ふと。
最近、知人の訃報が相次ぐ。
記憶の中で死者はもう歳を取らない。どころか、その人が最も好ましかった時代の姿のまま。
この古典写真は100年ほど前の作曲家、リリー・ブーランジェ。飛び抜けた音楽の才能を嘱望されながら、生来病弱で、わずか24歳で亡くなった。幼少からあのガブリエル・フォーレに可愛がられたそうだから、じつに幸運な少女だ。
私はリリーの曲が好きで、下手ながらレパートリーにしている。
彼女の肖像画ではなく、ことに印象的な彼女の美しい目と、強い視線、芸術家の雰囲気を、リアリズムだけではなく、自分のスタイルを探しながら、描きたい。
静かな日だった。
全て、愛と感謝。