『みち』 目次
第 1回・第 2回・第 3回・第 4回・第 5回・第 6回・第 7回・第 8回・第 9回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
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『みち』 ~未知~ 第58回
4,5歩上っただけでまた両手を膝に乗せる姿勢だ。 どれだけの時間をかけて登っただろうか。 まっ、今の琴音じゃあ山側の道でも同じ状態だっただろうね。
バス停に着くと数人居たがベンチが空いている。 すぐにベンチに腰を下ろした。
暫くするとどんどん人が増えてきた。 そして帰りのバスが入ってくる頃には
「全員乗れるのかしら?」 と思うほどになっていた。
並んだ順番から乗っていくのでベンチに座っていた者が必然的に最初に乗り込むことが出来た。
バスの椅子にどっかりと座り込んだ琴音。 疲れた身体にいい揺れ具合
「終点まで乗るんだものゆっくりしてても大丈夫よね」 油断した途端、すぐに眠ってしまった。
停留所で止まる度にうっすらと意識が戻るが身体は眠っている。 バスが京都駅で停まった。
琴音降りるんだよ。
目が覚めた琴音は
「最後でいいわ」 そう思いながら背もたれから身体を起こそうとすると身体が重い。 それどころか筋肉痛だ。
「痛い・・・。 ・・・寝ちゃったから身体の筋肉が固まっちゃったんだわ」 重く痛い身体をやっと背もたれから起こし、動かない身体を引きずって最後尾でバスを降り駅に向かった。
駅では一言
「また階段・・・」 大きな独り言と溜息が出た。
「もう寝ちゃ駄目ね。 また筋肉が固まってしまうわ」 疲れからの眠気を必死に堪えて 電車とバスを乗り継ぎ やっとマンションに着いた。
もう辺りは暗くなりかけてきていた。 ドアを開け
「やっと帰ってきた・・・こんなに遅くなるなんて思いもしなかったわ」 キッチンのテーブルの椅子に座りこみ 両腕をテーブルに乗せその上に伏せた。
ウトウトしかけてきた時に何気なく薄目を開けると 電話の留守電ランプが点滅しているのが目に入った。
「あ、実家・・・お風呂にもゆっくり浸かりたい」 重い身体を持ち上げて留守電を聞くと実家からであった。
すぐに風呂の湯を入れその間に実家に電話を入れた。
「あ、お母さん? 今日行くって言ってたんだけど ごめんなさい、行けなくなっちゃって。 え!? 携帯? あ、持って出るのを忘れてたわ」 電話の向こうではこの時間まで連絡のなかった琴音を心配していた声と 来ない事への残念そうな母親の声がしている。
「明日行くから、ごめんね。 じゃあね」 そう言って電話を切ったが、悪いけど行けないと思うよ。
すぐにお湯がいっぱいになり 風呂に入り全身をほぐした。
風呂から上がると 温まったせいか風呂に入る前よりは筋肉が少しは思い通りに動くが疲れも一気に出た。
「もう駄目。 寝る」 すぐに寝息を立てた。
翌日目が覚めた琴音。 布団の中で
「うそ! イターイ!」 昨日より数段体が痛くなっている。
「いたた・・・起きられないじゃない」 布団から起き上がることが出来ない。 全身が筋肉痛だ。
「今、何時かしら?」 枕もとの目覚ましを見ようとするが首を動かすのも痛い。
「嘘でしょう・・・」 まっすぐ上を向いたままだ。
「頭もボォッとしてる。 熱があるみたい」 長い時間をかけてようやく上半身を起こす事ができた。 ゆっくりと 身体をねじって目覚まし時計を見ようとするが 身体が痛くてねじる事ができない。
「おトイレ・・・」 立とうとするがなかなかだ。
それでも行きたい所に行きたい琴音。 立とうとするとギシギシと音を立てて筋肉が鈍く動く。 酷使した膝の骨は熱を持っているようだ。
「イターイ」 何とかトイレまで辿り着きドアを開け トイレに入ったものの簡単に座る事が出来ない。
ソロっと座るつもりが ドシン! と便座に落ちるようにして座ってしまった。
「イターイ!」 筋肉痛のお尻や足に衝撃が走った。
毎日の生活で 当たり前に座ったり立ったりとしているが 座るだけでもあらゆる筋肉を使わなくてはならないわけだ。 身体の全てに感謝なんだよ。 でも分かっていないようだね。
