気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-08-27 23:12:37 | 朝日歌壇
夕空にポムポムポムとたのしげに薄くれないのりんご雲出づ
(フランス 松浦のぶこ)

一万本の認印(みとめ)をケースに戻さむと店主は波うつ床に腹這う
(柏崎市 神林敏夫)

夫婦とは決まっていぬにカブト虫はつがいにされてパックで売らる
(沼津市 森田小夜子)

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一首目。フランスではりんご雲という言葉があるのだろうか。ポムポムポムのリズムが良い。読んでいて、こちらもたのしくなる歌だ。
二首目。新潟県柏崎市は地震の被害が大きかったが、暮らしは落ち着かれただろうか。今月のはじめ新潟市に短歌人の全国集会で行ったときは、被害の様子は感じられなかった。印鑑を売っている店の主の必死の様子が伝わってくる。
三首目。カブト虫は恋愛をしたり、結婚の相手を探したりするのだろうか。人間でも某宗教の集団結婚式が話題になったことがあった。人間は、自分で決めたからという自覚があるから、我慢しているので、その責任を転嫁できるのなら、やり直したいと思うこともあるだろう。いや、うちはあちらが我慢してくださるので、いまのところ問題はありません。

夏休みを取れず働く夫このむデラウェアのほのかな酸味
(近藤かすみ)