雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

銀の雨五月を飾る年ならむか水面に映る花々冷えむ

2022-04-24 19:02:00 | Weblog

 雨に。

 予想では、今年のゴールデンウィークの天気はあまり冴えないようだ。

 


 最近読んだ本。どちらもわかりやすく、大切な社会問題、日本の国民性を指摘している。

 髙橋洋一氏の著作は私には驚きの連続で、戦後の高度経済成長からバブル、その崩壊、リーマンショックの原因など、シロウトにも理解できるよう、要点をまとめ、しかも読みやすかった。
 彼は一般市民に対して投げかける。政府や政治家の方針・政策について出来る限り適切な対応、判断ができるよう、知識武装すべきだと。さもないと、でたらめなエコノミストやメディアに騙され、大損してしまう、と。大損というのは私の言葉だが、メディアや政府、日銀は必ずしも正確で適切な、過去のデータ分析に基づいたアピールをしない、と彼は断言している。
 私は最近、太平洋戦争前後の近現代史を乱読しているのだが、たしかに当時の大本営やメディアは事実を歪めて報道し、無知な国民はそれに踊らされたのだった。

 現代においても、残念ながらそうした根本は変わらない。
 そして、私は考える。いったい私たち一般市民は、どんな手段で政治経済のからくりや未来への希望を選べるのだろうと。新聞やテレビラジオのニュースの裏や欺瞞について、髙橋氏は暴露に近い記述をしている。それは読書である私には驚きであり、感謝に値するが、さて普通に生活している市民には、いざ雑多な問題や現象を突きつけられても、分析、推測しようがない。
 バブルの真の原因や、失われた20年の大不況に日本を突き落としたリーマンショックの誤謬など、エリートである日銀官僚でさえ不明だったというのだから。
 
 が、ともあれメディアの宣伝や有名タレントに付和雷同せず、地道に、冷静にいろいろな学びの態度で人生を歩む大切さを教えられた。髙橋氏はさりげなく書いている。

 「この国では不思議なことに、間違ったことを主張したり、当たらない予想を繰り返しているエコノミストや経済学者が、いつまでも淘汰されずに主張を繰り返してゆく傾向がある」
 つまり、そんな恥さらしな国民性は日本だけで、少なくとも欧米では通用しないというわけだろう。彼は米国プリンストン大学院で、FRBのベン・バーナンキの教えを受けているから。

 とにかく面白かった。私は政治経済オンチだが、今までとはまるで違う視野で、政治や経済社会を見つめる契機を貰った本の一つだ。

 猪瀬直樹さんの方も達意の文章で読み甲斐ある内容だった。彼もまた、日本人の国民性について真剣な疑問や意識を抱き、読者に投げている。
 保坂氏にせよ猪瀬氏にせよ、国家百年の計を考える人たちが増えると、日本の未来は明るい。小さな身の回りの幸せは誰でも守りたいはずだ。そのためには、やはり漫然と過ごすのではなく、別に際だった社会、政治活動をするのでもなく、知的武装、正確、適切な学びの自覚は大切だと実感する。

 


 戦後、A級戦犯として絞首刑された東條英機の遺族に対して、日本人は酷い仕打ちをした。515事件後の犬養家に対する暴行もそうだが、こういう責任転嫁、不安ヒステリーのひどさを、私たち日本人は持っている。猪瀬直樹氏の本からだ。

 さまざまゆたかな実りある読者だった。

 愛と感謝。
 

 


 

 
 
 
 

 


 
コメント
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