自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「北斎」の次は「ダヴィンチ」 中国のおちょくり

2021年06月16日 | ⇒トピック往来

    中国は名画で風刺する広報戦略をとっている。ネットのニュースでみつけた記事(6月16日付・FNNプライムニュースWeb版)=写真・上=によると、G7首脳会議に中国が反発を強める中、ネット上で拡散されている『最後のG7』と題したイラストを、中国共産党系のメディア「環球時報」英語版が報じた。G7の国々に、オーストラリア、インドを加えた9ヵ国を動物に模し、テーブルには中国の地図が描かれたケーキが置かれている。

   レオナルド・ダ・ヴィンチの壁画「最後の晩餐」を模したものだ。図をよく見ると、日の丸の帽子をかぶった犬が、ヤカンからグラスに緑色の液体を注いでいる。この液体は福島第一原発の処理水を意図しているのだろう。 アメリカの国鳥のハクトウワシを中心に動物たちが囲んでいる。芸が細かいと思うのは、ワシの前ではトイレットペーパーをドル紙幣にプリントするような図柄。金融緩和と称して、価値のないドル紙幣を刷りまくり世界にバラまいているとでも言いたいのだろう。

   風刺画やパロティー画は思わず笑ってしまうものだが、それを中国が発信するのでは笑えない。香港やマカオの近くにある広東省の原発で放射能漏れが起きているという報道(6月15日付・CNNニュースWeb版日本語)もあるので、中国にとって、タイミングが悪いのでは。

   パロディー画と言えば、2ゕ月前にもあった。日本政府が東電福島第一原発で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出する方針を決めた(4月13日)。すると、中国と韓国が反発し、中国外務省の趙立堅副報道局長が同月26日付のツイッターで、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を模したパロディー画像を投稿して批判した=写真・下=。富士山を原発とみられる建物に、そして、防護服を着た人物が船からバケツで液体を流す様子が描かれている。

   他国を揶揄するような風刺画の投稿がネットで相次ぐ。おそらく、作者は中国御用達のイラストレーターだろう。それにしても見た人を思わずクスリと笑わせるセンスがない。単なる「おちょくり」にしか見えない。

⇒16日(水)夜・金沢の天気      くもり


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