ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [1月29日(金)~1月31日(日)]と人気順位 ►社会派映画「私は私を解雇しない」、主演は佳作「短い記憶」のユ・ダイン ►「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」、韓国での状況等

2021-02-03 23:53:54 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶この1週間で観た映画の評価ですが、このところ★の数による評価が時によってブレがあるような感じです。今回の2作品は前週より☆(0.5点)ほど厳しいかも。およその基準は次の通り。★★★★★=非常に感動した・深く考えさせられた ★★★★☆=とても良かった ★★★★=観て損はしなかった ★★★☆=いまひとつ ★★★=なんだかなあ・期待外れ ★★☆=疑問・不満 ★★=腹立たしい
 ・「ひとくず」★★★★(児童虐待・育児放棄をテーマにした作品で、なかなか感動的で訴える力がある。やや人物造形が型にはまり過ぎでストーリーもご都合主義の感あり。)
 ・「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」★★★☆ (観客動員数で追い越された「千と千尋~」等の宮崎駿作品や京アニの諸作品といった感動的アニメとは別ジャンルなので比べるのが間違いなんだろうな。何十年も昔のマンガや東映時代劇をなぜか思い出した(笑)。IMAXで観た(!)のは正解だったな。)

「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」は先週の記事に記したように韓国では27日の公開日に先駆けての先行上映。その段階で観客動員数は2位でした。では29~31日の数字はと見ると、後掲のようにピクサーのアニメ「ソウルフル・ワールド」の後塵を拝してやはり2位。というのは、CGV、ロッテシネマ、メガボックスという韓国の3大映画館チェーン中でスクリーン数が最も少ないメガボックス系での単独上映で公開されたためとのこと。したがって「ソウルフル・ワールド」の上映館数は「ソウルフル・ワールド」の4分の1にも達していません。ただ2月3日からはCGV、ロッテシネマ等でもへと上映館が大幅に拡大されているので、2月5~7日の順位ははたしてどうなるか注目されます。
 なお韓国での「鬼滅の刃」上映について、また<旭日旗>が問題とされている件については各メディアで報じられています。(参考→コチラコチラ。) つまり「炭治郎の耳飾りが旭日旗に似ている」と非難する声が出ているので、その部分を修正して公開することになったとか。下の画像で見てみてください。やれやれ、です。他人事ながら相当な仕事量。当事者は作業中どんなことを考えていたんでしょうね? まあ日本でも<嫌韓>の人たちとK-POPや韓国の映画や文学のファンはそれぞれ別の世界(?)に住み分けている感もある(?)が韓国でもそんな感じなのかな? フツーに考えて、この<旭日旗>問題は韓国の自縄自縛というか、オウンゴールを招いているような感じがするけどねー。<旭日旗>限定なら少しはわからんでもないが、似たものまでやり玉に挙げるとなるとお寺の卍もハーケンクロイツを思わせるからダメになるしねー。
【左がオリジナル、右が<修正>後】

▶今回の記事で初出の作品中注目は「私は私を解雇しない」という韓国の社会派ドラマ。会社の事務職として勤務していた女性が辞職勧告を拒否。下請け会社に行けば1年後に復帰させてやるという提案を容れて行った先は送電塔の修理・補修をしている会社で・・・という設定。
 その社員ジョンウンを演じた女優がユ・ダイン。お、見覚えがある名前、と記憶を呼び起こすと、「短い記憶(ヘファ、ドン)」の主演女優で、私ヌルボが2012年6月に渋谷の映画館での試写会を観に行った時、舞台挨拶でいろいろ話されてましたね。(→過去記事) その作品は、18歳の時妊娠した状態で彼氏に裏切られた後、23歳になって死んだと思っていた子供が生きているという話を聞き会いたいと思って・・・という作品で、その演技で彼女は大鐘賞や青龍映画賞で新人女優賞にノミネート、韓国映画評論家協会賞新人女優賞受賞等々と第36回ソウル独立映画祭独立スター賞を受賞しました。「私は私を解雇しない」のイ・テギョム監督も今作でユ・ダインをキャスティングしたのも「短い記憶」がきっかけだったとのことです。
     

