市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

聖母とは惨き栄光主の婢女と応へてやがて磔刑見るは

2022-04-15 15:48:00 | Weblog

 アヌンツィアータを描き始めた。

 


 人物画はモデル探しにいつも悩む。ことに聖母マリアは、創世記のイヴを超えて、神の被造物の中の最高傑作だから、腕によりをかけて美しい少女にしたいと、いつも願う。

 2000年来、数多の巨匠が自分たち好みの聖母を描いてきた。イタリアルネサンスの画工たちが描いたマリアは、まるでユダヤ系の顔ではなく、金髪青い目だったり、ふっくらと庶民的にあどけない顔だったりする。
 だから私も日本的な聖母マリアを描きたいと思う。

 それにしても聖母の人生は辛いものだ。主の婢女として神の子を産み育て、最後にはその我が子が無実の罪で裁かれ、拷問を受け、磔される一部始終を全て見届けなければならなかった。

 容姿の美しさもさりながら、そうした苦難に耐えられる精神力を含めて「神の最高傑作」である所以なんだろうけれど、マリアを描きながら、私はさまざま考える。今描いているこの子は、無残なものをたくさん見て、悲嘆の極限を舐めなければならない。
 聖母マリアは、もちろん最後には昇天するのだけれども。

 愛と感謝。



 

 

コメント
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