気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-08-20 22:21:37 | 朝日歌壇
鰯鮨握りし母のこの世から居なくなるとは思わざりしを
(橋本市 原 鉄也)

子の部屋の電子アラームが繰り返し起きたき意欲家族に知らす
(松戸市 東 洋)

創業期まだ聞かずあり灯ともるもともらぬもよき江戸千代紙屋
(東京都 久保田 仁)

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一首目。鰯鮨はきっと作者にとっての「おふくろの味」なのだろう。いつまでも元気で鰯鮨を握ってくれると思っていた母親が、もうこの世には居ない。その悲しみを具体的な食べ物を持ってきて詠っているのがよい。鰯鮨は個性的だ。
二首目。子供部屋から電子アラームが鳴って、起きようとする意欲はわかるが、実際には起きて来ない。夏休みは、学校も休みなので、ゆっくりしているのだろう。電子アラームはきっと家族へのパフォーマンスなのだ。
三首目。江戸千代紙屋というのは、なんとも情緒を感じさせるお店。創業がいつであれ、そこにいるだけで心が和むような風情を感じる。