小路幸也著"キサトア"を読みました。
今まで読んだ小路さんの小説とはちょっと雰囲気が
違います。
現実の世界からちょっと離れた、読者は小学生高学年を
想定しているのだと思います。もちろん大人が読んでも
おもしろいです。
不思議な感覚の本でした。
キサトアは双子の姉妹、キサとトアです。
キサは日の出と共に起き、日の入りと共に寝てしまいます。
トアは反対に日の入りと共に起き、日の出と共に寝ます。
2人が会話出来るのは一人が起き一人が寝るほんの数秒だけ。
主人公は2人の兄アーチー。お父さんのフウガは風の
エキスパートです。風を読む才能があります。
双子のことがあって今は休職中です。
海のそばの町に住んでいます。カンクンジョと言われている
宿をやっています。
アーチは芸術的な才能があって常に何か作っています。
アーチの友人、近所のレストランの主人、パブのママ、
カンクンジョの長期滞在のお客さんたち、大勢の人たちに
囲まれて幸せに暮らしています。
漁師たちが魚の水揚げが減ってお父さんのフウガを責めます。
フウガが設置した巨人の腕と呼ばれる風車を設置したことが
原因ではないかと疑われます。
水のエキスパートのミズヤさんが調査にきます。
海に突き出た泣き双子岩の、双子を呼び寄せ海に引きずり
こむという伝説やマッチ棒で作品を作るというマッチタワー
コンテストなどのエピソードがちりばめられています。
自然と人間との関わりを風のエキスパート、水のエキスパート
がアーチーに語ります。
作者が子供たちに語りたいことなんだろうと思います。
読み終わってさわやかな気分になる本でした。