ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月9日(金)~8月11日(日)]

2019-08-13 22:39:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸10日(土)シネマート新宿で「工作 黒金星と呼ばれた男」を観てきました。久々のスクリーン1(定員330人)で、メディアで好評だったためかかなりの入りで、200人は軽く超えていたでしょう。私ヌルボ、実は2回目の鑑賞。最初は気づかなかったこともいくつか確認できました。エンタメとしてはなかなか楽しめる作品だと思います。しかしのネチズンの平均評点は6.85とあまり高くありません。それは<進歩系>の映画だから。4割ほどはいる<保守系>の側から見れば親北朝鮮の左翼の映画とされるわけです。また、それなりの知識がないと事実と虚構の区別がつきにくいのはやむをえないところ。明らかな事実はイ・ヒョリ(特別出演)のシーン。意外なところで登場する白い小犬(マルチーズ)はそれなりに根拠あり、等々。全部書くと長くなるので、もしかしたら後日単独記事にします。(ホント?)

▸12日(月)は横浜シネマリンで「タリナイ」というドキュメンタリー鑑賞。70代後半の男性が、戦争末期に南の島(マーシャル諸島のウォッチェ環礁)で餓死した父の慰霊の旅を追ったドキュメンタリーです。南洋諸島方面はあまり詳しくないのでいろんな知識が得られました。驚いたのは、最後の方で漢字とハングルの混じった石碑が映されていたこと。大川史織監督がトークのため来場していたので、あとで伺ったところでは、終戦後日本兵たちが帰って行った後、島に残っていた朝鮮人軍属の人たちが建てたものだとか。70年以上経って解読がむずかしくなっているそうです。ウェブ上に画像がないのも残念。なお、検索すると南洋諸島の戦地にはずいぶん多くの朝鮮人軍属が送り込まれたようです。そんな人たちの名前とかどれだけわかっているのか監督に尋ねると、菊池英昭さんという方の「旧日本軍朝鮮半島出身軍人・軍属死者名簿」という本があると教えて下さいました。※その後→関連記事が見つかりました。

▸韓国では8月7日前評判の高かった「鳳梧洞[ポンオドン]戦闘」の上映が始まりました。週末の観客動員数は約140万人と順調なスタートですが、同じ韓国映画の「EXIT」にはわずかに及ばず2位に止まりました。内容は1920年の旧満州での抗日武力闘争を描いた歴史ドラマです。鳳梧洞というのは豆満江の下流の、今は延辺朝鮮族自治州の図們(トムン)市内の地名です。私ヌルボがこの鳳梧洞戦闘を知ったのは2004年の中国東北地方へのスタディツアーの時でした。
 当時の私ヌルボ、この地方の抗日闘争としては<青山里戦闘>(1920年)とその指揮者・金佐鎮(キム・ジャジン)については多少の知識はあったので、現地ガイドに質問してみました。以下はその時のメモです。
 青山里はどの辺か尋ねる。「長白山に行く途中の安図県のほう」だが、とくに遺物・施設等はないとのこと。彼が青山里を知ったのはガイドになってからのことというのも意外だった。韓国では歴史教科書にあるから、韓国人観光客が多く来るようになって対応したということか。またSさんの言によると、抗日軍の組織規模からみれば洪範図の方が金佐鎮より上だが、彼は共産党の側の人間なので韓国人の間では金佐鎮の方が評価が高いとのことだった。洪範図らが戦った鳳梧洞戦跡はSさんから教わった。帰国後、韓国のサイトで調べると、現地は図們市内で、「鳳梧洞反日戦跡地」という記念碑(1993年6月7日建立)があるとのこと。
つまり、独立運動家でも共産党系か否かによって韓国の歴史教科書に載せられていないとかの<差>が歴然とあったということ。また、それが近年崩れてきていることを物語っているのがこのような映画の製作・公開と考えてよさそうです。6月6日の顕忠日の式典で文在寅大統領が左翼系の独立運動家・金元鳳(キム・ウォンボン)に言及して論議を呼びましたが、これも映画「暗殺」で彼が大きく取り上げられ一気に知名度が高まったことが前提になっているようです。(→関連記事。)
 ※関連で日本ウィキペディアの→<青山里戦闘>をみると、「北朝鮮版の「独立運動史」は青山里戦闘に言及していない」とあります。また人数の誇張も相当あるようで、こんなことでは他国の<歴史の歪曲>を批判できないですよ。
 さて、この作品の内容については→コチラの朝鮮日報の記事参照。洪範図が主役かと思ったら、そうじゃないんですね。かなり批判的な書き方をしているのは保守系の代表紙だから、ということもあるのかな?

