大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第66回

2014年01月17日 22時34分53秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第66回


 
ある日 お風呂にゆったりと浸かり目を閉じていると

・・・チリンチリン・・・左の耳に鈴の音が聞こえた。

「綺麗な澄んだ鈴の音・・・」 そのまま耳を澄ませていたが

「鈴の音?」 ビックリして目を開け身体を起こした。

「どうしてお風呂の中で鈴の音がするの?」 お風呂の中に鈴などないものね。

「・・・猫?・・・そうよね、どこかの飼い猫の首輪にでも付いていたのよねきっと」 そんな事で納得するのかい? 耳の真横で聞こえたんだろう? それにここは2階だろう? 風呂の窓の向こうには何もないんじゃないのかい?


それから数日後

夜中、ガチャンという音で目が覚めた。 沢山の鍵をつけていてそれを落としたような音だ。

「なんなの? この夜中に鍵なんて落とさないでよ」 それが初めての日であったがそれからも度々色んな音で目が覚める事が続いた。

「お願い夜中なのよ、起こさないでよ」 何日も夜中の音に起こされたある日の夜、この日も眠りについていた琴音であったが夜中にまたガチャン! という今までに無い大きな音で目が覚めた。 
音はすぐ横で聞こえたようだった。
聞こえたのは左の耳からだという事が分かっていたので咄嗟に左を見た。 だがそこには割れたものも、何かが落ちた跡も何もない。

「まさか双葉さん・・・」 初めて社会人となって務めていた会社の事を思い出したが

「そんなはずないわよね。 もう何年も前の事なんだもの。 泥棒?」 布団から身体を起こして薄暗い中、周りを見渡したが特に変わった様子はないようだった。

「夢じゃなかったわよね」 立ち上がり電気をつけたがやはり何も変わった様子はない。

玄関の鍵を確認してもちゃんと鍵がかかっている。 ベランダの鍵もかかっている。 カーテンをそっと開けベランダを確認するがここも変わった様子はない。

「何もない・・・すぐ耳の横であんなに大きな音がしたのに・・・何だったのかしら」 そう思いながらもまた布団に入った。 


ある日、会社から帰り昨日の続きを早く読みたいと 夕飯の準備もしないで座椅子に座って本を読んでいたが その日の仕事はいつになくトラブルがあったりとかなり疲れていたからなのか いつしかウツラウツラとなってきたときキッチンに置いてあるパイプ椅子を動かし床に擦ったような音がした。

「え!?」 慌てて目を開け身体を起こしキッチンのパイプ椅子を見たが動いてはいない。

「そうよね。 誰も居ないんだものね」 だが納得がいかない。

「あ・・・待って・・・今、耳に聞こえなかったわよね・・・」 よく考える。

「距離感もなかったわ・・・頭・・・そう、頭に聞こえたわ・・・」 そして

「あの時の鈴・・・お風呂の中で聞いた鈴の音は確かに左の耳に聞こえたわよね。 夜中の音もみんな左の耳に聞こえたわよね・・・え? 左?」 考えるか?

「どうしてかしら。 ・・・どうしてでしょうね。 分からないわね。 そうですね」 またかい。 


だがそれだけではなかった。

会社の休みの日。 座椅子にもたれて本を読んでいたのだが夕方またウトウトとし始めた。
丁度意識が遠のいていきかけた頃、耳元で大きな鐘の音がした。 目を閉じた状態のまま意識だけがはっきりと目覚め

「あら? 今の鐘の音・・・ああ、夕方6時の鐘が鳴ったのね。 もうそんな時間になってたのね・・・あ、そうじゃないじゃない。 どうしてこんなに大きな音で聞こえるの?」 するとその後にノイズが聞こえた。

「え? これってカセットテープのノイズの音?」 そのままじっとしているとまた耳のすぐ横で大きな鐘の音が聞こえた。 そしてノイズ。 それが3回繰り返されてプツっと録音の終わるテープの音がした。 琴音が目を開けた。

「何? どうしてあんなに大きな音で鐘の音が聞こえるの? それにテープのノイズって どういうこと?」 窓は閉まっている。 いつもなら窓が閉まっていれば耳を澄まさないと鐘の音は聞こえない。 窓が開いている時でも気にしていなければ全く気付かないほどである。 

「なんだったの?」 なんだろうね。 考えても分からないよ。

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