ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「用意、ドン!」を韓国語でどう言うか?

2014-04-02 23:48:25 | 韓国語あれこれ
 김지영(キム・ジヨン)という女性の「남자한테 차여서 시코쿠라니(男にふられて四国とは)」という本を読んでいたら、次のような文章がありました。

 시코쿠 오행로 순례은 누가 어딘가애서 ‘요이~땅!’해서 시작되었다고 하는 명확한 가원이 알려져 있지 않다.
 (四国お遍路巡礼は、誰かがどこかで「用意、ドン!」と言って始まったという明確な起源が知られてはいない。)


 ここで私ヌルボが「あれっ!?」と注目したのは「用意、ドン!」の部分。韓国語では‘요이~땅!’になっていますが、発音は「ヨ~イ、タン!」。つまり、ヨ~イの部分は明らかに日本語ではないですか。
 日本語由来の言葉がどんどん排斥されてきた韓国で、この言葉がまだふつうに使われているのか、ちょっと調べてみました。

 たとえば、2006年の<DAUM知識>に次のような質問がありました。(→コチラ。)
 Q.駆けっこをする時、出発点で「ヨーイ タン!!!」と叫ぶ理由は?
 これに対する回答は次の通り。
 A.日本語から来たもので、お年寄りたちも使うのをみると日帝時代に入ってきたようですね。もちろん当国で日本語をわざわざ使うようになるわけはないので、当然日本から入ってきたものでしょう。日本語で書けば次のようになります。  
 「ようい,どん」。
 ここで‘ようい'は漢字では次のように書きます。
  用意 
 韓国語でも使用する漢字ですね。「用意周到だ」、こういう時の言葉です。その意味は、心の準備をする、心を決める、そんな意味です。したがって、この「요이 땅(ヨ~イ、タン)」は‘준비 (←ママ)’と変えて使用することになりました。


 それから、いくつかの韓国サイトを見て、およそわかったのは次のようなことです。

・요이 땅(ヨ~イ、タン)という日本語「用意、ドン!」に由来する言葉は、戦後も今に至るまで長く使われてきた。しかし、「ヨ~イ」の意味を知らずに使っている人が時代とともに多くなった。
※韓国にも「用意(용의)」という漢字語もあるにはあるが、ふつうは「준비(準備.チュンビ)」という言葉を用いる。

・「요이 땅(ヨ~イ、タン)」という日本語由来の言葉を避けて、10年ほど前(?)から次のような言葉が使われているようである。
  제자리에~ 차려~ 탕!(チェジャリエ~ チャリョ~ タン!) 
  (「正しい位置に~」 「ちゃんとついて~」 「タン!」)
 または、
  제자리에~ 준비~ 탕!(チェジャリエ~ チュンビ~ タン!)
  (「正しい位置に~」 「準備~」 「タン!」)

 また、このような言語愛国主義といったものも、やっぱり90年代以降の風潮のように思います。

 1つ気になったのは、カタカナ書きでは同じなんですが、「ドン!」の音に相当する「タン!」の表記が「ヨ~イ、タン!」の方が「땅!」なのに対し、「チュンビ、タン!」では「탕!」になっていること。
 韓国語を正しく使おうという組織の方の記事(→コチラ)によると、「땅!」は日本の銃声で、「탕!」は韓国の銃声なんですと。カタカナ表記は同じ「タン」ですが、前者は濃音のddangで後者は激音のthang。韓国語学習者が発音するにも聴き分けるにもむずかしい音です。そんなビミョーなところにまで韓国と日本の違いが感じられるのですかねー・・・。

 今、韓国の運動会や、陸上競技大会等ではスタートの合図は何が標準になっているのか? やっぱり、ネットで調べるより先にネイティブの韓国の方に聞くべきですね。近いうちに聞いて、追記を書くことにします。
コメント (3)
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