『みち』 目次
第 1回・第 2回・第 3回・第 4回・第 5回・第 6回・第 7回・第 8回・第 9回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
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『みち』 ~未知~ 第52回
決算処理が終わってすぐ5月の大型連休に入る。 その前日急に何を思ったのか・・・いや思わされたのだ。
「愛宕山に行ってみようかしら」 会社の昼休みにふと思った。
お昼を早々に済ませ奥の事務所に行き空いているPCを指差し
「すみません。 プライベートなんですけどちょっと調べたい事があるのでこれでネット検索してもいいですか?」
「ああ、いいですよ。 好きなように使って下さい。 僕らも遊んでますからプライベートなんて気にしないでいいですよ」 他に座っている者たちもゲームで遊んでいた。 気兼ねなく出来る。
「有難うございます」 席に座りネットを開いた。
「確か森川さんの旦那さんは京都の愛宕山に行かれたって仰ってたわよね」 京都の愛宕山を調べると清滝の方にあった。
「きっとここね。 愛宕山自体は4キロルートと他にもあるのね。 標高924メートル? 標高なんて書かれててもピンとこないわ。 一番短いルートが4キロルートみたいね・・・4キロって歩けない距離じゃないけど 何と言っても山登りだものね、多少の坂もあるだろうし車で行って帰りに疲れても困るから電車で行こうかしら」 行き方を調べると京都駅からバスに乗るようになっている。
「愛宕山の近くまでバスが出てるのね。 これに乗ればいいのね」 何番の乗り場から出ているバスに乗るかをメモした。
「あれ? 私ったら何をしてるのかしら。 山になんて登られるはずないじゃない。 それに実家に帰らなくちゃいけないじゃない馬鹿みたい」 持っていたペンを置いた。
「何をブツブツ言ってるんですか?」 隣に座っていた社員がクスクス笑いながら聞いてきた。
「あ、すみません。 聞こえちゃいましたか?」 恥ずかしそうに言った琴音。 だから独り言の声が大きすぎるって。
余談ではあるが この日をきっかけに時々昼休みにPCを借り色んな本の検索を始めた。 勿論他の社員と楽しくお喋りをしながらというわけではなかった。
ある日、次にどんな本を読もうかとPCで検索していると
「あら? ホツマツタエ? これって何なのかしら?」 見てみるとPCで読めるようになっている。 その後2、3日かけてPCに書かれているそれを読んだが
「全然意味が分からない。 これじゃあ本を借りても分からないわね」 そんなこともあった。
愛宕山のことを調べたこの日、家に帰り 夜、実家に電話を入れた。
「あ、お母さん? 私よ。 うん、うん、そうなの、分かったわ、明日から連休になるのよだから明日そっちへ行ってその話は聞くわ。 じゃあ、明日行くからね」 母親の父親への可愛い愚痴であった。
翌日、せっかくの休みの日なのに早朝に目が覚めた。 目覚まし時計を見ると5時30分。 連休初日という事もあって目覚ましのアラームはセットしていなかった。
「せっかくのお休みだって言うのにこんなに早く目が覚めてもすることないじゃない。 連休なんだから慌ててアチコチお掃除しなくてもいいんだから・・・二度寝を味わおっと」 布団の中でグズグズとしていたが一向に眠気がやってこない。
「あー! ジッとしていられない」 ガバッと布団からはね起きた。
「せっかくの休日初日なのにぃ!」 文句を言いながらコーヒーを作りにキッチンへ向かった。
「あーあ、今日一日が長くなっちゃう。 早めに実家に行こうかしら」 いつも夕方に実家へ着くようにしていたのだ。
コーヒーを飲み一息つこうとしたときにふと愛宕山のことを思い出した。
「そう言えば・・・昨日愛宕山の行き方を調べたわよね。 あのメモどうしたかしら」 バッグの中を探すとメモが出てきた。
