ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

雑談・韓国旅行(2019年2~3月) [その1]「パイノパイノパイ」のことなど

2019-08-18 16:21:17 | 韓国旅行の記録
 行きましたよ。行って来ましたがな、ソウル! と言ってもごく最近じゃなくて、2月から3月にかけてのことだから鮮度は落ちるけどね。
 そう、例の三一運動百周年の記念式典に合わせてですよ。韓国旅行は通算33回目、かな? 今回はほとんどソウルだけ。それでも初めて行った所がいくつもあって、ずいぶん収穫がありましたよ。なんせ7泊8日の旅だから話のネタはいっぱい。いや、ありすぎだね。
 目的その1は記念式典で、その2は南漢江(ハンガン)と北漢江の合流点のトゥムルモリという景勝地と、その近くの夢陽(モンヤン)紀念館探訪。夢陽というのは独立運動家の呂運亨(ヨ・ウニョン)の号ね。戦後は南北の統一政府をめざしたんだけど、大韓民国が成立した1948年の1年前に右翼のテロ集団に殺されちゃった人。その3は朴正熙が殺された場所に行く。たいていの韓国人も知らないんですよ。景福宮の裏手の方というか青瓦台の近くの安家(アンガ)つまり隠れ家っぽい建物がその現場だけど、それは事件後すぐ壊されて、今は「ムグンファ トンサン」つまり「ムクゲの園」っていう公園になってるのよ。だけど石碑も何もなくて・・・。何か事情があるんだろうね。記念式典の前日市庁前からタクシーで行ったんだけど、韓国語で行く先言ったらすごく喜んでくれて、「政治家たちはいろいろ言い合ってるけどウチら庶民は庶民同士仲良くしなくちゃねー」とか言ってたなー。だけどすぐ日本人の韓国語ってすぐわかっちゃうってのはまだまだ発音が未熟ってことだよねー。それで得することもあるっちゃあるけど・・・。
    
【ムグンファ トンサン】

 2月26日に韓国に着いて何日か後で知ったんだけど、2月28日に「外務省が3月1日を前に、韓国への日本人渡航者に注意を喚起するスポット情報を出した」という日本のニュースがあったんだね。直前に出してもしょうがないのに、トンチンカン。それに過去20年間、韓国で身の危険を感じるどころか議論をふっかけられたことも全然なかったですよ。なんでこんな警告(?)を出したかというと、政治家連中の思惑もあるだろうけど、外務省の担当部署のアリバイ作りというのが一番本当っぽいね。万一何かあった時の言い逃れに備えて・・・。この件について法政の山口二郎センセイはハンギョレへの寄稿で「韓国に対する恐怖心をあおる政治的な宣伝だ」というような主張をしてたけど、これは読み筋というか、ちゃんとご自身の使命だか役回りだかに沿ったご発言だよね。だけどフツーの議員レベルの「韓国はキケン!」というのは支持者とかお仲間の間の<結集効果>ってやつじゃないかねー。

 「韓国に来たんだなあ・・・」と着いてすぐ実感したのは地下鉄車内のディスプレイ。<独島>つまり竹島の画像なんだけど、島の姿だけじゃなくて、昔の写真とか歴史の資料までいくつもあるのよ。一体誰が興味を持って見るのかねー、・・・って自分か。まあ韓国人には常識なんだろうから主に外国人向けなんだろうね。いずれにしても、宣伝とか教育の面では日本は完全に負けてるよね。韓国じゃ「独島は韓国の領土イムニダ!」って教え込んでるのに、日本じゃ「国家の3要素はナンタラで、近代国家の成立以前は領土だとか国境なんてものはイーカゲンで・・・」なんてやってるわけだから、・・・って自分の教員時代の話ね。おっと。

 翌日はDMCつまりデジタルメディアシティに行って無謀にも韓国映画を観て・・・。うーん、その件については語りたくないな。トホホですよ。
 アレレと思ったのは腹が減ったのでバーガーキングに入ったら、でかいタッチパネルで注文するようになってるのよ。それだけならまだいいのに、決済がカードだけのようであせっちゃって・・・。店員さんに訊いたら現金でOKで助かったんだけど。どうもケッタッキーとか他のチェーン店でもシネコンのチケット購入でもそれがフツーになってるみたいだね。