         ★★★ NAVERの人気順位(8月13日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.65(150)
②(2) 星の庭園(韓国)  9.58(184)
③(3) 主戦場  9.57(622)
④(4) アラジン  9.41(25,314)
⑤(5) アベンジャーズ/エンドゲーム  9.38(68,527)
⑥(6) レッドシューズ(韓国)  9.31(2,958)
⑦(7) ポロロ劇場版 宝島大冒険(韓国)  9.28(2,421)
⑧(8) 教会のお兄さん(韓国)  9.26(1,504)
⑨(9) 遠回りの道(韓国)  9.27(48)
⑩(10) ボヒとノギャン(韓国)  9.14(163)

 今回新登場の作品はありません。順位の入れ替わりがないのは当ブログ初めてかも。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) トイ・ストーリー4  8.09(11)
④(4) アベンジャーズ/エンドゲーム  7.62(13)
⑤(5) キム君(韓国)  7.57(7)
⑥(6) 主戦場  7.33(6)
⑦(7) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑧(8) ミッドソマー[夏至祭]  7.20(10)
⑨(9) ザ・デッド・ドント・ダイ  7.00(4)
⑨(-) 僕はイエス様が嫌い(日本)  7.00(4)

 ⑨「僕はイエス様が嫌い」が新登場です。日本では5月31日公開で、首都圏での上映は今ナシ。しかし8月31日から近所の横浜シネマリンで上映されるので観にいきます。一般ネチズンの評価は、観た人6人中5人が10点、1人が8点と高評価をつけています。韓国題は「나는 예수님이 싫다」です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月9日(金)~8月11日(日) ★★★
           韓国映画「EXIT」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・EXIT(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31・・・・・・・・1,449,619・・・・・・5,784,977・・・・・・・・48,671・・・・・・1,465
2(17)・・鳳梧洞[ポンオドン]戦闘(韓国)・・8/07・・・・・・1,404,721・・・・・・2,034,499・・・・・・・・17,452・・・・・・1,476
3(3)・・ペット2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・127,722 ・・・・・・・934,169・・・・・・・・・7,143 ・・・・・・・611
4(32)・・BRING THE SOUL・・・・・・・・・・・8/07・・・・・・・・・115,589・・・・・・・・274,160・・・・・・・・・2,369 ・・・・・・・515
       :THE MOVIE(韓国)
5(2)・・使者(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・113,686・・・・・・1,529,291・・・・・・・・12,262・・・・・・・・625
6(5)・・アラジン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・85,519・・・・・12,400,964・・・・・・・105,998 ・・・・・・・341
7(29)・・アングリーバード2・・・・・・・・・・8/07 ・・・・・・・・・・84,775 ・・・・・・・134,578 ・・・・・・・・1,040 ・・・・・・・503
8(4)・・ライオン・キング・・・・・・・・・・・・・7/17 ・・・・・・・・・・68,680・・・・・・4,684,781・・・・・・・・41,057 ・・・・・・・432
9(6)・・レッドシューズ(韓国)・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・59,201・・・・・・・663,947・・・・・・・・・5,168 ・・・・・・・349
10(36)・・金福童[キム・ボクドン](韓国)・・8/08・・・・・・・・・18,916 ・・・・・・・・29,412 ・・・・・・・・・・252 ・・・・・・・349
