チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第22話 通知表

2006年12月21日 | チエちゃん
  もういくつねると お正月
   お正月には たこあげて
   こまをまわして 遊びましょう
   はやく 来い来い お正月

 この時期、チエちゃんはお正月と同じように指折り数えて待っていることがあります。
それは冬休み。
たったの2週間しかないけれど、クリスマスもあるし、お正月もある、お年玉も楽しみだし、お父さんも帰ってくる。
あと1週間、あと5日、あと3日。こんな時に限って、カレンダーはなかなか進みません。

 でも、とうとう冬休みの前日、第2学期終了の日がやって来ました。
お楽しみの前には難関があります。
成績表が渡される日です。
 全員で大掃除をした後、体育館で校長先生の2学期最後のお話を聞きます。
そうして、いよいよ通知表が渡される時間です。
順番に名前を呼ばれて、ひとりひとり先生のところへ受け取りに行きます。

通知表を受け取って、こっそり見ている子もいれば、お互いに見せ合っている子もいます。
みつお君に至っては、「おれは、4が1個で、あとは全部3だあ!」とクラス中に聞こえる大声で、報告しています。
だんだんドキドキしてきました。
いよいよチエちゃんの番です。
小木先生は、無表情で通知表を手渡しました。
どうしよう!きっと成績が下がったんだ。
席にもどって、少し開けてみます。
やっぱりダメ。おそろしくて、成績を見ることができません。
誰かに覗かれでもしたら、恥ずかしい。
通知表の中を見ないまま、チエちゃんはさようならをしました。

 帰り道、お友達と別れて一人きりになって、やっとランドセルから取り出しました。
あーっ、成績が下がっていたらどうしよう!
成績が下がったからといって、チエちゃんの両親は怒ったりはしませんでしたが、何となくきまりが悪いというか、勉強せずに遊んでばかりいたと思われないだろうかとか、子どもなりに気を使ったものです。

そっと、開いてみると、「ああ、良かった」これなら何とかなる。
やっと、安堵して家に帰ることができました。

 家に着くと、早速おばあちゃんが「チエ、成績どうだった?」と聞いてきます。

 うん、社会が1つ上がった!

さっきまでの不安は何処へやら、得意気に答えるチエちゃんでした。

そうして、その日の夜はクリスマス・イブなのでした。