ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画の興行成績 [1月22日(金)~1月24日(日)]と人気順位 ►「私たちの青春、台湾」は闘争記録よりも青春の成長物語 ►「KCIA 南山の部長たち」はネタ多過ぎ! もう1回観て確認だな

2021-01-27 23:47:01 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回、韓国の週末観客動員数ランキング、初登場でダントツ1位だったのが「ソウルフル・ワールド」でした。観た人たちの評価も非常に高く、とくに記者・評論家による評価は9人の平均が8.44で1位になっています。ところがこの作品、韓国では目下2千館以上の映画館で上映されているというのに日本では上映館ゼロ! というのは、当初は12月11日から劇場公開の予定だったのが、新型コロナのため「ムーラン」同様全面的に取り止めとなり、北米と同日の12月25日からDisney+での独占配信となってしまったとのこと。その結果12月21~27日の週で「ソウルフル・ワールド」の視聴時間は16億7千万分でトップだったとか。しかしDisney+が利用できない中国、韓国等では劇場で多数の観客を集めているというわけです。
 で、私ヌルボとしては配信はいいとしても、劇場公開がないというのは大変サビシイ! 11月の記事でも書きましたが、小さなパソコンのディスプレイでは「映画館の座席に座った時のような解放感がぜ~んぜんない」し、たとえ大画面のTVでも同様。ところが→コチラの記事を見ると見出しからして<映画界に激震 もうディズニーは映画館を前提とした作品を作らない!?>ですと!? さらには「ディズニーは・・・各配信サービスの成長を加速させるため、・・・各部門がストリーミングサービスに作品を供給する際の決定をよりダイレクトにできるようにして、会社全体をディズニープラスを中心とするメディア・エンターテインメント事業へと再編する・・・。その過程で、これまで製作と配給が一体となっていたウォルト・ディズニー・ピクチャーズから、配給部門が切り離されることとなった」ですと・・・。さらには「配信へのシフトを加速させているのはディズニーだけじゃない」云々。えっ、するってえと、映画館の将来はどうなっちゃうの? ・・・と、昭和人ヌルボの寂寥感は募るばかりです。

▶この1週間で観たのは次の2作品です。
 ・「私たちの青春、台湾」★★★★★(2014年台湾の学生たちが立法院を23日間占拠したひまわり運動を、一女子学生傅楡[フー・ユー]が占拠以前から撮影。記録としての価値もあることながら、ラストの傅楡監督自身が語る思いがキモだった。)
 ・「KCIA 南山の部長たち」★★★★★(韓国オタク3人組で横浜ブルクへ。観終わった後ランドマークのコメダ珈琲店でカンカンガクガク。「朴正熙はサングラスをかけてなかったのか」とか「<最後の弁明>をそのままウノミにすると、やっぱり<進歩系>の映画か」、「映画のキム・ギュピン(イ・ビョンホン)と実際の金載圭と、大分フンイキが違う?」等々。この手の映画、フィクションと事実の判読が難しい。いずれにしろもう1度観なくちゃ。)
 「私たちの青春、台湾」は、冒頭の傅楡監督の言葉「2011年、魅力的な2人の大学生と出会った」から始まります。ひまわり運動のリーダー陳為廷(チェン・ウェイティン)と中国人留学生の女子留学生で台湾の社会運動に参加する蔡博芸(ツァイ・ボーイー)の2人です。ラストを考えてみれば、監督が18年金馬奨最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞した時のスピーチで述べたように、「多くの人々はこの映画が政治を語っているだけのものだと思うでしょうが、実はそれよりさらに広く、青春を論じているのです」ということがよくわかります。観る前はなんとなく運動の高揚と、未来につながる希望といった「力強い」闘争の記録かと思っていたら、あんなに弁も立ちカッコイイ陳為廷が思わぬ落とし穴にはまる等々、政治面だけでなく個々人の状況も暗雲が漂ってきて・・・という中でむしろ精神的に成長していくんですね。
 「KCIA 南山の部長たち」についてはネタは尽きないのでまた今度。関連情報としては、<一松書院のブログ>に→「南山の部長たち」(1)安家、→「南山の部長たち」(2)金載圭の移動経路、→「南山の部長たち」(3)マクサとシーバスリーガルと、当時の新聞や地図を基に、とても精緻な記事を書いていらっしゃいます。
 ※ヌルボ・イルボの関連過去記事→「安家」とは何か?、→事件の現場宮井洞の安家(現:ムクゲの園)に向かうがダメ。ローソクデモの最中で警備が厳重、タクシーから降りられず。→19年2月28日念願のムクゲの園(무궁화동산)に行く。園内に朴正熙の名が刻まれた石碑や説明版は全然ナシ。多くの韓国人もこの朴正熙暗殺現場を知らないようなのはなぜ?
 ※かつてのKCIA本部は現在ソウル・ユースホステル(右画像)になっている。日本軍慰安婦記憶の場(韓国統監官邸跡)に隣接している。→関連記事

