つつまれてありたしただただ山ふかく密林深く狭霧に濡れて
ひとつまみ冷えし土くれ染みて知る霧氷しずるる北上山地
どうするも北上山地白白と谷川流る川葬なきや 田江岑子
骨の白、ユトリロの白おもふまで鈴懸の木は冬日にしづか
いつしらに身にあるものはやはらかく球なす冬の寄生木に似て
ゆるやかに冬のひかりの下りくる踊り場はいまひとときの瀞
その端を引かばほどけむ仮名文字の日記(にき)のうちより逃がす蜻蛉 岩岡詩帆
ひとりなりあかねさす昼ぬばたまの夜その空間に雪は降りゐつ
樹はそこにそこに立ちゐてこの地球の秘めたる力吸ひあげてをり 後藤雪乃
いつもランダムに好みの歌を掲載させていただいている。
こうして眺めてみると、自分の心象に近い、スタティック、幻想的な風情の方が多くなる。色彩もどうも、白、ばっかりだ。
単純に色だけで言うなら、特に嫌いな色はない。ただ、うたうときにその色を選ぶ情感が歌柄に現われ、それで、白い歌が多くなるのだろう。
そしてまた、いいな、と感じても、このブログへの掲載をご遠慮する方もたくさんいらっしゃる。