チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第23話 クリスマスケーキ

2006年12月24日 | チエちゃん
 12月24日は第2学期終業式でした。
お昼前に家に帰ったチエちゃんは昼ごはんを食べた後、まだ冬休みの宿題を始めるでもなく、手持ち無沙汰の午後を過ごします。
みかんを食べながらこたつに入っていると、いつの間にか寝入ってしまいます。
チエちゃんの横ではみぃも丸くなっています。

目を覚ますと、もう午後4時。
あと2時間で、お母さんがケーキを買って帰ってきます。
今夜はクリスマス・イブ。
クリスマス・ケーキを食べる日です。

 チエちゃんの家で、クリスマスにケーキを食べるようになったのはいつ頃のことだったのでしょうか?
気がついたときには、もう習慣になっていました。
キリスト教徒でもない日本の家庭で、クリスマスのお祝い(?)をしたのは、三種の神器と同じようにある種のステータスだったのかもしれません。当時は、お誕生日にケーキを買ってもらったことなど無かったのですから、クリスマスはチエちゃんにとって特別な日でした。今の子どもたちのように、おもちゃのプレゼントなんてありませんでした。それでも、家族揃ってケーキをいただくことが最高の幸せに思えたものです。

 午後6時になると、ケーキを抱えてお母さんが仕事から帰ってきました。

 わあ~、やった~、ケーキだ!

 夕飯のあと、こたつの上にケーキを取り出してお母さんが等分に切り分けます。
それでも、こっちが大きそうだとか、あっちの方が大きそうだと品定めをします。
弟と競うようにして、選んだ一切れには赤いチェリーと緑のアンゼリカがお花のようにのっています。
当時のケーキは、現在のように冷凍技術などが発達していなかったのでバタークリームのものが主流でした。
 弟は、板チョコレートにメリークリスマスの文字が入った一切れを取りました。
おじいちゃんが選んだケーキには、砂糖菓子のサンタがのっていました。
いただきま~す。
サンタを口に入れたおじいちゃんが、ペッ、ペッと吐き出しました。

 なんだ、これは?

何と、おじいちゃんが砂糖菓子と思って食べたサンタは、ろうそくだったのです。
そのあと、みんなで大笑いをしたのでした。