『みち』 目次
第 1回・第 2回・第 3回・第 4回・第 5回・第 6回・第 7回・第 8回・第 9回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
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『みち』 ~未知~ 第53回
「えっと実家には・・・こんなに早く家を出るんだもの・・・確か4キロって書いてあったからそんなに時間はかからないわよね、早く帰ってこられるわよね。 うん、帰ってから行けばいいわよね」 考えが甘いね。
「山に登るって言っても富士山じゃないんだから・・・Gパンに長袖Tシャツそれにスニーカーで充分よね。 鞄は・・・長財布になっちゃったからどうしようかしら・・・確かカジュアルショルダーがあったわよね、あれにお財布だけ入れればいいわよね」 長財布を入れても余裕のある大きさのショルダーバッグである。
長財布を買ってよかったね。 これが二つ折れ財布だったら小さめのポーチにしていただろうから後で面倒くさい目にあう所だったよ。
Tシャツに着替えたが
「長袖Tシャツ一枚だけじゃ寒いかしら? 上にもう一枚長袖Tシャツとトレーナーも着よう」 暑くなれば脱げばいいと重ね着をした。
「朝食はどうしようかしら・・・」 何があっても寝起きすぐに朝食だけは必ず食べないと気が済まない琴音だが
「どうしてかしら、朝食をとってる時間がもったいなく思えちゃうわ。 そうよね、駅の売店でパンでも買って電車の中で食べればいいわよね」 寒がりの琴音、この上にまだパーカーを羽織って残っていたコーヒーを一気に飲み朝食抜きで家を出た。
バス停に行くと丁度始発のバスがやって来た。
「あ、そういえば時刻表も見ないで来ちゃったんだわ。 すぐにバスが来て良かった」 朝食をとっていたら30分待ちになるところだっただろうね。
バスを降り最寄の駅に着くと売店に寄るより先に窓口で切符を買っているとタイミングよく電車がやってきて慌てて電車に乗った。
「あーん、何も買えなかったわ。 京都駅に着いたら絶対にコンビニかどこかで買わなくっちゃ」 そしてお腹を空かせながら長い時間電車に揺られやっと京都駅に着いたが、今度はバス乗り場が分からない。
コンビニに寄る前に先にバス乗り場を確認しておこうと駅員に聞きバス乗り場までやってきたが あまりにも広すぎて何処が自分の乗り場か分からない。 キョロキョロしているとバスの運転手のような服を着た人が立っていた。
「あの人なら知ってるかしら」 聞いてみると分からない人の案内のためにバス会社の人間が立っていたのだ。 さすがは大きな駅だね。
分かり易く教えてもらい言われた方に歩いて行くと
「ここの乗り場ね。 何時に来るのかしら?」 時刻表を見ようとしたときにバスが入ってきた。
「え? このバスなのかしら?」 バス会社の人間がここにも立っていた。
「あの、清滝のほうに行きたいんですけど」 そこまで言うと
「このバスですよ」 今入ってきたバスを指差した。
「有難うございます」 電車もバスも待たずに乗ることが出来たが結局朝食が取れなかった。 覚えておくんだよ、朝食をとってないんだから無茶な水分の取り方をするんじゃないよ。
「今度こそ、バスを降りたら何か買おっと」 完全な手ぶらだもんね。
バスは京都市内を抜けて嵐山を通り清滝へ向かった。 バスの中では
「へぇー ここが四条通り?」 「ここが嵐山なのね」 完全に観光気分だ。
バスの中はそこそこ満員だった。 京都駅始発で乗っていた琴音は何とか座れていたものの 嵐山の停留所からは登山の服装をし、大きなリュックを背負った人たちでたちまちすし詰めになった。
「この人たちも愛宕山に登るのかしら? まさかね、他の山よね。 愛宕山にあんなに大きなリュック必要ないわよね」 その根拠は何処から来るんだい?