         ★★★ NAVERの人気順位(1月26日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(3) 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(日本)  9.51(943)
②(7) 天使はウイルス(韓国)  9.46(48)
③(4) カナの婚宴:口約  9.45(358)
④(新) ソウルフル・ワールド  9.44(2,771)
⑤(8) 蒸発(韓国)  9.44(41)
⑥(-) アンプランド  9.42(652)
⑦(9) ブータン 山の教室  9.42(148)
⑧(-) 復活: その証拠(韓国)  9.41(396)
⑨(新) クロワッサン(韓国)  9.39(66)
⑩(-) ミュージック&リアリティ(韓国・アメリカ)  9.36(25)

 ④と⑨の2作品が新登場です。
 ④「ソウルフル・ワールド」については後述します。
 ⑨「クロワッサン」は韓国のドラマ。初めて社会人になった頃就職する度に会社が倒産するという不運を経験してきたヒジュン(ヒョク)は今後会社の倒産を心配せずに済むようにと公務員になるためこの数年間孤軍奮闘しています。薬物の人体実験アルバイトで生計を立て、担当看護師のユンジョンだけが乾燥した日常の恵みの雨のような存在だったヒジュンは、ある日街のパン屋さんのソンウン(ナム・ボラ)と出会います。ソンウンはヒジュンがそんにも願っている公務員だったにもかかわらず適性が合っていないとやめてしまい、パティシュエになって小さなパン屋を開いたのです。人体実験アルバイトで病院に行っていたヒジュンがある日の夜病院の応急室に1人で来たソンウンを助けてあげたのが2人の出会いでした。その後ソンウンが作ったパンの味と製パンの過程に好奇心を感じたヒジュンは試験勉強をする時間よりもソンウンの作業室で一緒にパンを作る時間の方が多くなっていくのでしたが・・・。原題は「크루아상」です。

     【記者・評論家による順位】

①(新) ソウルフル・ワールド  8.44(9)
②(2) マーティン・エデン  8.00(8)
③(3) 水を抱く女  8.00(6)
④(4) 夏時間[ハラボジの家](韓国)  7.83(12)
⑤(5) マロナの幻想的な物語り  7.83(6)
⑥(7) ガールフッド  7.60(5)
⑦(9) 冬の夜に  7.33(6)
⑧(-) TENET テネット  7.18(11)
⑨(-) 85年の夏  7.17(6)
⑩(-) サムジングループ英語TOEIC班(韓国)  7.00(7)

