市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

そのままに見つめしものは離れぬをかなしみなればきよらに刻む

2011-10-25 19:36:01 | Weblog



 遠ざかるいろいろな景色に。














 アリステア・マクラウドというカナダの作家を、最近知った。


 1936年うまれ。苦学して博士号を取得し、三十年ほどの間に、短編16、長編1作という寡作なひと。


 新潮社から上梓されていた短編集のひとつ、『冬の犬』を、たまさか読み、感動してしまった。


 素材はどれも、とても素朴でナチュラルな人間と動植物の生の営み。

 スコットランドから移住してきたケルト人の伝統を持つ作者は、まるで古代びとのように質朴で鋭敏なまなざしを保ち、ひとつひとつの掌編をどれも、極端なアクセントや感情移入過多の着色を加えることなく、清冽につむいでゆく。

 それでは地味な作風のかというとそうではなくて、わたしの読後感では、このひとは、まるで壮大なパノラマを眺め渡すように、森羅万象を俯瞰しているかのように感じられた。人間も、動物も、森も、魚も、鳥も、なにもかも自然の大いなるめぐりのなかでは、まったく均等で、ひとつひとつの存在に優劣などない、という。

 書評なんておこがましくってできないので、かんたんな感想。


 たぶん、これからも日本ではメジャーにはならないだろう。

 カナダでは、彼の長編がベストセラーになったそうだ。


 気になるので、もう一冊の短編集『灰色の輝ける贈り物』を読んでみることにした。



 そのときは、もうちょっとまとまった文章が書けるかしら。

 


 

 

 
 

 


 










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