▶→昨年8月26日の記事で韓国のドキュメンタリー「東アジア反日武装戦線」(동아시아반일무장전선)を紹介しました。2月1日付の→コチラや→コチラの記事によると「狼をさがして」との邦題で3月27日からシアター・イメージフォーラム他全国で順次公開されるとのこと。私ヌルボ、先の記事で「キム・ミレ監督がどんな視点から作ったか観てみたい気がします。ハンギョレの記事を読む限りでは日本を糾弾するというより「私たちの日常の加害者性を十分に考えてみなければならない」ということのようですが・・・」と書きましたが、よもや日本で公開されるとは思っていませんでした。これは観に行かなくては・・・。
      

         ★★★ NAVERの人気順位(2月2日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(日本)  9.50(959)
②(2) 天使はウイルス(韓国)  9.48(50)
③(3) カナの婚宴:口約  9.45(362)
④(9) クロワッサン(韓国)  9.43(72)
⑤(6 アンプランド  9.42(658)
⑥(4) ソウルフル・ワールド  9.39(4,581)
⑦(8) 復活: その証拠(韓国)  9.39(397)
⑧(-) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(日本)  9.27(2,517)
⑨(-) 劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]II.lost butterfly(日本)  9.26(543)
⑩(-) 私のお姉さんチョン・ジヒョンと私(韓国)  9.25(144)

 新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ソウルフル・ワールド  8.44(9)
②(3) 水を抱く女  8.00(6)
③(4) 夏時間[ハラボジの家](韓国)  7.83(12)
④(5) マロナの幻想的な物語り  7.83(6)
⑤(6) ガールフッド  7.60(5)
⑥(7) 冬の夜に  7.33(6)
⑦(9) 85年の夏  7.17(6)
⑧(10) サムジングループ英語TOEIC班(韓国)  7.00(7)
⑨(新) 私は私を解雇しない(韓国)  6.88(8)
⑩(-) 海獣の子供(日本)  6.83(6)

 ⑨「私は私を解雇しない」が初登場ですが、この作品については後述します。
 ⑩「海獣の子供」は、韓国で昨年9月公開で、その再公開。映像美は評価されていても、ストーリーがどうも・・・という感想が多かったので。韓国の記者・評論家の評を見ると「ビジュアルを観覧するだけでも印象的な体験。久石譲の音楽も」と案の定の内容。ネチズンの平均評点も6.4といったところです。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月29日(金)~1月31日(日) ★★★
        ピクサーのアニメ「ソウルフル・ワールド」が2週連続で1位に

