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石川憲法学の「土着ボケ黒ミサ」

2017-03-15 | 石川健治「7月クーデター説」の論理

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2017年 3月15日(水)10時11分48秒

前回投稿で「日本史の場合、もともと歴史理論の分野以外ではポン引き的「紹介者」は少ない反面、ある意味、大半が「土着ボケ」の「黒ミサ」研究者」とか書いてしまいましたが、まあ、日本語の壁の中でチマチマと実証的な研究をしている人が大半であることは間違いないので、それほど的外れな評価でもないと思います。
日本史学と対照的なのは憲法学の世界で、ここは本当に「ポン引き」だらけですね。
「ポン引き」が下品すぎる比喩だとしたら「出羽守」に代えてもよいですが、憲法学者には「アメリカでは」「フランスでは」「ドイツでは」という研究をしている人が沢山います。

政教分離論議におけるドイツ出羽守の不在(その1)
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/cdd56ed6e2392024e84a98319fba59d5
政教分離論議におけるドイツ出羽守の不在(その2)
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/7d20f8f704404b77bf37a4f30dc0e8bb

そうした出羽守の集団の中で異彩を放っているのが清宮四郎研究に打ち込んでいる東大教授の石川健治氏で、石川氏の「7月クーデター説」の論理を追って行くうちに私も清宮四郎に妙に詳しくなってしまいました。
実は今、山口昌男『本の神話学』とピーター・ゲイ『ワイマール文化』を起点にドイツ・東欧・ロシアの近現代史を調べる上で石川健治氏の論文を丁寧に読んだことが非常に役に立っていて、個人的には石川氏に大変感謝しているのですが、改めてワイマール共和国に存在した綺羅星のごとき知識人の群れの中に清宮四郎を置いてみると、石川氏は何でこの程度の人を一生懸命追いかけているのかなあ、という素朴な疑問も湧いてきます。
ワイマールの知識人たちの中ではハンス・ケルゼンでさえも形式論理をひたすら追求した「小物」の一人程度のような感じがしてくるのですが、そういう目で見ると、後世に残る学問的業績といえばケルゼン『一般国家学』の邦訳程度しかない清宮など単なる翻訳業者であって、知識人の範疇にも入らない人になりそうですね。
前にも石川氏の清宮四郎研究は「憲法考古学」「憲法郷土史」ではないか、と書いたことがありますが、「土着ボケ黒ミサ研究」の方が適切かもしれません。

石川健治教授の「憲法考古学」もしくは「憲法郷土史」
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/cf4f5a44c409b736631232d49b35e0f1
「学問空間」カテゴリー:石川健治「7月クーデター説」の論理
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/c/acc8623b1062539f5d4cf51384c012da

>筆綾丸さん
中世の伊勢神宮を調べていたときに三重大学教授・山田雄司氏の論文をいくつか読んだことがあります。
個人的には「怨霊」など全然興味がありませんが、何を研究対象とするかは学問の自由の問題ですから、他人が口出しするような話ではありません。
ただ、山田氏が行政や地元経済界の意向を汲んで、方向性が非常に限定された研究施設を大学内に設けることを主導しているのは何だか嫌な感じですね。

ピーター・ゲイの『神なきユダヤ人』が非常に良い本だったので、同じ著者の『フロイト』も入手してみたのですが、ここまで手を広げると収拾がつかなくなりそうな予感もして、ちょっと迷っているところです。

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「ぼくの内部ではぐつぐつと発酵がすすんでいる」「きっとぼくはいま繭の中にいるんだ。ここからどんな生き物が這いだすのか、想像もつかない」1897年にフロイトは、親友フリースに宛てて書いている。それから2年余、1900年という象徴的な年に、精神分析の誕生を世に知らしめた『夢判断』は刊行された。本書は、20世紀最大の事件の生みの親について書かれた伝記の文字通りの決定版であり、名だたる歴史家の執念の傑作である。
1856年、モラヴィアの小さな町で、貧しいユダヤ人毛織物商人の家庭で生を享け、4歳でウィーンに移る場面からはじまるこの伝記は、世紀末ウィーンの細部から精神分析の胚胎、『夢判断』の衝撃、ユングをはじめ弟子たちとの出会いと別れ、アンナ・Oやドーラ、鼠男、狼男といった患者の様子など、フロイトにまつわるありとあらゆる出来事が、時代のうねりとともに描きつくされる。L巻は1856-1915まで。全2冊。

http://www.msz.co.jp/book/detail/03188.html

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

猫忍 2017/03/13(月) 13:35:04
小太郎さん
万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』の冒頭に、柘植屋敷の八十近い長老の至言がありますが、平成の忍者学とは。「地域創生」などという馬鹿なことはやめて、そっと寝かせておけばいいのに、と思います。
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「忍びの連中がまだ何とかまともだったのは永禄生まれまでだな。あとはもう、どうしようもないハズレばかり。天正生まれはとにかく腕が悪い。文禄生まれはそれに加えて頭まで悪い」
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http://www.athome-academy.jp/archive/culture/0000001114_all.html
http://www.kadokawa.co.jp/product/321412000235/
田舎の大学はそんな調子で落ちてゆくんですね。逝く者は斯くの如きか、昼夜を舎かず。『忍者の歴史』という本を上梓した人もいますね。近い将来、私の専門は、忍者の中でも、抜け忍とくノ一です、というような奴が出てくるかもしれません。

http://www.bsfuji.tv/nekonin/pub/
落ち目のフジテレビが満を持して放つドラマ、『猫忍』。

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