気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

澳門 本多稜

2005-11-13 19:47:40 | つれづれ
鳩ひとつ頭にとまりゐて聖人のかほを染めたるしろたへの糞

運命は薄つぺらいぞ現金をプラスチックのチップに変へて

澳門よりキューガーデンに運ばれし草木と旅の仕方を想ふ

賽銭にまみれて亀の数匹が観音堂の甕に生きをり

(本多稜 澳門 短歌人11月号)

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本多稜さんは、注目の歌人。お仕事柄、マカオに出張されたときの歌だろう。
この澳門をすぐにマカオと読めなかった。高校時代、世界史はじめ社会科をさぼって過ごしたままで惜しいことをした。基本的知識が足りない(笑)

一首目。聖人像の顔に図らずもついてしまったものを歌って秀逸。初句を鳩一羽にすると漢字が続くので、ここは鳩ひとつにしたのかなあ。
二首目。カジノのチップの薄っぺらさと軽い言い方が符合して楽しい。
四首目。甕のなかの亀を見る目の冷静さ。
(画像はマカオの聖ポール天主堂跡)

時代祭行列すすむ京都御所たしか五時限目現代国語
(近藤かすみ)