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入 ・・上映館数
1(1)・・ソウルフル・ワールド・・・・・・・・・1/20・・・・・276,968・・・・・・・875,000・・・・・・・7,936・・・・・1,685
2(2)・・劇場版「鬼滅の刃」・・・・・・・・・・・・1/27・・・・・102,554・・・・・・・206,309・・・・・・・1,820・・・・・・・365
       無限列車編(日本)
3(新)・・三姉妹(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・1/27 ・・・・・・26,545 ・・・・・・・・42,301 ・・・・・・・・354・・・・・・・569
4(新)・・名探偵コナン 紅の修学旅行・・1/27 ・・・・・・22,793 ・・・・・・・・38,131 ・・・・・・・・316・・・・・・・526
       鮮紅編・恋紅編(日本)
5(新)・・ブックスマート ・・・・・・・・・・・・1/27 ・・・・・・・6,230・・・・・・・・・・9,435 ・・・・・・・・・・58・・・・・・・163
       卒業前夜のパーティーデビュー
6(新)・・私は私を解雇しない(韓国) ・・1/28・・・・・・・・5,123・・・・・・・・・10,318 ・・・・・・・・・・81 ・・・・・・313
7(44)・・キャロル・・・・・・・・・・・・2016/4/04・・・・・・・・4,925・・・・・・・・345,862・・・・・・・2,840・・・・・・・261
8(新)・・トイ・ソルジャーズ:・・・・・・・1/27 ・・・・・・・・4,127・・・・・・・・・・7,991 ・・・・・・・・・・75・・・・・・・153
       偽物の男2 ザ・コンプリート(韓国)
9(10)・・アイ・アム・ウーマン ・・・・・・・1/14 ・・・・・・・・3,717・・・・・・・・・22,918・・・・・・・・・186・・・・・・・・22
10(新)・・サイレンシング ・・・・・・・・・・1/28・・・・・・・・・2,326・・・・・・・・・・2,873 ・・・・・・・・・・22・・・・・・・・89
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 冒頭で書いたように2位の「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」が次週ははたして「ソウルフル・ワールド」を追い越すかどうか、注目。
 新登場は3・4・5・6・8・10位の6作品です。
 3位「三姉妹」は韓国のドラマ。次女のミヨン(ムン・ソリ)は新都市の45坪の高級マンションに住み、夫は教授。いうことをよく聞く息子と娘がいて、人もうらやむような人生を生きている・・・ように見えますが、性格は完璧なふりをする見栄っ張り。一皮だけむけばひびが入ります。敬虔なクリスチャンの彼女は教会の聖歌隊の指揮者も務めていますが、そんな中、夫と若い聖歌隊員との浮気現場を目撃することになります。小心者の長女ヒスク(キム・ソニョン)は街でお客さんが1人もいない(?)花屋を営んでいます。反抗する娘や時々訪ねてきてはお金を持っていく夫がいるのに、「私が悪いの」等々大丈夫なふりをするばかり。生活は苦しいのにがん宣告まで受けてしまいます。。「私はゴミよ」。劇作家の三女ミオク(チャン・ユンジュ)は毎日酒に酔っているのに酔ってないふりをする厄介者。止めようのない言動に家族その他周りの人をいつも当惑させています。そんなふうに生きてきた三姉妹が父親の誕生日に合わせて久しぶりに集まるのですが、そこで「両親に本当の謝罪を受けたかった」と問題の姉妹が爆発すします・・・。原題は「세자매」です。
 4位「名探偵コナン 紅の修学旅行 鮮紅編・恋紅編」は、私ヌルボは観ていませんが、劇場公開作品ではなく、2016年1月9日・16日に日テレ系列で2週連続1時間スペシャルとして放映された2回分のアニメ。なお本作には倉木麻衣が書き下ろした「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」をアニメ本編に本人役として出演して歌ってる?とのことで、久しぶりに彼女の歌を→YouTubeで聴いたゾ。韓国題は「명탐정 코난: 진홍의 수학여행」です。
 5位「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」は、日本では昨年8月に公開されています。韓国題は「북스마트」です。
 6位「私は私を解雇しない」は韓国の社会派ドラマ。退職勧告を拒否していたら、下請け業者に派遣として行けば、1年後に復帰させてやると言われたジョンウン(ユ・ダイン)ですが、同期の社員の「優秀社員だった」という言葉や「仕事はさほどよくはないが問題ではない」という人事スタッフの言葉からも、退職勧告や派遣命令が自分の欠陥で下されたものとは思えず納得がいきません。思えば世間にはる理由もなく会社から解雇された多くの労働者がいるわけで、結局彼女はそんな労働者の状況と心情を代弁する形で「私は私を解雇しない」という選択をします。そして下請け会社に派遣社員として出るのですが、そこは送電塔を修理・補修する会社で、高い送電塔に登ったりする作業をする危険な現場での仕事。新しい職場で早く自分の居場所を探そうとしますが、周囲の人たちからはお荷物のように思われてなかなか慣れないまま。しかしマンネ[末っ子](オ・ジョンセ)の助けでだんだんその職場に適応していきます・・・。原題は「나는 나를 해고하지 않는다」です。