 ①「ソウルフル・ワールド」が新登場ですが、この作品については後述します。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月22日(金)~1月24日(日) ★★★
        ピクサーのアニメ「ソウルフル・ワールド」が初登場で他を圧倒し1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入 ・・上映館数
1(新)・・ソウルフル・ワールド・・・・・・1/20・・・・・・303,632 ・・・・・・・408,522・・・・・・・3,766 ・・・・2,018
2(新)・・劇場版「鬼滅の刃」無限列車編・・1/27・・・・10,284・・・・・・・・・10,334・・・・・・・・・105・・・・・・・・24
3(新)・・カム・プレイ・・・・・・・・・・・・・・1/20・・・・・・・・7,132・・・・・・・・・11,203・・・・・・・・・100・・・・・・・386
4(1)・・ワンダーウーマン 1984・・・12/23・・・・・・・・4,739 ・・・・・・・544,188・・・・・・・4,915 ・・・・・・280
5(5)・・花様年華・・・・・・・・・・・2000/10/20・・・・・・・・3,600・・・・・・・・・96,235・・・・・・・・・843・・・・・・・216
6(新)・・ファヒム パリが見た奇跡・・1/21 ・・・・・・・2,988・・・・・・・・・・4,701・・・・・・・・・・35・・・・・・・152
7(51)・・TENET テネット ・・・・2020/8/26・・・・・・・2,318・・・・・・1,955,833・・・・・・18,432・・・・・・・・19
8(新)・・モーチュアリー・コレクション・・1/21 ・・・・2,156・・・・・・・・・・2,992・・・・・・・・・・25・・・・・・・115
9(4)・・ブラインド・・・・・・・・・・・・・・・・1/14 ・・・・・・・・1,955・・・・・・・・・15,594 ・・・・・・・・138・・・・・・・149
10(2)・・アイ・アム・ウーマン ・・・・・・1/14 ・・・・・・・・1,611・・・・・・・・・18,641・・・・・・・・・163・・・・・・・177
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・2・3・6・8位の5作品です。
 1位「ソウルフル・ワールド」はアメリカ、ピクサーのアニメ。上記のネチズンあるいは記者・評論家による評価も大変高く、注目されている作品です。ところが記事冒頭で記したように日本では「ムーラン」同様にオンライン配信のみとなり、一般劇場公開はナシ!とってしまいました。韓国では2千館以上で上映されているのに・・・。以下あらすじ。私はどのようにして<私>として生まれるのでしょうか? 地球に来る前、霊魂が宿る<生まれる前の世界>があるとしたら? ニューヨークで音楽の先生として働いていたジョーは、夢に描いていた最高のバンドとジャズクラブで演奏することになっていたその日、浮かれ気分で街を歩いていてマンホールへ落下! 霊魂が体から分離して<生まれる前の世界>に落ちてしまいます。<生まれる前の世界>では、誕生前の霊魂がメンターと共に自分の興味を発見した場合は地球通行証が発給されます。ジョーは、そこで唯一の地球に行きたくないシニカルな霊魂<22>のメンターになります。リンカーン、ガンジー、マザー・テレサもメンターなることを放棄したのが霊魂<22>です。しかし、ジョーが夢の舞台に立つためには<22>の地球通行証が必要です。はたして彼は再び地球に戻って夢の舞台に立つことができるでしょうか・・・。原題は「Soul」、「韓国題は「소울」です。ちょっと見て韓国の首都ソウル?と思う人きっといるかも。ソチラはSeoulと서울なんですけど、やっぱり紛らわしいですよね。・・・と考えての邦題かな?
 2位「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」は、27日の公開日に先駆けての先行上映。わずか24館で1万人を超えて2位。昨年100本以上の映画を観たのにこれは観てないというヘンクツの私ヌルボとしては特にコメントすることはありません。あ、公開初日の今日27日現在のネチズン平均評点は9.44で「ソウルフル・ワールド」とほとんど同じですね。韓国題は「극장판 귀멸의 칼날: 무한열차편」です。
 3位「カム・プレイ」はアメリカのホラー。自閉症を抱えているオリヴァー少年(アジー・ロバートソン)は他者とのコミュニケーションはすべてスマートかタブレットを通して行っています。家では母親のサラが(ギリアン・ジェイコブス)面倒を見てくれますが、学校では同級生からからかわれるばかりで、深い孤独を抱えていました。そんなある日、怪物を紹介するサイトを閲覧していたオリヴァーは、友だちを探して世界をさまよう怪物ラリーの紹介文に目をとめます。オリヴァーはラリーとなら友だちになれるかもしれないと思ったその瞬間、恐るべき出来事が起きます。部屋の電気が突然消え、タブレットの画面にはなんとラリーが現れたのです。それ以降、オリヴァーの周囲では次々と怪現象が発生するようになります。サラは夫のマーティと共に愛する息子を救うべくラリーとの戦いに臨むのですが・・・。韓国題は英題の「커넥트(コネクト)」。日本公開は未定のようです。
 6位「ファヒム パリが見た奇跡」はフランスのドラマ。バングラデシュから政治難民としてフランスにたどり着いた天才チェス少年が主人公の実話に基づく物語です。日本では昨年8月に公開されています。韓国題は「파힘」です。
 8位「モーチュアリー・コレクション」はアメリカのホラー&ファンタジー。モンゴメリー・ダーク(クランシー・ブラウン)は奇妙な雰囲気の年老いた葬儀屋です。 ある日、彼のところに少女サム(ケイトリン・カスター)が唐突に現れ、助手として働かせてくれと願みます。ダークと契約したサムは、彼がこれまで経験した一番恐ろしい話をしてほしいとねだり、ダークは霊安室の死体にからんだ、ぞっとする3つの話を聞かせてあげます。すべての話を聞いたサムは、誰にもしていなかった自分の話を始めます。死ぬまで止められない不思議なファンタジーが繰り広げられます・・・。韓国題は「모추어리 컬렉션」。日本公開は未定というか、なさそうというか・・・。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・カム・プレイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/20・・・・・・7,132・・・・・・・・・・11,203・・・・・・・・100・・・・・・・386
2(2)・・花様年華・・・・・・・・・・・・・・・2000/10/20・・・・・・3,600・・・・・・・・・・96,235 ・・・・・・・843・・・・・・・210
3(新)・・ファヒム パリが見た奇跡・・・・・1/21 ・・・・・・2,988・・・・・・・・・・・4,701 ・・・・・・・・35・・・・・・・152
4(1)・・アイ・アム・ウーマン ・・・・・・・・・・・1/14 ・・・・・・1,611・・・・・・・・・・18,641 ・・・・・・・163・・・・・・・177
5(17)・・ラスト・フロンティア・・・・・・・・・・1/14・・・・・・1,293 ・・・・・・・・・・・1,768 ・・・・・・・・10 ・・・・・・・・・8

 1・3・4位の3作品が新登場ですが、1位「カム・プレイ」と3位「ファヒム パリが見た奇跡」については上述の通りです。
 5位「ラスト・フロンティア」は、ロシアの戦争・アクション・ドラマ。1941年ドイツ軍がモスクワの190km先まで進撃して来ました。そんな状況下、ソ連軍の歩兵と砲兵士官学校の3千5百人の生徒たちは完璧な訓練さえまともに受けられないまま最前線に配置されます。正規軍が来るまでわずか6日間、最後の防衛線を死守しなければならないのですが、はたして・・・。韓国題は「라스트 프론티어」です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国内の映画の興行成績 [1月... | トップ | 韓国内の映画の興行成績 [1月... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国内の映画の人気ランク&興行成績」カテゴリの最新記事