大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第77回

2014年02月25日 14時15分33秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第77回



翌日会社の昼休みにPCで調べてみた。 すると確かに「滝」 と書かれてあった。 だがここで琴音のアバウトさが出た。

「あ、やっぱり書いてあったわ。 愛宕山の方に行けば滝があるのね」 それで終わってしまったのだ。

「一応此処にもあったという事で あとは当日まで他にいい所があったらそこに行けばいいわね」 その後、旅行会社の広告で2ヶ所ほど気に入った滝があった。 何処も軽いハイキングコースとなっている。

「遠い所にいくわけじゃないんだから 旅行会社を通さなくてもこれくらいなら自分で行けるわよね」 極力近場を見ていたのだ。


明日からはとうとう盆休みだ。
夏という事もあって寒いわけではない。 会社から帰ってすぐに風呂は沸かさずシャワーを浴びた。 濡れた髪の毛をタオルで拭きながら和室に腰を下ろした。

「はぁ、明日から連休か。 早速明日行こうかしら」 机に置いてあった滝の広告を見て

「どっちに行こうかしら。 どっちも山の中、気持ちよさそうでいいわね」 滝があるんだからそりゃ山の中だろう。

「決めかねちゃうわ・・・ま、明日になってからでもいいわよね」 行くルートは両方とも既に分かっている。

「ちょっと早めに起きてゆっくりと風景を楽しみながら行けばいいわよね。 ってことで今日は本を読まないで早めに寝ましょうか」 ドライヤーを当てに洗面所へ向かい その後、軽く夕飯の準備をした。
夕飯を済ませテレビを点けると仏像が映し出されていた。 十二神将を題材にしていたのだ。

「へぇー、みんな怖い顔をしてるのね・・・薬師如来を守っている?・・・へぇー、そうなんだぁ」 仏教の勉強をしてきたからか少々興味があるようだ。

「・・・伐折羅大将(バサラ大将)!? ふーん、この仏像昔は色がついていたのね。  あ、そう言えば前に仏像の本を見たときに凛とした感じを受けたあの仏像よね。 へぇー、色がつくと全然イメージが違うわ。 結構カッコイイじゃない」 仏像に対してカッコイイとは無礼な。

慌てて携帯を出し、テレビに映し出された仏像の写真を撮った。

「待ち受けにしちゃおっと」 他の人に見られないようにね。

暫くテレビを見ていたが 仏像の番組が終わると

「うーん・・・。 まだ寝られそうにないわ」 会社の鞄の中から本を出して

「1時間くらいなら読んでもいいわよね」 本を読み出したがふと気がつくと午前2時になりかけていた。

「あ!もうこんな時間じゃない。 明日は早いんだからもう寝なきゃ」 歯磨きをしてすぐ布団に入った。


翌日5時に目が覚めた。

「えー、どうしてこんなに早く目が覚めるのよ。 いくらなんでも早すぎない? それに3時間くらいしか寝られてないじゃない・・・なのに全然眠くないって・・・」 まだ鳴っていない目覚ましのアラームをオフにし、キッチンに向かった。

「コーヒー・・・まだいいか。 このままちょっとゆっくりしてよう」 座椅子に座りテレビを点けかけたが

「朝のテレビはいいか・・・」 まだカーテンも開けていない。 薄暗い部屋の中にカーテンの向こうから朝日の光がわずかに感じられる。

「あーあ、出かけるのが億劫になってきたわ。 寝不足だから身体もだるい」 座椅子に座っていてもしっくりこないようで座椅子をずらし横になった。

「今日はこのままダラダラ過ごそうかしら」 目を瞑った途端 

「あら、今日の瞼の裏はドットが粗いわね」 だが良く見るとドットが荒いのではなく 瞼の裏に沢山の正方形の形が見えたのだ。

「正方形? 正方形がずっと並んでいるの? 瞼の裏全部、正方形? 何かの模様かしら?」 いくら見ても分からない。

「もう、瞼の裏の相手をしてるとずっと目を開けてるみたいだわ。 気にしないでおこう」 そう言って右に寝返りを打った。 すると今度は

「あら、今度はドットが細かいのね」 見ないでおこうとしても見えてしまう。 そしてついうっかりじっと見ていると段々と鮮明になってきた。

「何かしら?」 見ようとするとつい目に力が入る。 
より一層見たいと思えば目を開けるという条件反射。 琴音の目が開いた。 だがその寸前に見えたものがあった。

「水面?」 ギリギリ寸前で見えたのだ。 
もう一度目を瞑ってみたが今度は何も見えない。 再び目を開け身体を起こし見えたものを整理しだした。

「そうよ、水面の揺らめきを見たわ」 水面に風が当たるとほんの少し揺らめく。 それを見たのだ。

「最初に見えたのは・・・砂利・・・そうだわ。 水面が見える前には水の中に沈んで川の粗い砂をアップで見てたのよ。 川の砂だからドットが細かいと感じたのよ。 砂利を柄のドットと勘違いしてたのよ。 それから・・・そうよ・・・段々視野がひいてきっと水の上から見たのね。 それで水面が風に揺れる所を見たんだわ。 ・・・でもこれが見えて何なの? 見えたからって今日に何か関係があるの?」 大きく溜息をした。

「私何やってるのかしら。 こんな話をしても誰も信じてくれないでしょうし。 うううん、それ以前よ。 これが見えたからって何なのよ」 また溜息がでた。

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