 ※イテギョム監督は、自身が映画製作に失敗してうつ病を経験している時に「事務職の中年女性が地方の現場の職に不当派遣されたが、そこでひどい恥辱を経験しながらも最終的に耐え抜いた」という記事を見てインスピレーションを得て本作を企画したと語っています。
 ※映画誌「スクリーン」のエディター、チョン・ユミ氏は「韓国労働映画の新たな光」と題して次のように評しています。「解雇の危機に置かれた事務職の女性が地方の下請け業者に派遣命令を受け、そこの労働者と現場で一緒に働くことになった主人公の<孤独で寂しい闘争>を通じ、韓国の労働の現実を示している。不当派遣、労働者間の葛藤、性差別などの問題を臨場感と共に描いている。・・・労働の問題を人間の問題として主導していく演出も印象的。」
 8位「トイ・ソルジャーズ:偽物の男2 ザ・コンプリート」は韓国のドキュメンタリー。2013(~16)年日本でも放映されたテレビのバラエティ番組で韓国MBCのリアル入隊プロジェクト「本物の男[男の中の男](진짜 사나이)」がありました。そのパロディとして昨20年7月スタートしたYouTube番組が「偽物の男(가짜사나이)」です。公開直後からこの番組は大きな反響を呼び、20年で最も多く話題になったと言ってもいいほどの人気を集めました。シーズン1が終わるとすぐ10月1日からシーズン2の製作が開始され、すべて大成功したかのように見えましたが、その後10月16日突然この番組の映像はすべて非公開になってしまいます。その理由は、出演者の問題が次々に明らかになったから。また、いくら兵士がが受ける訓練とはいっても、その過激さに批判が集まっていて、中でも水恐怖症の訓練生を波が打ち寄せる浜辺に寝かせて訓練する場面等に対してやりすぎの声も上がっていたとか。それでも多くの視聴者は訓練生たちを応援しつつ配信を楽しんでいたそうですが・・・。そして進められていた劇場版の公開も延期されることに。と、このようなモロモロを経て11月24日からカカオTVでシーズン2が再開され、劇場版も今回公開に至ったというです。映画館でしか体験できない最大270度まで広がるスクリーンXの映像等を介して、8話にわたるエピソードを1本の映画に込めて、よりパワフルな浜辺の臨場感と20人を超える出演者まですべて1画面に収め、観客もその場に一緒に立って直接訓練を受けているような体験ができる・・・ということですが・・・。原題は「토이 솔져스: 가짜사나이2 더 컴플리트」です。※NewsWeekの参考記事は→コチラ。しかし、→コチラの予告編や、→9つの名場面集の動画等を見ても、ただただ厳しくしごかれているだけで、どこがおもしろいのかよくわからんのですが・・・。
 10位「サイレンシング」はアメリカの犯罪&スリラー。5年前、父親レイバーン(ニコライ・コスター=ワルドー)の目の前で娘が行方不明になってしまいます。レイバーンは悲しみに耐え、野生動物保護区の管理人として生きてきました。ある日、彼は森の中で1人の少女が人間狩りにあう場面を目撃します。本能的に娘の失踪と関連があることを直感した彼は、少女を救うために酷い人間狩り現場に飛び込んで行きますが・・・。韓国題は「사일런싱」。日本では劇場公開はなく、DVDのみです。
 なお、7位「キャロル」は、日本でも2016年に公開された女性同士の愛の物語の秀作の再上映。私ヌルボ、個人的にその年のベスト1でした。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・三姉妹(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・1/27・・・・・26,545・・・・・・・・・・42,301 ・・・・・・・354・・・・・・・569
2(新)・・ブックスマート・・・・・・・・・・・・・・・1/27 ・・・・・6,230 ・・・・・・・・・・・9,435・・・・・・・・・58・・・・・・・163
       卒業前夜のパーティーデビュー
3(新)・・私は私を解雇しない(韓国)・・・・・1/28・・・・・・5,123・・・・・・・・・・10,318・・・・・・・・・81・・・・・・・313
4(25)・・キャロル ・・・・・・・・・・・・・・2016/4/04・・・・・・4,925・・・・・・・・・345,862・・・・・・2,840・・・・・・・261
5(4)・・アイ・アム・ウーマン ・・・・・・・・・・・1/14・・・・・・3,717・・・・・・・・・・22,918・・・・・・・・186・・・・・・・・22

 1~3位の3作品が新登場ですが、いずれについても上述しました。

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