまでの日常の生活で行ってきたことを仮設住宅でもさりげなく、そんな雰囲気を感じた。

  同じ日に輪島市門前町で見た光景だ。被災した中高年の女性と、がれきの撤去などを行う支援ボランティアの人たちの笑い声が聞こえた。話の内容は分からなかったが、楽しそうに会話している様子が伝わってきた=写真・下=。能登の人たちは初対面の人たちと違和感なく話すことに長けている。これは能登の特性と言えるかも知れない。

  それは迎え入れの文化と言える。能登では夏祭りや秋祭りが集落単位で行われ、山車を回し、キリコを担いで威勢よく盛り上がる一方で、家々では「ヨバレ」という「もてなし」が行われる。家族全員がホスト役となる、年に一度の盛大なホームパーティーである。ヨバレた側は今度、自らの集落の祭りの際には呼んでくれた人を招くことになる。祭りを通じて能登の人たちは幼いころから招き、招かれる振る舞いの所作を身に着ける。こうした祭り文化を通じて、能登の人たちの初対面の会話力が身についているのだと思う。

       勝手な想像かもしれないが、日常を取り戻す能登の人々の心意気が垣間見えた気がした。

⇒11日(木)夜・金沢の天気    くもり   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする