「お父さん」ふいに甘えてみたくなりぷしゅりと開ける缶ビールかも
咲き初めの芙蓉のように笑いたく白い浴衣を選んでおりぬ
朝起きてすぐに告げたきことばあり夏草の生む水の清さで
愛し合う姿は時に滑稽でトンボ連なり飛びゆく真昼
「しあわせにならなあかん」という母の言葉の向こう透ける青空
(鶴田伊津 百年の眠り 六花書林)
************************
短歌人の鶴田伊津さんの第一歌集を読み始める。三章に分かれていて、まずは最初のⅠ(1997年~2000年)から。
鶴田さんは熊野の出身で、ご両親に愛されて育って来られたのがよくわかる。相聞もあり、若々しく爽やかな歌。
なぜか俵万智を思い出す。才智という点で、共通するものを感じる。のびのびと誰にも愛される可愛らしさが感じられる。
歌集の栞を、佐伯裕子、大松達知、小池光の三氏が書いておられる。小池さんの文章の終わりの方に「短歌なんてこれきりしかない小さな器だが、手を染めたことで人生が決まる場合がある。誰よりも鶴田さんにとってそうだったろう」とある。この言葉を、思わず自分にひきつけて読んでしまった。
咲き初めの芙蓉のように笑いたく白い浴衣を選んでおりぬ
朝起きてすぐに告げたきことばあり夏草の生む水の清さで
愛し合う姿は時に滑稽でトンボ連なり飛びゆく真昼
「しあわせにならなあかん」という母の言葉の向こう透ける青空
(鶴田伊津 百年の眠り 六花書林)
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短歌人の鶴田伊津さんの第一歌集を読み始める。三章に分かれていて、まずは最初のⅠ(1997年~2000年)から。
鶴田さんは熊野の出身で、ご両親に愛されて育って来られたのがよくわかる。相聞もあり、若々しく爽やかな歌。
なぜか俵万智を思い出す。才智という点で、共通するものを感じる。のびのびと誰にも愛される可愛らしさが感じられる。
歌集の栞を、佐伯裕子、大松達知、小池光の三氏が書いておられる。小池さんの文章の終わりの方に「短歌なんてこれきりしかない小さな器だが、手を染めたことで人生が決まる場合がある。誰よりも鶴田さんにとってそうだったろう」とある。この言葉を、思わず自分にひきつけて読んでしまった。