大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第62回

2014年01月05日 16時14分04秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第62回



「子供じゃないわよ」

「充分子供みたいな事してるじゃない。 それっと・・・琴音の連休はいつまで?」 キッチンに帰った暦が聞いた。

「えっと、今日で2日目だからあと3日で終わり」 

「それじゃあ その様子だと多分連休の間ずっと動けないだろうから 適当に何か作って冷蔵庫に入れておくから食べるのよ」 続けて料理を始め

「その乙訓寺の話の続き聞かせて」 料理をしながら琴音の話を聞いていた。

聞き終わって

「それっていったい何なの? その色んな話もそうだけど何より出発点は山にもお寺にも急に行きたくなったっていうのが不思議よ。 それも大嫌いなお寺でしょ? それと今まで琴音が山なんて言葉を言った事なかったじゃない。 あ、それとも行きたかったけど言わなかったの?」

「うううん、山なんて考えた事なかったわよ。 まぁ、山頂の神社はここまで来たんだからって意地でお参りした様なものだけどね」

「意地? 意地だけであの社寺仏閣嫌いがお参りする?」

「あ・・・そう言われれば・・・今までの私じゃ考えられないかも」

「でしょ、いったい何があったのかしらね。 心当たりはないの?」

「うーん、分からないわ。 それにそれを言ったらどうして前の会社を辞めたのかも分からないし、他にも分からないことだらけなのよ」

「40歳になると人が変わるのかしら?」

「歳のことは関係ないわよ」 

「他にも分からない事って、まだ何かあったの?」

「小さな事よ。 今までの自分じゃないみたいな行動をとったり、言ったり」

「例えば?」 悠森製作所やハローワークでの事を話した。

琴音の話を聞きながらも次々と手早く料理を作っていった暦。

「ま、これだけ生きてたら分からない事の一つや二つあってもおかしくないわよね」 そして続けて

「さ、出来た。 今冷蔵庫に入れられるものは入れておくけど まだ暖かいものはコンロとテーブルに置いていくから冷めたら冷蔵庫に入れておいてね・・・あっと、入れに来られる?」

「大丈夫よ。 それに少しずつでも動かないといつまでもこれじゃね」

「じゃ、2,3日分くらいあるからチンして食べてね。 あ、おにぎりは早めに食べちゃってね。 言っとくけど 琴音の好きなのばかり作ると偏っちゃうから苦手な物も作ってるからね。 全部ちゃんと食べるのよ。 じゃあ 帰るけど・・・あ、そうだ 忘れるところだったわ」

「なに?」

「今日お風呂に入るの?」

「どうしようかな ・・・どうして?」

「シップを持ってきたんだけど もしお風呂に入らないのなら今貼ってあげるけど お風呂に入るんだったらまだ貼れないと思って」

「あ、貼って欲しい。 今日はお風呂に入らない」

「じゃあ 貼ろうか」 シップを琴音のほうに持ってきて背中や足、腕あちこちに貼った。

「ありがとう。 これで明日は大分楽になるわ」

「白いロボットの出来上がり・・・って言うより、ミイラ女みたいよ」 シップを貼っていない所がないほどだ。

「もう!」

「残りは置いていくから明日からは自分で貼ってね」 立ち上がった暦。

「あ、今日の食材とシップ代、いくらかかった?」 慌てて琴音が聞いた。

「私が勝手にやってるんだから気にしないで」 キッチンへ歩きながらそう返事をすると

「それは駄目よ、旦那さんのお給料なんだから。 それにシップもこんなに沢山高いじゃない」

「シップは前に実家からもらってきてたものだからお金がかかってないの。 それに食材代って言っても家からも持ってきてるからいくらもかかってないわよ」 キッチンのテーブルの椅子にかけてあった上着と鞄を持ち帰る準備だ。

「そんなわけにいかないじゃない」

「じゃあ 今度ランチおごってちょうだい」

「それでいいの?」 

「充分よ、お釣りが出るくらいよ。 ホントにそんなにかかってないのよ」

「じゃあ、今度ランチおごらせてね」

「うん、楽しみにして待ってる。 じゃ、今度こそ帰るわね」

「有難う、ゴメンね遅くなっちゃったわね」 立ちかけた琴音に

「今はそのままでいいから。 私が帰った後、ちゃんと鍵かけてね」 手を振りながら部屋を出て行った暦であった。

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