少しずつ片付けをはじめて、徐々に、物事が整理されてきた。母がなくなり、もう一年になる。
一年かけて実行してきたわけだが、手続きのあれこれ、遺産の分割、登記など、仕事の整理、品物の整理、廃棄とやるべきことが、いくつもあって、そのひとつひとつが手順もあり、そう簡単にはいかない。
それでも、やらざるを得ないから、やれるところから着手し、少しずつ実行してきたものである。家を明け渡すつもりはなかったから、本を多く集めたことが、最終的には、もっとも決断しにくいものとなった。全部捨てるとならば簡単だが、パラパラと見てみると、どれもこれも未練がでてくる。
そのうち、ある俳人の「文学作品は、最初から終わりまで読む必要などない」の言葉をみて、より本の廃棄についての未練に拍車がかかった。
ちょっこと見るだけでも、未練がでてくる。そうなれば、できる限り、手元において置きたくなり、できるだけ、捨てない方向へと舵をきりなおした。庭に、物置を設置し、できるだけ廃棄しない方向を選択した。
以来、妻も結構本に触れることなり、この本を活かす暮らしになりそうで、これも引越しの余録だと思っている。