大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第70回

2014年01月31日 13時51分26秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第70回



夜 会社から帰り夕飯も風呂も済ませてコーヒーを片手に本を読んでいたら携帯が鳴った。

「あら? 文香だわ」 携帯を手に取ると思わず携帯を眺めながら 

「暦お婆ちゃんって凄いわね」 暦がお婆ちゃんになったようだ。

「もしもし、文香?」

「久しぶり、 どう元気してた?」

「元気よ。 この間、文香の噂話をしてたところよ」

「なに? どんな噂?」

「暦の話をした事あるわよね? 覚えてる?」

「覚えてるわよ。 琴音の同郷の子でしょ?」

「そうそう。 暦が文香の再婚話はないのかって言ってたの」

「ナイナイ! ちゃんと言っておいてくれたの?」

「言ったわよ。 家事が嫌いだから結婚は出来ないって」

「もっといい言い方してくれてもいいじゃない」

「事実だもん」

「ま、確かにそうだけど。 ね、それより今週末ってヒマ?」

「うん、土日とも会社はお休みよ」

「乙訓寺どうしてるの?」

「乙訓寺?」

「うん、前に言ってたじゃない」

「うん、時々行ってるわよ」

「今週末は行かないの?」

「なに? 文香行きたいの?」

「えへへ、久しぶりに京都方面に行きたくて。 もし琴音が乙訓寺に行くんだったら一緒したいなと思ってね」

「行ってもいいけど文香は乙訓寺じゃなくて・・・・えっと、何処だったっけ・・・」

「向日神社の事?」

「あ、そうそう。 そこの方が懐かしいんじゃないの? そっちへ行こうか?」

「いいの、いいの。 暦が行くついででいいの。 それに乙訓寺には行った事がないからそっちのほうが興味があるわ」

「そうなの・・・そうね・・・私もお礼を言いに行ってないから今週末行こうか」

「お礼?」

「ま、そのことは車の中で話すわ」

「わ、お楽しみ。 また何かあったのね」

「残念ながら楽しい事じゃないわよ。 じゃあ今度は私が運転して行くから文香を迎えに行くわ」 

「やった、今度こそは完全に助手席に座れるのね」

「慣れた道だから任せて。 帰りに混むのは嫌だからちょっと早めに出たいんだけどいい? 文香の所に8時ごろとか」 

「うん、いいわよ。 それと一応、琴音が部屋を出る前に電話くれる?」

「OKよ、でもモーニングコールにならないことを祈るわ」

「今度は寝坊しないわよ」 その後少し話をして電話を切った。


それから2日後の夜中。 また違和感を感じ目を開けると

「あら、久しぶりじゃない」 余裕だ。

部屋中に例の文字のようなものが見えた。 だが今度は乱雑に見える。 右に傾いていたり左に傾いていたりキチンと整列もせずアチコチに散らばっている。

「今度はポロポロしているのとはちょっと違うわね」 じっと見ているとその文字のようなものがまるで意識を持っているかのように動き出した。

「あら? 可愛い。 お散歩ですか?」 少しずつアチコチで動き出した。

琴音がそれをじっと見ていると どうも文字たちは整列を始めたようだった。 キチンと並びかけた時に今がチャンスと琴音が目を凝らして見た。 するとその文字らしきものはスーッと消えて見えなくなる。

「あ、どうして?」 琴音が意識をはずすとまたスーッと出てくる。 

あちこちで試みるが琴音が見ようとするとみな同じようにスーッと消えて 琴音が目をはずすとスーッと出てくる。

「これじゃあ分からないわね。 もういいわ。 早く寝なくちゃ」 また布団に寝なおした。 

少々の事では驚かなくなったようだ。 寝坊して遅刻してもいけないからね。 それにそんなに気にしなくてもいいよ。

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