「しっかり持って帰ってきたみたいね」 無意識にメモをバッグの中に入れていた自分をクスッと笑い、メモをじっと見ていると
「今から行こう」 急に仕度を始めた。
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決算処理が終わってすぐ5月の大型連休に入る。 その前日急に何を思ったのか・・・いや思わされたのだ。
「愛宕山に行ってみようかしら」 会社の昼休みにふと思った。
お昼を早々に済ませ奥の事務所に行き空いているPCを指差し
「すみません。 プライベートなんですけどちょっと調べたい事があるのでこれでネット検索してもいいですか?」
「ああ、いいですよ。 好きなように使って下さい。 僕らも遊んでますからプライベートなんて気にしないでいいですよ」 他に座っている者たちもゲームで遊んでいた。 気兼ねなく出来る。
「有難うございます」 席に座りネットを開いた。
「確か森川さんの旦那さんは京都の愛宕山に行かれたって仰ってたわよね」 京都の愛宕山を調べると清滝の方にあった。
「きっとここね。 愛宕山自体は4キロルートと他にもあるのね。 標高924メートル? 標高なんて書かれててもピンとこないわ。 一番短いルートが4キロルートみたいね・・・4キロって歩けない距離じゃないけど 何と言っても山登りだものね、多少の坂もあるだろうし車で行って帰りに疲れても困るから電車で行こうかしら」 行き方を調べると京都駅からバスに乗るようになっている。
「愛宕山の近くまでバスが出てるのね。 これに乗ればいいのね」 何番の乗り場から出ているバスに乗るかをメモした。
「あれ? 私ったら何をしてるのかしら。 山になんて登られるはずないじゃない。 それに実家に帰らなくちゃいけないじゃない馬鹿みたい」 持っていたペンを置いた。
「何をブツブツ言ってるんですか?」 隣に座っていた社員がクスクス笑いながら聞いてきた。
「あ、すみません。 聞こえちゃいましたか?」 恥ずかしそうに言った琴音。 だから独り言の声が大きすぎるって。
余談ではあるが この日をきっかけに時々昼休みにPCを借り色んな本の検索を始めた。 勿論他の社員と楽しくお喋りをしながらというわけではなかった。
ある日、次にどんな本を読もうかとPCで検索していると
「あら? ホツマツタエ? これって何なのかしら?」 見てみるとPCで読めるようになっている。 その後2、3日かけてPCに書かれているそれを読んだが
「全然意味が分からない。 これじゃあ本を借りても分からないわね」 そんなこともあった。
愛宕山のことを調べたこの日、家に帰り 夜、実家に電話を入れた。
「あ、お母さん? 私よ。 うん、うん、そうなの、分かったわ、明日から連休になるのよだから明日そっちへ行ってその話は聞くわ。 じゃあ、明日行くからね」 母親の父親への可愛い愚痴であった。
翌日、せっかくの休みの日なのに早朝に目が覚めた。 目覚まし時計を見ると5時30分。 連休初日という事もあって目覚ましのアラームはセットしていなかった。
「せっかくのお休みだって言うのにこんなに早く目が覚めてもすることないじゃない。 連休なんだから慌ててアチコチお掃除しなくてもいいんだから・・・二度寝を味わおっと」 布団の中でグズグズとしていたが一向に眠気がやってこない。
「あー! ジッとしていられない」 ガバッと布団からはね起きた。
「せっかくの休日初日なのにぃ!」 文句を言いながらコーヒーを作りにキッチンへ向かった。
「あーあ、今日一日が長くなっちゃう。 早めに実家に行こうかしら」 いつも夕方に実家へ着くようにしていたのだ。
コーヒーを飲み一息つこうとしたときにふと愛宕山のことを思い出した。
「そう言えば・・・昨日愛宕山の行き方を調べたわよね。 あのメモどうしたかしら」 バッグの中を探すとメモが出てきた。
「しっかり持って帰ってきたみたいね」 無意識にメモをバッグの中に入れていた自分をクスッと笑い、メモをじっと見ていると
「今から行こう」 急に仕度を始めた。