気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

雑之歌

2007-08-10 01:20:07 | きょうの一首
階段の下から三段目に夕日たまるむすめふたりが居たはずなのに
(小池光 雑之歌 歌壇8月号)

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むすめさんは、それぞれ就職や結婚で家を出られたのだろうか。ときどき小池さんの歌に登場する二人のむすめさん。なんやかんやと言っているうちに、居なくなってしまったのか。その現実は、階段の下から三段目という具体的な場所が空白となって、夕日がたまっていることで思い出される。三句目が6音で大きいが、いかにもたまっている感じがするので、それもよい。親は何気ないことで、子供の不在を思い、なんとかやっているんだろうと深く考えることから、逃げるのである。

帰省してわが家を拠点に遊びまはる娘はちひさき泣きぼくろ持つ
(近藤かすみ)