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 5月公開の「アラジン」が6位にとどまっています。累計の観客動員数は1,240万人。外国映画では「アベンジャーズ/エンドゲーム」(約1,390万人)、「アバター」(約1,390万人)に続いて第3位。ただ追い越すのはむずかしいか?
 今回の新登場は2・4・7・10位の4作品です。
 2位「鳳梧洞[ポンオドン]戦闘」については、本記事冒頭でいろいろ書きました。原題は「봉오동 전투」です。
 4位「BRING THE SOUL: THE MOVIE」は、防弾少年団を撮った韓国のドキュメンタリー。世界中のファンと一緒に呼吸して熱狂した欧州でのコンサートがパリを最後に終わり、緊張が解けた次の日。パリの小さな屋上のテーブルを囲んで、ファンには話していなかった彼らだけの率直な話が語られます・・・。原題は「브링 더 소울 : 더 무비」です。
 7位「アングリーバード2」(仮)は、2016年公開のアメリカの3Dアニメ「アングリーバード」の続編。前作では、レッド等の鳥たちとピッグ軍団の対立が物語の基調だったのが、今作では氷の島に住む新たな敵が登場し、上記の2勢力が手を取り合うという展開だそうです。韓国題は「앵그리 버드 2: 독수리 왕국의 침공(アングリーバード2:クロハゲワシ王国の侵攻)」。日本公開は9月20日、ってホント?
 10位「金福童[キム・ボクドン]」は、今年1月28日92歳で亡くなった元慰安婦・金福童さんのドキュメンタリー。彼女は1992年に慰安婦だったことを公表し、1940年代旧日本軍の慰安婦として中国や東南アジアの戦場を転々とさせられたと証言しました。その後も日本を含む世界各地で活動を続けてきました。2015年12月の日韓合意を厳しく批判して「和解・癒やし財団」の解散や安倍首相の直接謝罪を求め、<1人デモ>等も展開するなど、韓国世論に影響を及ぼしてきた元慰安婦の中でも<象徴的存在>ともいうべき女性でした。ネチズンの評点は、85%が10点をつけてますが、10%は1点。「反日感情を助長するために作られた政治的映画だ」(共感7:非共感27)とか「反日扇動ちょっとウンザリ」(共感8:非共感27)とか「これ以上政治的に利用される映画がないように」(共感8:非共感27)というものもあり。さらには「皆さん、この人が生前朝鮮総連系の在日朝鮮学校に5千万ウォンを寄付したことご存知で追従されたのですか ?」(共感11:非共感66)というものも。「「自転車王オム・ボクドン」の続編かと思った」等、オム・ボクドンとからめたウケねらい( ?)もいくつか。まあ、韓国の皆さんも個々にみれば決して<一枚岩>ではないということです。原題は「김복동」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(2)・・主戦場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・3,882 ・・・・・・・・23,017 ・・・・・・・・・183 ・・・・・・・・・・46
2(1)・・誰もがそれを知っている・・・・・・・・8/01 ・・・・・・・・・3,786 ・・・・・・・・19,707 ・・・・・・・・・153 ・・・・・・・・・・38
3(5)・・天路歴程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・1,515 ・・・・・・・290,351・・・・・・・・2,162・・・・・・・・・・132
4(4)・・私は、マリア・カラス・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・1,298 ・・・・・・・・22,604 ・・・・・・・・・166 ・・・・・・・・・・・8
5(3)・・ぼくを探しに ・・・・・・・・・・・・・2014/7/24 ・・・・・・・・・1,288 ・・・・・・・157,265・・・・・・・・1,233 ・・・・・・・・・・15

 今回新登場の作品はありません。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国内の映画 NAVER映画の人... | トップ | 雑談・韓国旅行(2019年2~3月... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国内の映画の人気ランク&興行成績」カテゴリの最新記事