雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

夏の魔法

2010-01-13 20:25:53 | 
本岡類著"夏の魔法"を読みました。
高峰俊彦は子供が幼稚園児だったときに離婚しました。
いろいろなことを経て今は那須高原で乳牛を飼っています。
そこへ十数年会っていなかった息子の悠平がやってきます。

悠平は高校生の時の野球をやっていました。
ピッチャーだった悠平は対抗試合で相手校の打者の目に
ボールを当ててしまいます。
近所の相手校の者のみならず自校の者からも非難されます。
高校は卒業したもののその後何年も閉じこもりの生活を
していました。

自分から父親の牧場に行きたいと言い出したのですが
なかなか生活の改善はできません。手伝うと言いながら
ずっと寝ていて部屋から出てきません。

近くの大牧場の森さんやその牧場に研修にやってきている
人たちや、女性の獣医との交流や、牧場での牛の世話など
でだんだんと悠平は変っていきます。

悠平は1年後に人生の目的を見出して牧場を去っていきます。

なかなかいい本でした。
閉じこもりになってしまった人をそこから引き出すには
悠平の場合は牧場の自然や仕事が効いたのですが、
誰しもに当てはまるとはいえません。
言葉で悠平を説得できなく時の経つのにまかせた部分が
あります。言葉で理解し合えないということは寂しく
つらいことです。
人それぞれに抜け出すきっかけとなるものは違うのでしょう。
それが何なのか、どこで出会えるかわからないのが
難しいことです。