大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第68回

2014年01月24日 14時14分28秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第68回



「うん、そう。 命よ」

「ああ、そういう事」

「ああ、って。 お金より何より命は大切なのよ」

「分かってるけど・・・知ってて大事な物や貯金を取られるって、それもどうなのかしら・・・」

「何言ってるのよ。 琴音の言う大事な物もお金も何もかもその命があってのことでしょ?」

「うん・・・まぁ・・・」

「自分の大切な人が目の前からいなくなることを考えてよ。 もし旦那さんがいたら格闘して万が一があったかも知れないじゃない」

「そう言われればそうね」

「でしょ?」

「でも気になるのは現金だわ。 現金とか盗られたの?」

「もう! だから誰かと結婚しなさいって言うの! お金より、愛する人や子供でしょ?」

「え? 暦、何だかんだ言って旦那さんのこと愛してるの?」

「はぁ? 旦那のことは置いておいても子供は愛してるわよ。 私の宝よ。 子供が私の目の前からいなくなるなんて考えもしたくないわ。 って、私のことはいいの。 ああ、そうじゃなくて。 結構盗られたみたいよ。 だけど聞くとそのほうが良かったんですって」

「え? どうして?」

「少ししか盗る事ができなかったら 腹いせにまたやって来ることもあるんですって」

「ええー! そうなの?」

「そうらしいわよ。 警察の人がそう言ってたんだって」

「でも腹いせって 逆切れじゃない」

「まあね。 どう? こんな話聞いて夜一人で恐くない?」

「え・・・あ、」

「あ、何? 怖いの? ストライク?」

「うううん、そういう事じゃなくて」

「なに?」

「実はね・・・」 文字のようなものや音の事、身体が揺れた話などを暦に言った。

「それってドロボーとは世界が違うわよね」

「うん、まあそうなんだけど」

「でも良かったじゃない」

「なにが?」

「生身の人間が一番怖いのよ」

「どうしてよ。 理解に苦しむ現象のほうが恐いわよ」

「だってそれって何の悪さもしてこないでしょ?」

「そうね、せいぜい睡眠妨害かな」

「でしょ、生身の人間は刃物を持ってるんだから」

「あははは 暦には勝てないわね」 心に引っ掛かりがあったものが外れたように笑った。

「え? そう?」

「そうよ、簡単に解決してくれるのね」

「事実を言ったまでよ。 それにそういう事って・・・えっと・・・」

「なに?」

「誰だったかしら・・・ほら、琴音の昔の仕事仲間の・・・」

「ああ、文香?」

「そうそう、彼女なら何か知ってるんじゃないの?」

「そう言えば長い間連絡してないわ」

「彼女はどうなの? 彼氏」

「居ないみたいよ」

「えー 彼女も琴音派なの?」

「違うの。 結婚はしたくないけど彼は欲しいみたいなの」

「確か離婚してバツ1だったっけ?」

「そう、すぐに別れちゃった」

「再婚はしたくないのかしら」

「家事全般が好きじゃないみたいでそれがコリゴリなんだって」

「あ、それじゃあ結婚は厳しいかもね・・・って、私も家事なんて好きじゃないわよ。 特にアイロンがけなんて気が狂いそう。 うちの旦那スーツだから仕方なくアイロン当ててるけどね」

「そう言えば旦那さんスーツだもんね。 それでもちゃんとやってるじゃない」

「仕方なくよ。 それに1週間分溜めてるわ」

「私も文香も仕方なくも出来ないのよ」

「琴音はまだ結婚した事ないんだから分からないじゃない」

「だってそんな実験しなくても充分嫌いだもの」

「実験って・・・結婚って言いなさいよ」

「あれ? どこかで聞いたセリフ・・・」

「何?」

「ああ、何でもない」

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