でっかいタケノコを肩に担いでいる
doironの姿に驚いた住職に
「〇〇さんとはお知り合いなんですか?」
と聞かれてしまった。
「つい今しがた知り合いになったばかりです。」
と答えると、
「変なおっさんやなあ」というような目で
見られてしまったわい。
後でミセスにも
「タケノコ欲しそうな顔してみてたん違うの」
といわれてしまいましたが、
けっしてそんな意図はなく、
車の件もあったし、
楽しく山話をしただけだったんやでと反論。
「全く誰とでも話をするんやな」
とほめられ?た。
さっそく開眼式用に持ってきた果物や
義父さんが生前に好きだった食べ物、
缶ビールにお酒、
そして聖天さんで買ってきたワンカップローソク
とともに、そのタケノコもデーンと置いて
開眼式をしていただくことになった。
関東に住む義兄は、
近所で墓といえば圧倒的に洋墓なんだそうなので、
墓の形は義兄のこだわりで
洋墓にしていただいた。
黒御影の特別注文の墓で、
費用は決して安くなかったが、
見る限り石の質もよく
デザインもみんなが満足のいく形になっていたのは幸いだ。
開眼式というのは、
墓の完成の際に営まれる法要のことで、
いわゆる入魂式のようなものである。
住職による読経やちょっとした儀式、
参列者の焼香などが行われ、
そして今回の場合は最後に墓石を少しずらせて、
そこに義父のお骨を納めて法要が終わった。
時間にして40分くらいのものである。
無事に法要を終えて車に戻ると、
な、なんと運転席の横に地面に
掘りたてのタケノコが3本、
デーンと置かれてあった。
どうも〇〇さんが追加で持ってきてくれたようだ。
ホンのひと時の出会いで、
そこまでしてくれるとは本当に有り難い。
見ると停めてあった軽の貨物もなくなっていた。
心の中でお礼を言って、
さあ山下りだ。
登りに比べて下りの方が断然怖い。
乾いているとはいえ、
枯葉の積もった山道は滑ることこの上ない。
下手にテールを振ってしまったら、
頭から斜面に突入してしまいかねない。
ギアをローに入れ、
重力とブレーキだけを使って慎重に下っていった。
途中、分岐の山道の方に
〇〇さんの車が止まっているのが見えたので、
姿は見えなかったけど
道が狭くて降りられなかったので、
クラクションを鳴らして
開けた窓から大きな声でお礼を言ったら、
どこからともなく
「おう」という声が聞こえたような気がした。
帰りも木でミラーを少しこすったくらいで無事に下山。
寺の山門のところにあるお店で、
予約してあった昼飯を食べ、
帰宅したdoiron一行なのでありました。
もちろん帰ってからもミセスは忙しい。
いただいたタケノコを半分うでて、
残りを友達に持って行ったら
喜んでいただいた。
こうして、開眼式も無事に終わり、
義父の件は一段落だ。
これからは、当麻寺に
おりに触れて出かけることになるだろう。
サクラ、ボタン、
紅葉などを愛でがてら墓参りに出かけようと
楽しみに思っている。
後は実父母の墓への埋葬が残っているが、
まあこちらは慌てず、
墓の整備も考えながら
じっくり取り組めばいいかな。
新緑が出そろい、
梅雨の季節が終わったら
「初盆」がやってくる。
浄土宗の初盆は大変だ。
わらの家や野菜の動物などを作って
盛大にお迎えしてあげないといけないらしい。
我が家の場合は、
二人分の初盆を一回で済ますという、
あまり前例のないことなので、
近所の人に段取りを訊いても
要領を得ないことが多い。
ここはお寺とよく相談しないといけないかもなあ。
まあ、なにわともあれ、
こうして少しずつ別れの儀式は過ぎてゆき、
徐々に慣れながら、空白は埋められ
生活が日常に戻っていくのだ。
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