気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

さくらもち

2005-05-24 12:03:29 | 朝日歌壇
きのう(5月23日)の朝日歌壇から。

さのつく字さくらささぶねさくらもちひらがなならう教室に春
(秋田県 石井鈴子)

道ばたの掲示板よりわれを見ておいでおいでをする手配犯
(仙台市 千賀啓市)

うすっぺらい画面のむこうで起こっている本当の事を考えている
(京都府 角谷みゆき)

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一首目、ひらがなの連続の中にほのぼのした教室の雰囲気が伝わる。私が好きなのはやはりさくらもちだ。
二首目、指名手配であろう掲示板の写真が、呼びかけているように見えたという作者の視点が面白い。
三首目、テレビ、映画、パソコン。それぞれ映っていることのむこうの本当のことはどれだけのものだろうか。うすっぺらい画面であることを、どこかで承知する目を持ち続けたい。

この前の春の名残りか海松(みる)色の葉に包まれし桜餅食む
(近藤かすみ うたう☆クラブ 6月号)