プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★退き際~円楽引退に思う~

2007-02-26 09:55:09 | 日記・エッセイ・コラム

 「泣きの円楽」と称された人情噺の名手三遊亭円楽さんが昨日、引退表明をした。「出てくれるだけでいいというお客さまもいると思います。だけどそれに甘えていたんじゃ…私自身が許さないですね」と、惜しまれつつ高座を去った。

 一昨年、脳梗塞に倒れて以来、復帰を目指しつつ自分で納得が行く語りが出来ないと判断しての決意だった。テレビの長寿番組「笑点」の司会者としても人気があったが、「円楽党」を旗揚し、独自の活動を続けてきた落語家として見つめてきただけに寂しい。

 彼は74歳。石原東京都知事も同じ年齢だ。比較する物差しが違うかも知れないが、かたや「自分で納得できる噺が出来ない」と引退を決意し、一方は周囲で不出馬のお膳立てをしても「要らぬお世話」だと一瞥も無い。サラリーマンには定年があるが、政治家や経営者の退き際というものを改めて考えさせられる。

 私はグループ会社に転出してから6年間、「若手の育成」と「後継者作り」を経営の基本に据えた。「人材=人財」で能力は絶対目減りしないと信じて、若者が提案する新規事業に投資をしたために、会社は二期連続赤字に転落し、経営者失格の烙印を押された。後継者の芽が見え出した時、自分の役割は終わったと思った。若い頃、自分がしたくても出来なかったことを出来る舞台を用意出来たことが最大の喜びだったからだ。