「やだ、まともに座ることも出来ないわけ?」 琴音のお尻が先か便座が先かどちらが先に壊れるだろうね。
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4,5歩上っただけでまた両手を膝に乗せる姿勢だ。 どれだけの時間をかけて登っただろうか。 まっ、今の琴音じゃあ山側の道でも同じ状態だっただろうね。
バス停に着くと数人居たがベンチが空いている。 すぐにベンチに腰を下ろした。
暫くするとどんどん人が増えてきた。 そして帰りのバスが入ってくる頃には
「全員乗れるのかしら?」 と思うほどになっていた。
並んだ順番から乗っていくのでベンチに座っていた者が必然的に最初に乗り込むことが出来た。
バスの椅子にどっかりと座り込んだ琴音。 疲れた身体にいい揺れ具合
「終点まで乗るんだものゆっくりしてても大丈夫よね」 油断した途端、すぐに眠ってしまった。
停留所で止まる度にうっすらと意識が戻るが身体は眠っている。 バスが京都駅で停まった。
琴音降りるんだよ。
目が覚めた琴音は
「最後でいいわ」 そう思いながら背もたれから身体を起こそうとすると身体が重い。 それどころか筋肉痛だ。
「痛い・・・。 ・・・寝ちゃったから身体の筋肉が固まっちゃったんだわ」 重く痛い身体をやっと背もたれから起こし、動かない身体を引きずって最後尾でバスを降り駅に向かった。
駅では一言
「また階段・・・」 大きな独り言と溜息が出た。
「もう寝ちゃ駄目ね。 また筋肉が固まってしまうわ」 疲れからの眠気を必死に堪えて 電車とバスを乗り継ぎ やっとマンションに着いた。
もう辺りは暗くなりかけてきていた。 ドアを開け
「やっと帰ってきた・・・こんなに遅くなるなんて思いもしなかったわ」 キッチンのテーブルの椅子に座りこみ 両腕をテーブルに乗せその上に伏せた。
ウトウトしかけてきた時に何気なく薄目を開けると 電話の留守電ランプが点滅しているのが目に入った。
「あ、実家・・・お風呂にもゆっくり浸かりたい」 重い身体を持ち上げて留守電を聞くと実家からであった。
すぐに風呂の湯を入れその間に実家に電話を入れた。
「あ、お母さん? 今日行くって言ってたんだけど ごめんなさい、行けなくなっちゃって。 え!? 携帯? あ、持って出るのを忘れてたわ」 電話の向こうではこの時間まで連絡のなかった琴音を心配していた声と 来ない事への残念そうな母親の声がしている。
「明日行くから、ごめんね。 じゃあね」 そう言って電話を切ったが、悪いけど行けないと思うよ。
すぐにお湯がいっぱいになり 風呂に入り全身をほぐした。
風呂から上がると 温まったせいか風呂に入る前よりは筋肉が少しは思い通りに動くが疲れも一気に出た。
「もう駄目。 寝る」 すぐに寝息を立てた。
翌日目が覚めた琴音。 布団の中で
「うそ! イターイ!」 昨日より数段体が痛くなっている。
「いたた・・・起きられないじゃない」 布団から起き上がることが出来ない。 全身が筋肉痛だ。
「今、何時かしら?」 枕もとの目覚ましを見ようとするが首を動かすのも痛い。
「嘘でしょう・・・」 まっすぐ上を向いたままだ。
「頭もボォッとしてる。 熱があるみたい」 長い時間をかけてようやく上半身を起こす事ができた。 ゆっくりと 身体をねじって目覚まし時計を見ようとするが 身体が痛くてねじる事ができない。
「おトイレ・・・」 立とうとするがなかなかだ。
それでも行きたい所に行きたい琴音。 立とうとするとギシギシと音を立てて筋肉が鈍く動く。 酷使した膝の骨は熱を持っているようだ。
「イターイ」 何とかトイレまで辿り着きドアを開け トイレに入ったものの簡単に座る事が出来ない。
ソロっと座るつもりが ドシン! と便座に落ちるようにして座ってしまった。
「イターイ!」 筋肉痛のお尻や足に衝撃が走った。
毎日の生活で 当たり前に座ったり立ったりとしているが 座るだけでもあらゆる筋肉を使わなくてはならないわけだ。 身体の全てに感謝なんだよ。 でも分かっていないようだね。
「やだ、まともに座ることも出来ないわけ?」 琴音のお尻が先か便座が先かどちらが先に壊れるだろうね。