大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第67回

2014年01月22日 16時14分06秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第67回



また、耳だけではない。

夜目をつぶり瞼の裏を見ているとき 光の粒のようなものが見え出していたのだ。
最初は目が少し開いて電気が漏れ入っていると思っていたのだが よく考えると電気を点けて寝ているわけではない。
それに今までずっと瞼の裏に見えるのは黒い影のような色だったのがここの所、色が良く目立つ。 紫からはじまり緑、ピンクだ。

「いったいどうなっているのかしら。 私の瞼、最近賑やかだわね」



電話が鳴った。

「もしもし」

「ハーイ」

「暦?」

「どう? 大人しくしてるの?」 

「してる、してる。 もうあんな無茶な事してないわよ。 それよりどうしたのこんな時間に。 夕飯の時間じゃないの?」

「いつもならね。 でも今日はみんな出はらってて誰もいないの。 だから退屈なの」

「子供達がこんな遅くに?」

「そうなのよ。 何かの打ち上げで夕飯もいらないんだって」

「打ち上げって・・・会社みたいね」

「でしょ、最近の子供のする事は分からないわ」

「旦那さんの夕飯は?」

「今日は飲んで帰るんだって」

「毎日キチンとしている暦だから、それじゃあ退屈になっちゃうわよね」

「キチンとなんてしてないけど夕飯の用意がいらないのは大きいわね。 退屈限界で電話に手が伸びちゃった」

「いいわよ話し相手になるわよ。 そうだ、あの時のお礼まだだったわ。 ランチのできる日ある?」

「うーん、今月は予定がいっぱいかなぁ・・・ま、またそのうちおごってよ」

「忙しいんだ」

「平日の昼間は結構、融通が利くんだけどね 土日、祝日となるとなにかとあるのよ」 暦は子供の学校の役員をしている。

「それってどういう事? 平日の夜は?」

「またこれが町内のことがあるのよ」 ちなみに町内の役員もしているのだ。

「どれだけ忙しいのよ」

「学校も町内も旦那の関係で断れないからね」

「はぁー 色々あるのねー」 琴音には想像ができない。

「琴音はどうなの? 新しい仕事は慣れた?」

「うん何とかね」

「新しい男性は?」

「居ないわよ」

「会社にいい人居ないの?」

「お母さんみたいなこと言わないでよ」

「だってお母さんだもん」

「私のじゃなくて子供達のお母さんでしょ」

「はいそうですー。 でも心配なんだもん」

「心配ご無用よ。 一人でやっていくから」

「あんなロボットが一人でやっていけると思うわけ?」

「あの時は仕方がないじゃない。 まさかあんな事になるなんて思いもしなかったんだもの」

「ぷぷぷ・・・思い出しただけで笑えてきちゃうわ」

「止めてよー。 もう二度と山になんか登りに行かないんだから忘れてよー」

「分かった、分かったわよ。 でもいつまでも一人はねぇ・・・実はね、この間ご近所にドロボーが入ったのよ。 そのとき運悪く・・・あ、良くになるのかな? ご主人が出張でお留守だったのね、だから奥さん一人が家にいたわけなのよ」

「それのどこが運がいいの?」

「奥さんがドロボーに気付いたんだけど一人だったから恐くて息を潜めてたんだって」

「でもそれって知ってて何か盗られたってわけでしょ?」

「そうなるけど一番大事なものを盗られなかったじゃない」

「一番大事なもの?」

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