嵐山を出ると間もなくトンネルをくぐり清滝バス停に着いた。
「この満員の流れで降りるのは疲れるわ。 最後に降りましょう」 ぞろぞろとみんなが降りていくのを見て
「え? リュックの人たちも降りるの?」 そうだよ、ここが終点なんだから。
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「山に登るって言っても富士山じゃないんだから・・・Gパンに長袖Tシャツそれにスニーカーで充分よね。 鞄は・・・長財布になっちゃったからどうしようかしら・・・確かカジュアルショルダーがあったわよね、あれにお財布だけ入れればいいわよね」 長財布を入れても余裕のある大きさのショルダーバッグである。
長財布を買ってよかったね。 これが二つ折れ財布だったら小さめのポーチにしていただろうから後で面倒くさい目にあう所だったよ。
Tシャツに着替えたが
「長袖Tシャツ一枚だけじゃ寒いかしら? 上にもう一枚長袖Tシャツとトレーナーも着よう」 暑くなれば脱げばいいと重ね着をした。
「朝食はどうしようかしら・・・」 何があっても寝起きすぐに朝食だけは必ず食べないと気が済まない琴音だが
「どうしてかしら、朝食をとってる時間がもったいなく思えちゃうわ。 そうよね、駅の売店でパンでも買って電車の中で食べればいいわよね」 寒がりの琴音、この上にまだパーカーを羽織って残っていたコーヒーを一気に飲み朝食抜きで家を出た。
バス停に行くと丁度始発のバスがやって来た。
「あ、そういえば時刻表も見ないで来ちゃったんだわ。 すぐにバスが来て良かった」 朝食をとっていたら30分待ちになるところだっただろうね。
バスを降り最寄の駅に着くと売店に寄るより先に窓口で切符を買っているとタイミングよく電車がやってきて慌てて電車に乗った。
「あーん、何も買えなかったわ。 京都駅に着いたら絶対にコンビニかどこかで買わなくっちゃ」 そしてお腹を空かせながら長い時間電車に揺られやっと京都駅に着いたが、今度はバス乗り場が分からない。
コンビニに寄る前に先にバス乗り場を確認しておこうと駅員に聞きバス乗り場までやってきたが あまりにも広すぎて何処が自分の乗り場か分からない。 キョロキョロしているとバスの運転手のような服を着た人が立っていた。
「あの人なら知ってるかしら」 聞いてみると分からない人の案内のためにバス会社の人間が立っていたのだ。 さすがは大きな駅だね。
分かり易く教えてもらい言われた方に歩いて行くと
「ここの乗り場ね。 何時に来るのかしら?」 時刻表を見ようとしたときにバスが入ってきた。
「え? このバスなのかしら?」 バス会社の人間がここにも立っていた。
「あの、清滝のほうに行きたいんですけど」 そこまで言うと
「このバスですよ」 今入ってきたバスを指差した。
「有難うございます」 電車もバスも待たずに乗ることが出来たが結局朝食が取れなかった。 覚えておくんだよ、朝食をとってないんだから無茶な水分の取り方をするんじゃないよ。
「今度こそ、バスを降りたら何か買おっと」 完全な手ぶらだもんね。
バスは京都市内を抜けて嵐山を通り清滝へ向かった。 バスの中では
「へぇー ここが四条通り?」 「ここが嵐山なのね」 完全に観光気分だ。
バスの中はそこそこ満員だった。 京都駅始発で乗っていた琴音は何とか座れていたものの 嵐山の停留所からは登山の服装をし、大きなリュックを背負った人たちでたちまちすし詰めになった。
「この人たちも愛宕山に登るのかしら? まさかね、他の山よね。 愛宕山にあんなに大きなリュック必要ないわよね」 その根拠は何処から来るんだい?
嵐山を出ると間もなくトンネルをくぐり清滝バス停に着いた。
「この満員の流れで降りるのは疲れるわ。 最後に降りましょう」 ぞろぞろとみんなが降りていくのを見て
「え? リュックの人たちも降りるの?」 そうだよ、ここが終点なんだから。