 あ、そうそう、この日は書店に行って目当ての本も買ってきましたよ。「抗日音楽 330曲集」という分厚い本。いや、1月にソウル市の教育庁が市内の小・中・高全校に配布したという記事を読んでおもしろそうかなと思って・・・。ところがお値段がぬわんと7万5千ウォン! 約7千5百円もするんですよ。昼飯10回分だよっっ! オタクもいいところだよね、ハハハ。有名な(?)東学党の乱の時の「♪セヤセヤ(鳥よ鳥よ) パランセヤ~」とかの19世紀後期から光復(1945年8月の終戦)までの抗日の歌を楽譜付きで収めてるんだけど、たとえばこれ知ってます? ♪ミーレドレミソソソ・・・って、そう、♪ラーメチャンタラギッチョンチョンノ・・・。この「パイノパイノパイ」のメロディが「独立軍歌」に使われてるワケですよ。あ、式典の場でも演奏されてたんじゃないかな?
 だから日本人なら奇異な感じというか、この曲をバックにムンムンが登場したりしたら笑っちゃうよね。だけど元はアメリカの南北戦争当時のジョージアの軍歌らしいですよ。それ以外の歌でも、愛国歌のメロディーに日本でもおなじみの「もみの木」とか「アニーローリー」なんかも使われたりしてて・・・。独立軍の歴史もさることながら、西洋音楽の伝播とか音楽史の資料になるんじゃないの? どこかの専門家が研究してるかもねー。
 3日目の28日は市街地を散策したり、中央博物館に行ったり・・・。二村駅の反対側までずっと歩いて漢江の岸まで行ったら、案の定大きなオブジェがありましたよ。

 さて翌日の三一運動式典なんだけど、なんせ人がいっぱいで、大きなスクリーンで見るのがやっとだったですよ。ムンムン大統領の演説とかも後で詳しく知ればツッコミどころいっぱい。そこらへんを語るとコーフンしてきちゃいそーなので(笑)全部すっ飛ばすね。

 そのあと、なんとなくソウル広場に行ったら「100年大合唱」という催しをやってて、例の「ラメチャン・・・」じゃなくて「独立軍歌」を演奏してましたよ。配られてた曲集をチャッカリいただいたら、楽譜が載ってましたね。
 演奏してる子供たちを見るとみんな、って管楽器以外だけどマスクしてるの。ミセモンジ(미세 먼지.微細ホコリ)が連日ひどかったからねー。
   
【遠くの景色がかすんで見える。[左] 「独立軍歌」の冒頭部分。[右] 】

 この日は旅行前から打ち合わせてあった知り合いのF氏とタプコル公園で落ち合って、「行ったことがない」というから日本大使館前の慰安婦像の前を通って、また光化門広場方面に行って世宗大通りを南下すると、デモ隊の人の数がすごいの! いや、進歩系>じゃなくて右派の方。それも議会内最右派の自由韓国党よりもっと右の、大韓愛国党っていうんだけどね。あ、最近ウリ共和党に変わったか。保守の地盤の釜山とか慶尚道(キョンサンド)方面から大挙して団体バスでやってきて「文在寅退陣!」とか気勢上げてるのよ。横断幕を見ると「文人(문인)を処刑しろ!」なんてのもあったりね。スペルは違うけど発音は似てるからねー。バスの横には党首と朴槿恵が握手してる絵が描かれてるし、まあこんなに反文在寅の側も盛り上がってる(?)とは思わなかったですよ。ほとんど日韓の新聞でも報じられてないじゃないですか。
   
【威圧感がある(?)反文在寅デモ。[左] 「私たちはきっと再び会えるでしょう」[右] 】

 一方ソウル市庁舎には「ソウルとピョンヤンが手に手を取って」と書かれた大きな垂れ幕が懸ってるのよ。「2032年南北平和オリンピック誘致のための開催候補都市としてソウル選定!」というわけで、絵をよく見るとトーチの光ってる部分が朝鮮半島のカタチになってたりしてるのよ。
 それにしても進歩系の朴元淳(パク・ウォンスン)市長も大統領共々北朝鮮への思いはハンパないよね。片思いってことに気づいてないのかなあ? それとも「10回オノをふるって倒れない木はない」という一途な信念なのかな?

 → 雑談・韓国旅行(2019年2~3月) [その2]弘大(ホンデ)の和食店、トゥムルモリ等々のこと

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国内の映画 NAVER映画の人... | トップ | 雑談・韓国旅行(2019年2~3月... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国旅行の記録」カテゴリの最新記事