鎌倉に。
今頃からぼちぼちだんかづらの桜並木が見事だろうか。
年齢を重ねると、懐かしく恋しい場所が増える。
北条や浜田の渚に佇むたびに、由比ヶ浜や稲村ヶ崎を思う。
どちらもそれぞれにきれいだ。
またラファエルロの模写を始めた。
テンピの聖母。1508年。
私にとり、レオナルドやミケランジェロ、ボッティチェルリの描いた人物の表情より、ラファエルロの静謐な優雅を映すのは難しい。
彼の聖母の顔には優美と気品、冷たさ、高貴、暖かさ、柔らかさ、悲しみ、慈しみ、などなどいくつもの情緒が、まるで半透明な布のように重なり、私の稚拙なメチエでは到底満足に描けない。
そのような表情を造形したラファエルロの内面はとてもミステリアス。
何度か書き直し、なんとか近い表情にできたかな、という感じだ。
感謝。